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GoHoo四季報<2013年夏> 日経新聞が社論の消費増税に誘導すべく、目に余る世論操作
楊井人文:日本報道検証機構代表理事、弁護士。2002年、慶應義塾大学総合政策学部卒業。産経新聞記者を経て、2008年弁護士登録。2012年よりマスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」の運営を始める。2012年8月、社会起業大学主催「ソーシャルビジネスグランプリ」審査員特別賞(審査委員長:田坂広志氏)を受賞。

 マスコミ報道には多くの誤報がある。誤報は想像以上に多い、というのがマスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GоHоо」を運営してきた私の実感だ。いかに多くの無用な誤解や偏見が生まれているか。誤報は時として世論を誤った方向へ導く。そうならないためにも誤報を可視化し、読者が賢明になっていく必要がある。そこでこのシリーズでは、3か月ごとに、誤報として重大な順に5~6本を取り上げ、なぜ間違いだといえるのかを解説し、誤報が起きる背景や問題点を明らかにしていく。今夏は、消費増税、尖閣諸島問題、原発・エネルギー問題で看過できない誤報があった。第一回目はこの6~8月に発生した誤報記事が対象で、四半期誤報大賞は、消費増税をすべきという社論に合わせて世論を誘導すべく、世論調査結果を都合よく解釈し、無理やり朝刊1面見出しで「7割超が容認」と打った日経新聞(8月26日付)である。


【Digest】
◇シリーズ開始に当たって
◇世論調査「消費増税7割超が容認」は悪質なミスリード(日経)
◇浜田参与「消費増税、容認姿勢へ」の不誠実な訂正(時事・毎日)
◇再生エネルギークラブ結成、日本にも招待あったのに「なかった」(共同・産経)
◇鳩山元首相が尖閣発言「盗んだものを返すのが当然」(時事)
◇「LINE18歳未満ID制限へ」粗雑な表現で誤解を生む(NHK)

◇シリーズ開始に当たって
 私がマスコミ誤報検証・報道被害救済サイトGoHooを立ち上げたのは、あってはならない誤報や巧妙に読者をミスリードする記事が目に余り、これを網羅的に可視化するサイトを作って報道の現状に警鐘を鳴らしたいと思ったからだ。

 私の主眼は、メディアを批判することではなく、現状の問題点を浮き彫りにし、報道のあり方をメディア関係者と読者がともに考える素材を提供することにある。

 GoHooは中立的、客観的に事実誤認があるかどうかをチェックし、エビデンスを重視している。誤報と断定できるものだけでなく、その疑いが強いものも収集し、公表している。ミスリーディングな表現で誤った事実認識や印象を与える可能性の高いものも取り扱う。メディアの編集権は尊重すべきだとしても、一線を越えてはならない限界があり、読者に誤解を与えないように正確を期すことも、メディアの責任だと考えるからだ。

 検証の対象は、最も伝統的かつ代表的なマスメディア(読売、朝日、毎日、産経、日経の5大全国紙、共同・時事通信、NHK)の報道に絞っている。なぜ他のメディアを取り扱わないのかという疑問もあるかもしれないが、これらのメディアは報道機関として圧倒的に社会的影響力と信頼度が大きく、それに見合うだけの社会的責任や「報道品質」が問われるべきだからだ。

 このシリーズでは四半期ごとに、GoHooが取り扱った数多のケースから重大なものを毎回5本程度紹介し、背景や問題点も指摘していく。

 前置きはこれくらいにして、さっそく具体的な事例を紹介していこう(なお、事実関係は日本報道検証機構の調査によるものだが、分析や見解は私個人のものであり、日本報道検証機構を代表するものではない。)

◇世論調査「消費増税7割超が容認」は悪質なミスリード(日経)
日本経済新聞2013年8月26日付朝刊1面
 日本経済新聞は8月26日付朝刊1面で、23~25日に実施した世論調査の結果を「消費増税 7割超が容認」と見出しをつけ、リードで「消費増税の税率引き上げを容認する声が7割を超えた」と伝えた。

 昨年成立した法律で、消費税率は来年4月に8%、再来年9月に10%に引き上げられることになっている。だが、安倍晋三首相が経済情勢を見極めて最終判断すると表明し、予定通り引き上げるべきかが焦点となっていた最中、この見出しやリードを読んだ読者の多くは「7割超が予定通りの増税を容認した」と受け止めたのではなかろうか。

 ところが、本文を最後まで注意深く読めばわかるが、世論調査の結果は「予定通り引き上げるべきだ」が17%、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」は55%。日経は、これらを足し合わせた72%が「消費増税そのものは容認」と捉えて大きく報じたのだ。

 本来、この「7割超が消費増税そのものを容認」はニュース価値がないはずだ。日経が7月に行った世論調査でも、「予定通り引き上げるべきだ」が11%、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」は58%で、「7割が増税そのものを容認」という結果は、既に出ていた。そもそも、世論調査の質問は「予定どおり引き上げるべきだと思いますか、思いませんか」と設定されており、焦点が「増税そのものの是非」でないことは日経自身、重々承知しているのだ。

 実は、日経は、8月9日付、13日付社説で予定通り増税を実施すべきと主張していた。26日付の世論調査報道の後も、9月2日付、4日付社説で再三にわたり主張を繰り返していた。

 「時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」との回答(7月の58%、8月の55%)や、そもそも「引き上げるべきでない」との回答(7月の27%、8月の24%)は見出しやリードで全く取り上げず、ニュース価値のない「増税そのものの容認割合」をクローズアップしたのは、社論と矛盾する世論に読者の目が向かわせないようにするためではないのか。

 元日経新聞編集委員の田村秀男氏(現・産経新聞編集委員兼論説委員)も「デマゴギー」「増税に世論を導くための典型的な印象操作」「官報以下」と古巣を激しく批判している(MSN産経ニュース8月28日付「消費増税強行へ目に余るメディアの虚報」)。そうした疑いをかけられてもやむを得ないほど、不自然な世論調査報道であった。

日経世論調査「消費増税7割容認」予定通り賛成は17%(GoHoo 8月31日付注意報)

◇浜田内閣官房参与「消費増税、容認姿勢へ」の不誠実な訂正(時事・毎日)
 もうひとつ、消費増税がらみで明らかな誤報があった。

時事通信2013年7月14日付記事

 

 

 時事通信が7月14日付で「消費増税、容認姿勢へ=浜田内閣官房参与」という見出しの記事を配信。浜田宏一内閣官房参与が14日夜、民放のテレビ番組で消費増税について「第1の矢(大胆な金融緩和)があまりにもいいから、このままやってしまっても良いような状況になっているのは万々歳だ」と述べ、「容認する姿勢を示した」と報じた。

 記事は「浜田氏はこれまで消費増税には慎重論を唱えてきた」とも言及し、浜田氏の立場が「慎重」から「容認」に転じたように印象づけていた。毎日新聞も15日付朝刊で時事通信の原稿のまま掲載した。

 イェール大学名誉教授の浜田氏はアベノミクスの理論的支柱ともいわれ、安倍首相が政強い影響を受けているといわれるから、消費増税に対する考え方が変わったなら、ニュースになる。

 ところが、浜田参与は18日、「本来の発言の趣旨とは正反対の見出しがつけられている」として時事通信社に訂正を要求。実際はテレビ番組で「次の四半期にも景気回復が華々しく、このまま増税しても良い状態になれば万々歳だが、そうでなければ歳入を生む源である、景気回復という金の卵を産む鶏を殺してしまうことになる」と発言し、後半が発言の本旨だと強調した。

 浜田参与は訂正要求をネット上に公開。時事通信もさすがにまずいと思ったのだろう、その日のうちに「解釈に行き過ぎた面があった」と謝罪し、加盟社に訂正と差替え記事を配信。毎日新聞は翌日朝刊で訂正記事を出した。

 ただ、時事通信サイトの記事では、見出しと本文がそっくり差し替えられ(事情の知らない読者からすれば“改ざん”にしか見えないが)、訂正の告知はされなかった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



MSN産経ニュース
時事通信2013年6月27日付記事
NHK NEWS WEB 2013年7月24日

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