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12/19 2011
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 3件アポがとれたのでロンドンにやって来た。総合的にみて、ロンドンの交通網は世界一発達しているのではないかと思ったが、10日ほど、いろいろ歩きまわって思ったことを東京との比較で書いてみよう。

■明らかににロンドンのほうが優れている点

1.クレジット文化

 ロンドンはクレジットカード文化が超発達している。「自分で差して、ピピピッと暗証番号を押すだけで決済終了」という効率的な支払ができる。サインしている人は見ない。釣りの受け渡しどころか、カードの受け渡しがないままにさっさと買い物ができて気持ちがいい。店員にカードを渡さなくてよいから、番号や有効期限がスキミングされることはない。

 あのカード決済端末は、日本にも導入すべきだ。日本ではわざわざ店員がカードを客から受け取って、端末にセットして、こちらに端末を置いて暗証番号を押させて、また戻して、カードを返して、という5つもの無駄なアクティビティが発生し、時間をロスし続けている。

 これは日々、全国で行われているので、莫大な経済活動のロスだ。日本は現金がまだ主流とされ、カイゼンが進んでいない。ロンドン人が東京に来たら「ダサッ」「まだサインなんかしてんの?」「現金なんて不便なもの持ち歩くなよ」って思うだろう。

 あの便利な端末が普及すれば使いたくなるからカードもより普及するわけだが、やはり日本のカード会社は「銀行の下部組織」に過ぎないのだな、と実感する。利便性や安全性に関する消費者の論理よりも、企業間の力関係の論理が勝って、普及を阻害しているのだと思う。

 ロンドンは、地下鉄の非接触カードも、中心部間だとオイスターカード(東京のスイカ・パスモ)£1.9、紙だと£4.0と2倍以上になるので、ほとんどの人がオイスターを使う。そして、チャージもクレジットカードで各駅にて簡単にできる。これは旅行者にとっても超便利だ。

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FREE。日本も見習えと言いたいところだが、メガバンクの税金無駄遣いな反社会的体質を見るにつけ絶望感は深まるばかり。
2.キャッシュの引き出し

 上記に関連して、キャッシュの引き出しが無料で、端末が地下鉄の駅内を含む街中にある。だから、多額の現金を持ち歩く必要がなく、スリを仕事にしている人も「スリがい」がない。極めて安全な社会を実現している。

 僕はシティバンクの銀行カードとVISAカードの計2枚だけを国内外で持ち歩きメガバンクのカードは使っていないが、1000円引き出すのに210円とられる日本とは大違いだ(それでも「世界中1枚でOK」の便利さが優越するから、やはりシティバンクは優れている)。

 都内の駅では新生銀行の端末が増えたが、限られた公共の場所に特定の銀行の専用端末を置くのは間違っている。ロンドンのように、全銀行対応のセブン銀行のような端末だけを設置すべきだろう。

3.二階建てバス

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 ロンドン名物のノッポな赤い二階建てバスは、予想以上にたくさん走っていて市内のどの風景にも出てくる。観光的な意味合いで残しているのかと思いきや、ぜんぜんそんなことはなく、超機能的だ。

 僕が乗ったバスはかなり混んでいた。二階の一番前の席は眺めもよく、かなりの特等席。終点近くまで乗るつもりの人は、さっさと二階に昇って、奥のほうに座ってくつろげる。二階は人の出入りもなくドアも開かないから暖かいし、広い。

 短距離ですぐ降りる人や足腰の弱い人は1階にいればいいので、これはきわめて合理的なシステムである。人口の多い都市を走る世界中のすべての公共路線バスは二階建てにすべきではないか、と思った。支払いもオイスターカードで入口でピッとかざすだけ(1回1ポンド)。路線図もわかりやすい。

■明らかに東京のほうが優れている点

1.ケータイ電子マネーの交通機関以外への普及

 これは世界でも日本のドコモの独壇場で、これから確実に普及していく技術だろうが、ロンドンではクレジットが普及していることもあり、普及ゼロだ。少額でもクレジットは使えるが、100円の買い物でクレジットの暗証番号を押すのは極めて効率が悪い。それがロンドンだ。

 これは、日本のコンビニが超異常な発達を見せている(ヨーロッパには24時間営業のコンビニやファミレスはほぼない)ことと関係があると思う。コンビニは多頻度少額決済ニーズが高い。ロンドンは、コストコで週末まとめ買い、みたいな感じだから、クレジットでいいのだ。

 ところが、やはりキオスクのような少額決済のニーズは必ずあるわけで、金融大国のイギリスを凌駕する日本はさすがテクノロジー経済大国である。タクシーでもコンビニでもスーパーでも電子マネー決済ができてしまう日本は、世界最先端を走っている。これをビジネスとして世界展開できないところが、ガラパゴス国家・日本の弱さだろう。

2.公共トイレが整備されまくり

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「使いたいなら0.3ポンド払え」で改札式になってる大型駅のトイレ
 驚くべきことに、ロンドンでは標準的な駅に利用者用のトイレが存在しない。この寒いなかを半日以上も駅を出たり入ったりしていれば当然、トイレが近くなる。その都度、スタバやマックに駆け込まなければいけないのだ。

 いったいどういう発想からこのような顧客軽視のシステムが普及しているのか不明だが、これはショップでも同じで、たとえばストリート沿いの店にはトイレがない。ユニクロの大型店にすらない(銀座店だとあるくせに)。これでは安心して買い物すらできない。

 大型の駅だと0.2ポンドとかで有料のトイレがあるが、これは現金制なので不便だ。トイレを利用したいと思っている客には、コインを探している暇はない。僕は現金なんて不便なものはこの世からなくなればいいと思っているので、トイレもカネをとりたいなら、オイスターカードで「ピッ」と決済して入れるようにすればいい。

■引き分け

タクシー

 南に1時間ほどのブライトンから戻ってロンドンブリッジ駅(日本でいうと品川くらいのデカい駅)に着いたら終電がなく、ホテルがあるカナリーワーフまでタクシーで行くしかなくなった。20人以上が列を作って待っている。

 前の人はケータイでハイヤーを呼んでいたが、20分くらいしてやっと来て、プライベートハイヤーに乗っていった。結局、極寒のなか、30分近く待った。ロンドンの冬は寒い。ユニクロの長袖ヒートテックを現地調達して着ていたが、それでも芯まで冷えた。

 バブル期の銀座はこのように夜、タクシーが捕まらなかったそうだが、今の日本ではタクシーが溢れていて、30分待ちはありえない。

 ロンドンタクシーを引きあいに出して「タクシーは情報産業だ」と野口悠紀雄氏がよく書いていて、日本のタクシーに改善を望んでいたが、確かに彼らは、道を知っている。免許をとる際の試験が厳しいらしい。ホテルもだいたい知っていた。

 接客態度も日本よりいい。日本は50代60代ばかりの覇気もやる気もないドライバーが多く、冬でも着いたら支払いの前にドアを勝手に開けるバカばかり。ロンドンタクシーは車内も広く、ドライバーの平均年齢も若くキビキビしている。10.4ポンドのとき「端数はないならいいよ」と言われ驚いた。日本で50円引きはまずない。

 ところが、客のニーズはそういったソフト面だけではない。すぐに必要なときに利用できて、支払いが迅速にできることのほうが、実は重要だという客も多い。現実的には、むしろそういった物理的な利便性が重要だろう。

 ロンドンタクシーはピーク時台数の柔軟性(捕まえやすさ)に加え、決済についても遅れており、オイスターカードが使えない。この2点において東京のほうが上だ。

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 オイスターが使えるようだと、「ロンドンの交通網は電車・バス・タクシーの組み合わせで交通&決済の人類最終形」と言ってよいほどだったので、たいへん残念である。クレジットもほとんど使えない。

 料金は初乗り2.6ポンドながら従量制でどんどん上がっていくので、東京と同じくらいの感覚である。東京の710円は世界一で、これは異常料金といえる。


 以上で改めて思ったのは、世界共通の少額決済カード(プリペイドでもIDのようなアフターペイでも)が誕生したらいいのに、ということだ。既にクレジットカードは世界共通で使えるのだから、技術的には可能なはず。スイカやパスモやエディがロンドンのオイスターと互換性を持てばよい。

 今回、オイスターに10ポンド残してしまったが、これは捨てるしかない。このままスイカとして使えて、裏で勝手に為替計算して残高から引いてほしい。手数料を上乗せしてくれても、使えるほうが便利である。

 少なくとも先進各国で「多額はクレジット、少額はプリペイド、プラスαで電子マネーもOK」みたいなインフラが世界共通で普及したら、現金を持ち歩かなくてよい社会になる。これは税務署にとっても最高の仕組みだが、消費者にとって特に利便性が高く、カミマネーの受け渡しがないことで生産性は上がり、安全で効率的な世界にすることができる。20年後にはそうなっているのではないかと思う。

 
17:06 12/19 2011 | 固定リンク | アクセス数(3990) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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