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健全な社会とは 『13歳のハローワーク』
11:35 05/16 2004
 

 幻冬舎刊『13歳のハローワーク』が100万部を突破するベストセラーとなった。昨年11月末に発行されたこの本は作家村上龍氏が514の職業を紹介している。やりたいことを仕事にする、がテーマ。この本の主張から見られるのは逆に今の社会の閉塞感だ。

 村上龍『13歳のハローワーク』の売れ行きが好調だ。5月14日には100万部を突破したことが報道された。《「いい大学を出て、いい会社に入れば安心」という時代は終わっている。好きなことを仕事にして人生を充実させるために》と帯にあり、各学校教育機関が購入したこともベストセラー入りを後押しした。

 この本には514の職業が紹介されている。しかし、そこから見えてくるのは結局のところ成功・自己実現のためには職業しかないという固定された価値観だけだ。自分とは何か?という問いに対しての回答は職業だけではないはずだ。

 例えば、いま芸術家を目指す人間は少ない。なぜならそれは職業にすることは難しいからだという。ヨーロッパでは素質のある若者にはパトロンがついたり、芸術的素養を伸ばすために国や、企業からのバックアップがつく。しかし、日本ではそれは不可能なことだろう。なぜなら働くことが当然のこととされ、働かず文化的な行為をすることは無駄なこととされる社会だからだ。

 働かない、職業から外れることは異質なことだろう。日本では異質なものを排除しようという傾向が非常に強い。それはオウム事件を生んだ土壌をみればあきらかだ。そして社会というものは本来であればそういった異質なものを受け入れる受け皿をもっていなければならない。進路を選ぶ際にも抜け道が多ければ多いほど、その社会は健全で開放されている社会と言える。この村上氏のいうような『好きなことを仕事に』という価値観は、もしそれが仕事にできなかった場合に勝ち組と負け組に別れさせてしまう危険性をはらんでいる。

 仕事に興味をもっていなくても、それがその人にとって間違いであるということにはならないはずだ。嫌々仕事をしている人でも、その人の人生が価値のないものだということにはならない。そしてそのことを本当にいわなければならないのは、日本の高度経済成長を支え、好きでもない労働を過酷に続けてきた中高年の世代なのだ。

+++ 記者コメント +++
職業カタログとしては非常に有効な本であるし、良書ではある。ただアイデンティティーの確率を職業に固定化する風潮には違和感を感じる。
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hiro  04:58 02/06 2005
スポンサーは日本でも評価されれば付きますよ?ヨーロッパでも自分から売り込まなくても勝手にスポンサーになってくれる所はありません。成果、途中経過もちゃんと報告する必要があります。才能勝負の分野はどこの国も似たようなものです。むしろ、若いうちに賞取らないと完全に話にもならないヨーロッパの方が厳しくシビア。ちなみに大抵の人はちゃんと働いてます
ria  17:00 02/02 2005
職業だけが自己実現の為の回答ではないという意見はなんとなくわかる気がするけど、現実は仕事についてお金を手に入れなければ生活できないのが当たり前で、嫌々仕事するのなら好きなことをやってみればいいということではないのかと簡単に解釈しているのは浅はかだろうか、この本を読んで今好きなことを突き詰めるとこういう道があるのを知っていてもいいんじゃないの?といわれている気がしたのだけれど・・・私だけかな?
取材不足本  01:51 01/31 2005
 多くのビジュアル的に分かり易い、背広を着ない仕事が取り上げられている。薄っぺらな紹介がされている。 そんな中、作家だけは、「何時でも成れるから最初になる必要は無い」これはリアルだ。村上龍の本心であり、軽々しく目指すなと言う意味だ。なら何故他のクリエイティブ系の仕事について、抑制的に書けないのか、おそらくは、取材不足の賜物だからだろう…