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参院「質問主意書」ランク、ゼロ議員49人、仕分け人も低評価、トップは民主・比例の藤末氏

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画像1:2010年参院改選議員〝質問主意書ゼロ〟全49議員リスト
 投票日まで2週間を切る中、参院改選議員93人の6年間の「質問主意書」数を集計したところ、議員1人平均で年1.2回ペースで、ゼロ議員も49人いた。事業仕分け中心メンバーの民主・蓮舫氏(東京)、尾立氏(大阪)も年2回未満と、テレビカメラが入らない目立たぬところでの地道な活動はしないタイプであることも判明。逆に最も多いのは民主・比例の藤末氏の170回で、一貫性のある質問も多かった。参院改選組93議員のランキング・質問主意書の全リスト656通は記事下からダウンロードできるので、誰がどのような問題意識で活動しているのかが分かる。投票の参考にしてほしい。
Digest
  • 「国政調査権」に基づく質問主意書制度とは
  • 最悪議員は民主・比例の工藤堅太郎氏
  • 蓮舫、尾立氏…問題意識の低い〝仕分け人〟
  • 仕分け人とは真逆だった故・石井紘基氏
  • トップは民主・比例の藤末氏
  • 2位は沖縄の民主・喜納氏

「国政調査権」に基づく質問主意書制度とは

国会議員は国会開会中、内閣に対し文書で質問することができる。内閣は質問を受け取った日から原則7日以内に「答弁書」で回答しなければならない。これを「質問主意書」という。

長妻昭厚労大臣は野党時代、これを武器に厚生労働省などに対して鋭い質問をぶつけ続け、成果をあげた。官僚は趣意書がやってくると仕事がプラスオンで増えるため嫌がるが、国民目線で行政をチェックする重要な手段となっている。

質問主意書の特徴は、委員会や本会議と違って、「国政全般」について内閣の統一見解を確実に引き出せることと、法律案と異なり議員1人でも提出できることである。従って、その内容と提出数を見れば、有権者は、議員個人の問題意識や行動力を知ることができる。

質問主意書は、憲法に定められた「国政調査権」に基づく制度である。日本国憲法には次のようにある。

日本国憲法第62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる

国民の代表として選ばれた国会議員は「国政調査権」を行使することで、必要な情報・事実を獲得し、それを通じて国民の知る権利に応えることを可能にする。例えば、政府の不正、隠ぺい情報を、国政調査権の行使で明らかにして、国民のための法律につくり変えることも可能だ。である故に、改選議員の任期中の質問主意書の実績は、有権者が投票する上で判断材料の一つになり得る。そこで、改選組の「質問主意書」の実績を調べてみた。

最悪議員は民主・比例の工藤堅太郎氏

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画像2 参院改選 政党別1人当たり「質問主意書数」ランキング。トップは社民党で43回。2位以下の政党は一ケタ台でゼロの政党すらある

調査方法は、まず、参院HPにある、任期中の第160回国会臨時会(2004年7月30日~8月6日)から、第174回国会常会(2010年1月18日~同年6月16日)までの間の、改選議員93人の質問主意書の提出状況を時系列順にピックアップ。その後、議員ごとに並べ替えて質問主意書数を集計した。こうして調べた結果、参院の改選組全93人の任期中の質問主意書数はトータル656回であることがわかった。(「全議員の質問主意書数ランキング・質問主意書全リスト」は、記事の一番下からエクセルダウンロード可)

改選議員一人当たり平均値でみた場合、質問主意書数は6年間で7.1回と、たったの年1.2回ペースでしかない。

政党別の議員一人当たり質問主意書数でみると、トップは社民党の43回だが、2位以下は、画像2のように、どの政党も9回以下と少ない。

特に画像1のように、改選組の中で質問主意書を全く出していない議員が49人にも上る。これらの議員は、議員としての問題意識や調査能力に疑問符をつけざるをえない。

 なかでも政権交代前に野党だった議員の中で、国会発言字数が平均以下(30万4344字以下)の次の面々は、その資質に大いなる疑問を抱かざるを得ない。質問主意書は、野党にとって武器となる性質が強いため、野党議員が行使するケースが多い。にもかかわらず、その権限を行使せず、なおかつ国会質問も少ないという、二重の意味で国会議員としての基本的活動力が不足しているからだ。そんな最悪議員たちの名は以下の通り。
     
議員名 政党 選挙区質問主意書国会発言字数
工藤堅太郎 民主 比例 0回 77,571字
輿石東 民主 山梨 0回 151,742字
芝博一 民主 三重 0回 170,075字
鈴木陽悦 民主 秋田 0回 214,437字
家西悟 民主 比例 0回 233,509字
林久美子 民主 滋賀 0回 245,283字
主濱了 民主 岩手 0回 255,185字

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画像3 参院改選「仕分け人」議員 質問主意書数ランキング。2位の尾立源幸(おだちもとゆき)氏(民主・大阪)、3位の蓮舫氏(民主・東京)など、もともと問題意識の低い議員が中心メンバーであることは、質問主意書の提出回数と、質問の内容を見れば明らか

蓮舫、尾立氏…問題意識の低い〝仕分け人〟

次に、参院改選組のうち、民主党政権の「事業仕分け」で脚光を浴びる〝仕分け議員〟たちの実績をみてみよう。

改選組の中には、事業仕分けの中心メンバーである、蓮舫、尾立源幸(おだちもとゆき)氏のほか、仕分けの1回目に参加した大久保勉、足立信也、林久美子氏がいる。この5名をランキングしたのが、画像3の「参院改選〝仕分け人〟議員 質問主意書数ランキング」だ。

第1位の大久保氏は41回と、年7回ペースなので、まずまずの速度といえよう。問題は2位以下の面子である。

2位の尾立氏は10回と少な過ぎる。しかも質問主意書の内容は、例えば、2006年12月4日に提出した質問主意書では、「都市再生機構(UR)」の天下り先の「日本総合住生活(株)」の駐車場の契約について、「管理委託先として選定した理由及び契約形態(随意契約、一般競争入札等)について明らかにされたい」などと質問している。

もちろんファミリー企業も問題だが、国交省の巨大住宅利権のURについては、他にも追及すべきことは山ほどある。例えば、ニュータウン事業の失敗による土地の焦げ付きの不良債権、税金を使っての再開発参画や億ションなどの〝民業圧迫〟だ。

そうした質問は全くせず、駐車場について、たった1回質問するだけ…。ディテールも大事だが、一回こっきりで終わりというのでは、木を見て森を見ず、と言わざるを得ない。この程度の問題意識では、税金の無駄を根絶することは到底、不可能だ。

3位の蓮舫氏も

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画像4参院改選議員国会「質問主意書回数」ベスト10。トップは民主・比例の藤末健三氏。回数は170回に上る

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