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姫路沖・海苔の色落ち犯人の関西電力、漁師に“口封じ料”6千万
関西電力姫路第二火力発電所。手前の青いタンク群は大阪ガス。タンク群の右端に関電の排水口がある。


 このほど東電の原発故障隠し・運転データ偽造が延べ199件あったことが発覚したが、姫路では海苔養殖を営む漁師が、関西電力の調査データ捏造疑惑と闘っている。瀬戸内海の播磨灘でとれる海苔は、火力発電所増設にともなう下水排水の影響で年々色落ちがひどくなり価格も下落。死活問題となった漁師に対し、関電は「海苔への影響はない」と言い張る一方、6千万円を調査費名目で支払い「他言しない、以後は関電に要求しない」と口止め工作をしてきた。だが、その前提となる影響ナシとしたデータは、嘘だった。

【Digest】
◇海苔&漁業人生45年
◇色落ちした海苔は美味しくない
◇ここ数年でさらに海苔価格が下落
◇海苔の色落ちは関電の温排水が原因
◇姫路火力発電増設後、海苔の色落ちがすすむ
◇「増設の反対はしないでくれ」と関電
◇兄の事故死で「恩返し」を迫られた
◇組合長「弁償するような話は関電には言えない」
◇読売新聞「組合側とは補償ずみと関電は言っている」
◇関電のデータを信用した漁師たち
◇「気の毒だから」と関電が6000万円を出した
◇海の独自調査で関電が嘘をついたことがわかった
◇嘘で取り交わした関電との契約は無効だ
◇姫路市下水局の責任
◇組合長たちは関電や姫路市の手先
◇「嘘と捏造で漁民を騙し、海を壊し続ける」関電

 私は、瀬戸内海の播磨灘(兵庫県姫路市飾磨区構)で海苔養殖を営んでいる漁師です。

 漁師歴45年になる私の理念は、「自分で食べて美味しい海苔作り」。しかし、この海苔をつくってきた海はいま、壊され、消費者のみなさんに、その「美味しい海苔」を届けられない状態になっています。

 「干潟がなくなっているから海が壊れている」と言われますが、これは、大きな誤解です。

 関電火力発電所は、海水で機械を冷やすために大量の海水を使っています。その海水を電気分解して次亜塩素酸ナトリウムを取り出し、海に流し続けています。その排水に混ざっている残留塩素で干潟に生息する水生生物が殺されているのです。

 関電は火力発電所を増設する時には「影響はない」と言って増設してきました。しかし、建設後に海苔の色落ち被害が拡大し、「枯れた海」になってしまいました。

 「枯れた海」の調査費名目で関電から900万円をもらった際、「他言しない」と口止めされましたが、「捏造した調査結果」を出してきたことが独自調査でわかったので、わたしはこの播磨灘の海を守るため、いままでの関電との闘いを告発したいと思います。

 読売新聞、朝日新聞、神戸新聞(新聞社はいずれも姫路支社)、NHK姫路局も、「相手が関電だ」というだけでニュースにもしてくれません。姫路市、兵庫県、水産庁にも報告していますが、知らん顔です。

◇海苔&漁業人生45年
 中学卒業後、印刷会社を5カ月で退社後、家業の漁船漁業を手伝うことになりました。私が漁船漁業をするなら「海苔養殖を始める」と父親が言うので、父と兄と私の3人で夏は底曳き網漁、冬は海苔養殖を営むことになりました。

 それが、私の海苔人生の始まりでした。1960年代のことです。

 当時は、夢前川河口(姫路市飾磨区今在家)で竹を干潟に立てて網を張る「支柱張り」、海苔はちょっと大きめのちょきちょきバサミで切って摘んでいました。下にタライを浮かべて海苔を受けていたのです。

 当時の製造枚数は1日800~1000枚。竹簾の上に海苔を手で抄き、天日干しでした。2年ぐらいで浮き流し式養殖(ベタ流し)が開発され、漁場が拡大、張り込み枚数も多くなり、製造枚数も増えたので、回転式の乾燥機を導入しました。

 まもなく海苔を抄く機械を導入後、漁場が区画漁業権のあるところでなければ海苔養殖ができなくなり、白浜沖に漁場が変わりました。これが現在の漁場で、八家川沖約1.5キロの海上になります。人数は、2組合の海苔漁業者で、3形態。現在10人が関わっています。1975年頃は5組合、30形態でした。

 海苔養殖をはじめて10年ほどで連続自動乾燥機を導入し、1973年には前年の儲けによる投資で海苔加工場を新築したことで1日の製造枚数が最高で3万枚まで可能になりました。平均すると1万8000枚程度。できのよい年、悪い年とありますが、これは技術的な問題になります。

 1975年、大阪ガス基地(天然ガス)が埋め立てされ、その南西角に姫路第二火力5号機6号機増設時温排水放水口があるのがわかりました。これには、抗議しましたが、漁業組合側からも無視されました。それが不審に思った最初でした。

(上)種網(1月~2月にかけて海苔の葉体から胞子を牡蠣殻の中に移し、9月中頃までは糸状体を広げ、9月下旬に牡蠣殻から胞子が出てくるときに、海苔網に種付けする)を作っているところ。
長さ20メートル幅2メートルで10枚重ねてノリの葉体が長さ2センチ前後で種網の完成。10月初め~11月5日頃までに種網を作る。

色落ちした海苔と色落ちしていない海苔の色
(下左)色落ちした海苔の縦半分
(下右)12月後半製造分

 

 

 1980年に姫路第二火力5号機6号機が温排水を流し始めました。

◇色落ちした海苔は美味しくない
 海苔の色落ちは、誰が見ても一目でわかります(画像参照)。

 味も、黒い海苔はやわらかく甘味があり、口の中でとろけます。しかし、色落ちした海苔は、硬く甘味がなく、口の中に何時までも残り、喉を通るのに時間がかかり、早い話、美味くありません。

 取れた海苔は、すべて漁連に出荷しています。漁連とは、兵庫県の場合、各組合の総集まりの代表で、組合長たちの組合になります。各組合が要望すれば動いてくれますが、一漁民の要望では動いてくれません。

■兵庫県漁連 

 兵庫県漁連は大阪湾・播磨灘・日本海と広く、瀬戸内側で海苔養殖を行なっている組合数は約40あります。また、私が所属している組合は姫路市飾磨区の中の一つで共同漁業権を持っているのが現在3組合です(東から、白浜・姫路中部・飾磨)。これは、姫路市の中を三つに分けると真ん中に位置しますが、海苔漁場、区画51号は姫路市の東部に漁場があります。

 現在は、白浜漁業協同組合(1形態)と飾磨漁業協同組合(2形態)の2組合が海苔養殖を営んでいます。

◇ここ数年でさらに海苔価格が下落
 漁連に出荷した海苔は、等級検査を行い格付けされます。等級順は、優・特上・特・1等・2等・3等・4等・5等が本等級。艶がなく、曇った海苔はB等級、より曇った海苔は別等級、この他にA等級・C等級・W等級・破れ・縮みなどにわけられます。

 買い手は、商社やノリ問屋です。色落ちで抗議はありませんが、色の黒い浜の海苔に買い手がつきますから、価格が下がるだけです。

 今年は今までにない安い価格になっています。1月17日入札では、平均単価6.62円(高値8.11円、安値3.99円)と兵庫県で一番安いです。被害のない漁場では20円以上している漁場もあります。兵庫県の場合3円以下は札が入りません。焼却処分になります。

■表:海苔の価格と枚数変化
漁期年度 高値
 等級1枚あたり価格
平均価格 第1回出荷枚数
1991年 黒優18円89銭 15円41銭 342,000枚
2001年 特上15円99銭 13円12銭 367,200枚
2002年 黒特11円79銭 11円01銭 165,600枚
2003年 黒特14円89銭 12円49銭 255,400枚
2004年 新黒特12円80銭 11円79銭 197,100枚

(注)この価格は、第1回出荷枚数と最高値と平均。期間は11月中頃~12月2日までの製造した出荷分。
 1箱3600枚入っています。

 2005年度の漁期(11月中頃~2006年1月7日)の水揚げ額(売り上げ)は、海苔網300枚を張りこみ700万円でした。2006年度漁期(12月6日~2007年1月17日)の水揚げ額は600万円しかありません。
 
 被害のない漁場では、海苔網1枚当たり10万円分取れていると思います。

◇海苔の色落ちは関電の温排水が原因
 海苔の色落ち被害が出始めたと認識したのは、1983年の秋頃だったと思います。

 「海苔の色落ちは、関電の温排水が原因だ」と、毎年、組合長に関電に抗議してくれるように申し立てをしてきましたが、組合長いわく「関電は『影響はない』と言っている」の一点張りでした。

 播磨灘に溜まる栄養塩は、夏にプランクトンが多く発生した年は海底にプランクトンの死骸が溜まり、冬に水面の海水が冷やされ、海底の暖かい海水と入れ替わります。これを鉛直混合と言います。

 海苔養殖ではこれを利用し、色の黒い海苔を獲っています。この栄養塩がなくなると色落ちが始まります。ただし、陸から毎日、栄養塩を供給されている漁場ではこの限りではありません。この漁場は、陸から栄養塩が毎日供給されているのは言うまでもありません。

 栄養塩量は毎年気候の変動で違ってきますが、それは雨量で決まります。

◇姫路火力発電増設後、海苔の色落ちがすすむ
 1975年に持ち上がった大阪ガス基地埋め立て計画に絡んで同時に、姫路第二火力5号機、6号機増設の話がありました。初めは、温排水の放水口は港の中、大阪ガス埋め立て地西側ガス船の係留地点に向けて放水口を設置する計画でしたが、完成後、大阪ガス基地埋め立て地の港外南西向きに造られていました。

 当時の新聞記事にも、「兵庫県の意見として港外に流すと海苔養殖漁場に影響があるから、港内に流す」という記事があります(1975年9月17日付『読売新聞』より)。しかし、この計画が変わったのは、パイロット協会が「港に入れるLNG船に乗り込むのを拒否する」と言ったからでした。

 パイロット協会とは、大型船が狭い水路や港に入港し接岸するまでを船長の変わりに大型船を操船する、元大型船、船長のOBが協会に加入している協会です。要請のある港に出向いていきます。

 私の漁業組合は地元ではなく、蚊帳の外だったこともあり、組合内部で二分するほど抵抗をしましたが、「被害が出たら弁償する」(関西電力)ということで片付けられたのです。

 この埋め立て計画の漁場周辺は、秋には車海老、小エビ、シャコ、アナゴなどがよく取れる漁場でしたが、現在は、小魚、小エビとアナゴが少し取れる程度です。

 当時、海苔養殖に問題が起きるのは「水温」が問題で、栄養塩に問題が起きることなどは一切ありませんでした。

 1980年に姫路第二火力5号機、6号機が完成しました。その後、少しずつ海苔の色落ち被害が出始め、1983年暮れには極端にノリの色が悪くなりました。それでも1984年には兵庫県が漁場を拡大し、海苔網を張る間を広げて、色落ち被害を少なくなるようにしてくれました。しかし、解決はしませんでした。

 その後再三にわたり、組合長に「関電の温排水が原因だから抗議してほしい」と要望したのですが、「関電は、影響ないと言っている」を繰り返して聞き入れてもらえなかったのです。

◇「増設の反対はしないでくれ」と関電
 1988年に姫路第一火力5号機、6号機増設計画が持ち上がりました。8月、関電から飾磨漁協組合事務所で説明があり、その席で関電に「増設は認めない」と私は言ってやりました。

■姫路沖の地図

(上・左)関西電力姫路第二火力温排水口から煙突が2本写っている。岸壁に二重の点線で白く塗ってある所の海中から流している。ここから約1キロ離れた所に関電の施設がある。

(上・右)関西電力姫路第一火力放水塔。関電の施設はここから約1.5キロ離れている。

(中・左)姫路市東部析水苑の排水口。海から約100メートルの地点に排水口がある。海苔漁場は約1.5キロ沖合い。日量約3万トン。

(中・右)姫路市東部下水処理場排水口。

(下・左)姫路中部析水苑排水口。日量約14万トン(1998年調べ、冬場)。夏は17万トン)。

(下・右)姫路市中部析水苑の施設と排水口。

 

 

 

 関電が「何でですか?」と聞いてきたので、「第二火力5号機6号機増設後、海苔の色落ち被害が多発している。関電に抗議しても影響はないと言って知らん顔じゃないか。話も聞かないのに、また増設を認めると思うのか。いつかはこんな時がくると思い、今まで待っていた。絶対やらさんから」と言ってやりました。

 その時、他の海苔養殖業者は、「一人でも反対するものがいればその話を尊重し、増設には反対する」と言っていたので、関電と当時の組合長は私を説得するはめになったのです。

 1989年2月までは何回も組合長宅に呼び出され、「気持ちは変わらないか?」と聞かれました。組合事務所にも呼び出されたこともありますが、その席に、関電もいました。

 1989年2月、関電が、最終判断をもって、海苔を製造している私の加工場まで来ました。それまでも何回も来ていたのですが、その日は「海苔養殖の方には納得のいくようにするから、増設の反対はしないでくれ」と言ってきたのです。

 その時の私は、「関電は被害が出るのを認めた。海苔だけではなく魚にも被害が出るから、組合も増設に反対する」と思っていたのです。

 しかし、残念なことに、私の思いとは違う方向になっていったのです。

 後日、関電が組合長に臨時総会を開くように要請し、臨時総会の席で「海苔養殖の方には納得するようにします」と関電(立地部)が言ったのです。これは、飾磨漁業協同組合臨時総会前に海苔製造をした後、加工場へ来た時に関電が言った言葉です。

 その時に、当時の組合長が関電の座っている前まで行き、「それはどう言うこっちゃ」と詰め寄りました。関電側は、驚いて「そんな殺生な」と言うと、今度は、延べ縄業者が組合長の応援をし、「お前らが何ぼ怒っても、怖いことなんかないぞ」と言い、臨時総会は流れてしまいました。

 その夜、関電が訪問してきて、「どう言うふうにしたらエエやろう」と言ってきたので、「そんなこと知らんがな」と言ってやりました。

 当組合の漁船漁業から反対の言葉はありませんでした。人数の多い漁船漁業の意見を関電側が聞いた結果、「海苔に影響が出たら弁償する」という言葉で終わってしまったのです。

 今度は、組合側のご機嫌取りを関電側がはじめました。しかし、そのときは、関電側が「影響が出たら弁償する」とまで言うのなら、増設を認めるしかないと納得したのです。

◇兄の事故死で「恩返し」を迫られた
 前に進まないまま月日が流れ、5月に入って操業中、ガット船に当てられて船が転覆、兄は海底に投げ出され、死んでしまいました。その兄の遺体捜索のため、姫路市連合組合の方や家島の組合なども参加してくれ、午後になってすぐに兄の遺体を引き上げていただきました。

 姫路市連合は当時10組合ありました(現在は8組合)。姫路市連合組合の年1回の決算日の(合併)総会の時、私が所属する飾磨漁協と同じ共同漁業権の中の当時、広畑漁業共同組合会長であり、連合会長が兄の捜索は「迷惑な事故だった」と言いました。

 漁連などは「安全操船」の要望書などをガット船組合に出したと聞きましたが、姫路市連合組合の対応は正直に言って「関電の話に反対をするな」というメッセージとしか聞こえませんでした。

 直接聞いたものではありませんが、地元5組合の中のある人が兄の事故のことを持ち出し、「恩返しをしろ」と言っているということも聞きました。

 「海苔養殖の方に納得のいくようにする」という約束は「兄の事故で恩返し」と棚上げされ、「影響が出たら弁償する。これでエエやろう」と、当時の姫路市連合組合会長の言葉で終わってしまったのです。

 私が関電と取り交わした「海苔養殖漁業者に納得のいくようにする」はなかったことになりました。その結果、姫路第二火力5号機6号機増設後、被害を受けた損害賠償金などとは程遠い話になりました。

 民主主義も「赤信号でも皆で渡れば怖くない」の一言だと気づきました。「被害が出たら弁償する」という内容で、姫路第一火力5号機6号機増設に了解しました。数の力に負けたのです。

 1989年から私が一人で海苔養殖を営むことになりました。初めの年は種網の製造に問題があり、あまり取れませんでしたが、2年目から6年まではよい年で1500万円~2000万円程度の水揚げはありました。

◇組合長「弁償するような話は関電には言えない」
 私が言う被害は、目に見えない程度を大きく超えている被害のことで、海苔養殖事業を営んで行くことができないから抗議してきましたが、関電も姫路市もその被害を認めません。

 しかし、この時は、水温が高いということぐらいで、具体的に何が悪いのかはわかりませんでした。

 5号機6号機の完成後の1994年度漁期、2月に入ると極端な海苔の色落ちが始まりました。特に栄養塩が減少し、海苔の色落ち被害が早い年は1月初めから起き、遅くても2月はじめには漁期が終わってしまいます。

 1995年度漁期は2月に入るとひどい色落ち被害が発生し、2年連続のひどい色落ちに黙っているわけにはいかないと思い、組合長たちに抗議したのですが、まったく話になりません。

 毎年5月の海苔漁場周辺の灯台の費用の決算日の席で、「関電に抗議するよう話をまとめてくれ」と要望しました。当時の5組合の代表組合長に話を持って行くという返事が出て、その年の秋漁場周辺の灯台設置の予定日を決める席で、「弁償するような話は関電には言えない」と組合長から言われ、「そんなバカな話はないだろう」と抗議したのですが、知らん顔です。

 「そんな抗議ならしない方がましだ」と思い、そのときはほっておいたのです。

 1997年度漁期は関電が海水を吸い込んでいる港を深く掘り下げる工事を夏からやっていました。10月に入ると漁場周辺の海水の色が乳白色になっていました。これは、関電が浚渫工事のドロを吸い込み、温排水と一緒に周辺海域に撒き散らしたものだと後になってわかりました。

 10月15日頃、種網がドロに巻かれ、海苔網が乾かなくなっていましたが、そのせいだと思います。海苔の色も悪く、生理障害を起こしていて、組合長たちに抗議するように要望しましたが、動く組合長はひとりもいませんでした。

 仕方なく、私が直接関電に抗議の電話をしましたが、「関電が浚渫工事をしているんではないから関係ない」と言われました。そこで、姫路港管理事務所に行くと、工事業者2社が来ていました。

 そのとき「10月中頃までは組合側には了解を取っている」「あと1週間で終わる」と言われました。こんな工事の話なんて聞いていません。組合長たちに問い質しても知らん顔です。

 また勝手に判を捺したんだと思いました。

 この年の種網は予定の網が揃わず、11月後半~12月前半にかけて赤潮が大発生しました。色落ち被害でこの年の水揚げは900万円しかあがりませんでした。経費しか取れない最悪の年でした。

 こんなひどい状態でも、組合は頼りになりません。それからの私は、単独で証拠を探し始めたのです。

◇読売新聞「組合側とは補償ずみと関電は言っている」
 1998年2月に関電が出した追跡調査の報告書のデータ (下から3番目と4番目)に、アンモニア態窒素が少なくなっていることを見つけました。「海苔に精通している」専門家から「DIN」(無機態窒素)が三態窒素(アンモニア態窒素・亜硝酸態窒素・硝酸態窒素)の合計だということを教えていただきました。

 最初、関電の追跡調査のデータには三態窒素が別々に「mg」で載っていたからわからなかったのですが、関電の温排水はアンモニア態窒素が半減している事実をつかんだのです。

 私が「他の漁師にわかるDINにしてやれ」と言って出してきたものです。

 関電の姫路営業所に直接電話したところ、「組合長立会いなら話を聞く」と言うので、2月19日に飾磨漁協で会いましたが、「海苔の色落ち被害は植物プランクトンが原因」と言って、彼らは帰って行きました。

 6月、今度は海苔養殖業者全員で会いましたが、「原因はプランクトンだ」とまた同じことを言って、「これ以上は姫路市か本社に言ってくれ」と言われました。

 「全員で関電の本社に行こう」と言ったのですが、誰からも返事はなく、新聞、テレビにこの関電のデータを持って説明に行き、取り上げてもらうようにアタックしました。

 どこもはじめは乗り気でした。『読売新聞』のところに行くと、最初は「調べてから返事する」と言われました。それが約半年後、私の家に来て「組合側とは補償ずみと関電は言っている」と言われ、取りあげてもらえませんでした。『朝日新聞』は、「うちの新聞はなんでも書きます」と言って帰ったままです。

 関電は「補償はすんだ」と言っていますが、漁業権放棄をした場所で抗議している訳ではなく、海苔漁場を放棄した事実はありません。現在の3組合、代表組合長も「書いたものは残っている」と言っており、関電も認めています。

 その書いたものというのは、このページ下から5番目の「姫路第二発電所漁業被害事故調整協議会」(これはコピー)です。姫路第二火力5号機6号機増設時、事故対策協議会を開くようになっています。

◇関電のデータを信用した漁師たち
 1999年に組合長から「関電が話を聞くと言ってきた」と言われました。組合長立会いで、関電の取水口と放水口の海水を汲んで関西電力の子会社である関西総合環境センター(=KANSO。その後、2004年に環境総合テクノスに商号変更。関西電力グループの環境、土木、建築事業を統合)らがやったという調査結果を見せられました。

 この中で出てくるデータは、「関電が海を壊していません」というものでした。「データに問題があるなら言ってください」「約10年間で40億円かかっている」と関電は言っていました。

■データ公開(関電が出したデータ)

 このデータを見ると、「取水口と放水口の栄養塩量に変化はない」「アンモニア態窒素を減らしてないから、関電は海苔の色落ちとは関係がない」となっていました。

 「関電に騙されている!」「そんなデータを認めたら駄目だ」と私が言っても、この調査結果を私以外の海苔養殖業者は信用したのです。

 1999年6月、7月に関電本社から2名ほど来ました。この2回の話し合いを録音していて、その一部肝心な部分をホームページにも公開しました。

■関電とのやりとり(1)「被害が出たら弁償する」

■関電とのやりとり(2)「次亜塩素酸ナトリウムを採っているだけでアンモニアは採っていない」

 「被害が出たら弁償する」は、過去2回の関電の増設時に、関電側が文書で残しているものです。姫路第一火力の増設時には立地部担当者の舟場氏から直接聞いています。この文書の存在を1999年7月20日に再確認をしたときの録音になります。

 この「次亜塩素酸ナトリウムを採っているだけでアンモニアは採っていない」が、あとあとウソだということがわかったのですが、このときはわかりませんでした。

◇「気の毒だから」と関電が6000万円を出した
 1999年11月初め「気の毒だから、生活の援助をすると関電が言っている」「6000万円をみんなで分けるように出すと関電が言っている」と組合長たちが言いました。

海苔のサンプルを提出した月、関西総合環境センター(KANSO)が持ってきた請求書(上)と2002年3月15日に振り込まれたときの通帳(下)。この月の金額は77万円7000円。振込み主はカンサイソウゴウとなっている。

 

 

 はじめは5000万円でした。私は当時1億1000万円あまりの被害が出て.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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くわしくは、■「マイノリティレポート」
姫路沖東部海域で致命的な環境破壊を続けている関電の嘘で壊された海苔養殖漁場の調査報告書及び姫路市の終末下水処理場の悪行を報告

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仕事人  10:07 04/18 2015
補助金や補償金という名目で漁師に金を積んでいる企業が数多くあるみたいだが、漁業者は金がほしくて漁業を営んでいるのではない。豊かな海を返してくれたらいい
仕事人  10:03 04/18 2015
補助金のバラマキをしても漁師さんには一円も届いていません。なぜかというと限られたところの組合や漁連の役員が懐にしまいこんでいるからですよ。国民は漁師は儲かっていると思い込んでいるようだが事実誤認である。
aya  19:39 01/09 2015
HP拝見しました。 やっと水産課が『下水処理場&栄養塩の低下』と、認められたのですね! おめでとうございます! 塩素&関電に辿りつくまで、もう10年でしょうか? 長生きして頑張って下さい! 東北の原発が落ち着くまで国が隠しそうで難しいでしょうが 日本の医療が支えてくれると信じてます! 活動記録の最新版に辿りつくのが難しかったです。
仕事人  08:04 09/27 2014
政府は既得権益に対する補助金のバラマキをやめて、その分を国家の防衛予算に回すべきである。 そのほうがよっぽど役にたつ。
仕事人  07:11 09/27 2014
漁連は国民に対して、漁師さんは海の防人といっていますが真っ赤な大ウソ。 日本の海は自衛隊や在日米軍のおかげで守られています。 だからこそ毎日安心して漁師さんも漁業を営むことができるのです。 即刻県漁連は解体せよ。 阿部総理に期待する。
仕事人  07:10 09/27 2014
漁連はたかり、乞食の部類です。みなさん漁連は漁協や漁師さんを食い物にしているどころか、我々日本国民の血税を食い物にしています。燃料油のセーフティネットはその最たるもので燃料油の価格高騰に苦しんでいる人たちは漁師以外にもいます。
仕事人  14:53 04/27 2013
関電とそれに連なる漁連と漁協、そして企業犯罪を野放しにしてきた国県市の役所連中よ、いい加減に海を汚すのをやめねえか我慢の限界にもほどがあるで