#ケチって火炎瓶 電子本「安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の『確認書』」アマゾン広告中止・販売停止予告騒動の顛末――プラットフォームリスクの実態
後に一国の首相となる人物(直接的には秘書)が、暴力団関係者に選挙妨害を依頼した。その見返りをめぐるトラブル解決のため、安倍首相と妨害実行者が直接会談した結果、確認書なる文書が締結される。ところがこの「確認書」も反故にされたとして安倍首相宅などが火炎瓶で4回も攻撃された。これが「#ケチって火炎瓶」事件である。安倍首相周辺・主要野党・大マスコミは沈黙しているが、一度点火された炎を鎮火できていない。それどころか、消えたはずの灰にわずかな風が吹き込めば、大きく燃え上がる可能性すらある。事件を消し去れない原因のひとつが、電子書籍「安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の『確認書』」の存在だ。ところが、アマゾンから販売中止の可能性を示すメールが著者であるジャーナリスト寺澤有氏に届いたのである。いったい何が起きたのか。誰でも電子書籍を出版できる時代だからこそ、こうした“プラットフォームリスク”があることは知っておいたほうがよい。事の顛末を報告する。(11/08 2018)
『#ケチって火炎瓶』判決文拡散で安倍支持者がオウンゴール 安倍首相と暴力団関係者の会談を報じた寺澤有氏が語る危険な話
「#ケチって火炎瓶」事件が大騒ぎになっている。1999年4月の下関市長選で、安倍首相の秘書だった佐伯伸之氏は、親交のあった建設会社会長の小山佐市氏に対立陣営候補への選挙妨害を依頼した。ところが小山氏への見返りは不十分で、逆に佐伯秘書への恐喝容疑で逮捕されてしまう。怒った小山氏は、知人の指定暴力団「工藤会」系高野組の高野基組長に依頼して、安倍首相の自宅や事務所を合計4回、火炎瓶で襲わせた。今年5月、証言に加えて安倍事務所と小山氏が交わした文書3通の現物が現れ、安倍首相が直接、小山氏と面談していたことが判明。政権に致命傷を与える事件にも関わらず、山本太郎議員以外の野党とマスコミはだんまりを決めている。首相サイドは自然鎮火を狙いたいとみられるが、安倍支持者らがネット上で事件の判決文を拡散させ“オウンゴール”状態に。『安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の確認書』を著した寺澤有氏に、危険すぎる取材余話を聞いた。(09/14 2018)
海自輸送艦「おおすみ」衝突事故5年目の真相 海自の責任を不問にした奇妙な「釣り船が急に右転」主因説(上)
本来国民を守るはずの自衛隊が、国民2人を死亡させ責任をとらないとしたら、存在意義に関わる大問題となる。2014年1月15日の朝、広島沖の瀬戸内海上で、小型の釣り船「とびうお」(全長7・6㍍、5㌧未満)と、全長がその23倍にあたる海上自衛隊の護衛艦「おおすみ」(全長178㍍、基準排水量8900㌧)が衝突する事故がおきた。「とびうお」は転覆し、乗員4人が真冬の海に投げ出され船長ら2人が水死。「おおすみ」が「とびうお」の後方から追いつく形で起きた事故で、常識的に“追突”が疑われた。しかし国交省運輸安全委員会と海自は、いずれも「釣り船が急に右転して自衛艦に突っ込んだ」と結論づけ、「おおすみ」の責任を実質不問にした。唐突に出てきた「とびうお右転説」に生還者や遺族らは「右転などしていない。する理由もない」と当惑、防衛省(国)を相手どって国賠訴訟を起こした。はたして、審理のなかでは、数々の疑問が出てきた。「とびうお右転」は事実なのか、本当に自衛艦に責任はなかったのか――事件を検証する。(09/12 2018)
山陽新聞「越宗孝昌」会長は、加計学園「越宗孝昌」理事と同一人物なのか――だれもが口を閉ざすミステリー
学校法人加計学園(岡山市・加計孝太郎理事長)の役員名簿に理事として「越宗孝昌」という名前がある。一方、山陽新聞社(岡山市・松田正己社長)の会長も「越宗孝昌」。これが同一人物なら、スキャンダルだ。政権中枢を巻き込んだ一大疑惑事件の渦中にある加計学園の役員に、新聞社の経営トップが兼務していたら、公正な報道など不可能だからだ。筆者は、両者が同一人物かどうか山陽新聞に電話で確認を求めたが、同社がみせた反応はきわめて不自然で、「わかりかねる」などと口を濁すばかり。加計学園も口を閉ざしている。6月19日、大阪北部大地震とW杯の中、わずか2時間前の告知で開いた姑息な加計理事長の初会見は、地元記者クラブ員限定で、幹事社は山陽新聞だった。山陽の紙面を調べると、加計問題記事の見出しに「加計」の文字がほとんどなかった。代わりに獣医学部新設を宣伝する広告が載っている。加計学園と山陽新聞がただならぬ関係にあることは間違いなさそうだ。(06/30 2018)
商工中金 「支店内で自分だけシロだった」元社員が語る、不正融資の背景――“詰め方の加減を知らない”政府系時代の上司たち
全国100支店のうち97店で計5,538件の不正融資やデータねつ造が発覚した商工中金。国策で行われた中小企業向け「危機対応融資」が中心で、“危機”と認定すれば融資でき、税金から利子補給を受けられる制度を悪用していた。民業圧迫など政府系銀行に不要論が出るなか、自らの存在意義を示して経産省の天下り先ポストと予算を維持し続ける目的から、融資実績を強引に作るため犯行に及んだとみられる。いわば、自らのポストや報酬を維持するために巨額の税金を不正流用した構図だが(背任・横領)、ともに経産省事務次官から天下った杉山秀二前社長(2013~2016)・安達健祐現社長(2016~2018)といった責任者は、経産省支配といわれる官邸への忖度が働いてか、逮捕もされていない。「営業力を身につけるにはよい職場」と語る元社員(昨年まで在籍)に、融資実態や不正の背景、政府系ならではの労働環境について、じっくり聞いた。(06/03 2018)
埼玉県知事・上田清司を会計検査院に告発 知事特別秘書に違法給与支出、税金から45年間も――“ノリ弁”開示求め行政訴訟も提起
埼玉県知事特別秘書に対して、条例の上限を月額9万円も超える高額な給料が払われていることが発覚した。再三の指摘を無視して組織的な税金泥棒が続けられており、責任者は上田清司埼玉県知事だ。条例違反は確実で、県議会も今年3月、重い腰をあげて「精査」を求める決議を採択したものの、具体的な動きはみられない。違法な支出は過去半世紀にもわたって続いてきたとみられ、数千万円から1億円前後の公金が「盗まれた」可能性が高い。新聞・テレビが騒がないのをいいことに、県は「話がかみあわない」と詭弁を弄してお茶を濁す。違法性を裏づける証拠文書の情報公開請求に対しては、徹底した黒塗りで隠蔽を続ける。この公然たる不正を見逃せば税金の盗み放題を許すことになる――危機感を抱いた筆者は、黒塗り情報の完全開示を求め、さいたま地裁に提訴し、会計検査院にも告発した。(訴状、歴代特別秘書に関する黒塗り文書はPDFダウンロード可) (06/02 2018)
「犯罪行為でも上から命令されたらするのが当たり前」と言われた――無断放水&水道料金不正徴収の第一環境、内部通報者に聞く検針の現場と「通報者が全く保護されない」実態
「報道にありましたとおり、内部通報により今回の事件が発覚しましたが、その内部通報者が私であります」――そんなAさん(40代社員)からの情報提供をもとに、内部通報者保護と水道検針事業の双方に興味をもって、岡山に飛んだ。不正を矮小化して片づけようとする企業、出世する不正社員、事なかれ主義で真相究明しない水道局、そして鬱病に倒れた内部通報者に「社内で犯罪行為はあったが、あなたは正義の味方でもなんでもない!」と言い放つ産業医。聞けば聞くほど、内部告発者は保護されず、コンプラ意識が高い社員が潰されて消費者が不利益を被る日本社会の実態が浮かび上がり、暗澹たる気持ちになるのだった。政府は、企業の不正行為に甘すぎる現状をいつまで放置するつもりなのか。(05/29 2018)
出張中に「宴会で裸踊り」「フィリピンパブ」 隊員連続自死で判明した兵庫県警機動隊の退廃した幼児体質
滋賀県警の19歳の巡査が巡査部長を射殺した事件が世間を騒がせているが、警察職場における精神衛生状態の劣悪さは滋賀県警だけの問題ではない。兵庫県警機動隊の独身寮で2015年秋、20歳代の若い隊員2人が相次いで自死した。どちらも鬱病に罹患していたとみられる。先に起きた山本翔巡査の事件に続いて、今回は、山本さんの1週間後に自死をはかった木戸大地巡査(享年24)の事件を報告する。出張中にもかかわらず、小隊長引率のもと小隊全員でフィリピンパブを含む飲み屋で頻繁に酒を飲み、宴会では部下に「裸踊り」をさせる。そんな退廃した隊の空気に大地さんは嫌悪感を持っていた。加えて遺書の記載からは、先輩から嫌がらせを受けていた疑いがあった。しかし警察は「パワハラ」を否定。納得できない遺族は国家賠償請求訴訟を起こし、真相究明に立ち上がった。(04/16 2018)
『不当逮捕 築地警察交通取締りの罠』刊行――「暴行を受けた」と虚偽通報された夫の妻が語る「事件をでっち上げた警察に勝つまでの9年間」
寿司店経営の二本松進氏が築地市場で仕入れを終え、車で店に向かおうとすると、警官が「法定禁止エリアだ」と一言発した。「運転手不在の放置駐車を見逃し、運転者が発車しようとする車を取り締まるなんておかしくない?」と抗議すると、警官は「暴行を受けている」と虚偽通報のうえ、公務執行妨害の現行犯として逮捕、二本松氏は築地署に19日間勾留された。妻の月恵さんは、夫が暴行したという虚偽調書への署名を迫られたが必死に抵抗し、翌朝から目撃者探しに奔走。夫婦は東京都と国を相手に国賠訴訟を起こし、事件から9年1か月後の2016年11月1日に高裁で勝訴。都は上告を断念し、東京都に240万円の賠償支払いを命じた判決が確定した。この事件をまとめた『不当逮捕ー築地警察交通取締りの罠』(同時代社刊)が12月6日に刊行されたのを機に、勝訴の最大の功労者ともいえる妻に、取調べの対応、目撃者捜し、独自現場検証、裁判所資料作成など、いざ「我が身」に災難が降りかかった際に役立つ経験についてじっくり聞いた。 (12/15 2017)
東京都職員 「ワイズスペンディング」なき昭和のお役所風景――ペーパーレス化はTVに映るところだけ
有効求人倍率がバブル期を超え(1.48倍=2017年4月)、43年ぶりの売り手市場となっているものの、 “実感ある好景気”の時代を知らない学生の強固な安定志向は揺るがず、公務員人気は高止まりしている。なかでも盤石な財務体質を持つ東京都の地方公務員は、「国家Ⅰ種」に比べた試験難易度の低さ、キャリア官僚に比べた労働環境のホワイトさ等もあって人気を維持し、早稲田大卒で3位(みずほ109人、三菱東京105人に次ぐ95人)、慶応大卒でも10位(49人)の就職先となっている(いずれも2016年度卒)。小池百合子知事が就任して1年余り、都庁の働く環境に変化はあったのか。 (11/01 2017)
香川・平井卓也自民党候補の親族企業に多額の政治資金が“還流” 過去5年で1億1000万円超
香川県選出の前衆議院議員(自民党推薦、本稿発表時点では衆議院議員候補)である平井卓也氏の親族企業に、過去5年間で1億1000万円を超える政治資金が、「会場運営費」などさまざまな名目で支出されていることが、政治資金収支報告書の調査でわかった。1億1000万円のうち約3400万円は政党交付金――つまり税金だ。支出を受けた親族会社は、四国新聞社や同社の関連企業、そのグループ企業である西日本放送の関連企業など、7社。平井氏自身が過去に役員をしていたり、または現在も役員をしている会社が含まれており、それらの会社から報酬も受け取っている(つまり税金や政治資金が自身の報酬に化けている)。「政治資金の還流」として問題視せざるを得ないが、四国新聞は今回の衆院選で自民党に好意的な報道をしており、地元メディアを私物化して公正な選挙をゆがめている疑いが濃厚だ。(10/21 2017)
安倍首相 “神頼み”政治活動の実態 自民支部から神社仏閣へ政治資金ーー「会費」支払い6年で300回超、福引券や神事の費用も
安倍晋三首相が代表を務める政治団体「自民党山口県第4選挙区支部」(下関市)が、宗教団体である神社に「会費」名目などで頻繁な支払いを行っていることが、情報公開請求で開示された少額領収書によって判明した。2010年から15年の過去6年で計120万円、300回以上に及ぶ。憲法が禁止する政教分離の原則に抵触する恐れが高い。また約300枚の領収書はほとんどが同じ様式で、支部自身が作成した「自作領収書」とみられる。さらに、これらを含む大半の領収書のただし書きは「会費」とあるだけで実態は不明。一方、ただし書きの内容が比較的詳しい別の領収書をみると、「玉替」「直会」「法事」など、宗教行事の代金だと明記されている。政治権力のためなら憲法などお構いなしで宗教の力も借りる。公私のケジメがとことんつかない為政者を、この国の有権者はいつまで支えるのか。 (10/18 2017)
小池都知事「特別秘書」は年収1400万円超・運転手つき専用車で通勤・勤怠管理もナシ、と判明――税金で選挙活動の疑いも
都知事の特別秘書2人に年間1400万円ものカネが税金から払われていた――これまで「個人情報」を理由に墨塗りにしてきた特別秘書の給料額を、東京都は23日、一転して開示した。給与額の非公開処分は違法だとして筆者が都を相手に提訴した直後の方針転換で、報酬に見合った仕事をしているのか、その妥当性を問う議論に発展するのは必至だ。知事がお気に入りの人物を雇い、議会の同意も承認も不要で、自分の裁量だけで高額の報酬を支出する、究極のコネ採用。それだけでも都民には納得しがたいが、さらに秘書専用車で都職員の運転手を使って通勤させ、勤怠管理もないことが判明。野田特別秘書専用車の運行記録も情報公開請求したところ、都議選さなかの今年6月は、わずか4日しか車が動いていない事実も発覚した。出勤せず、公費で選挙活動に没頭していた疑いが濃厚だ。こうした特別秘書の勤務実態を説明できないなら、小池知事の「情報公開推進」は嘘ということになる。(野田数専用車2017年6月の運行記録はPDFダウンロード可)(08/24 2017)
女子高生強姦事件のもみ消し図った、兵庫県警と兵庫県教育委員会の組織的隠蔽工作を被害者母が告発
美幸さん(仮名)は2012年4月、当時通っていた兵庫県立阪神昆陽高校(尾崎文雄校長)の同級生Xに強姦された。だが同校は事実発覚後、母親・一恵さん(仮名)に執拗に示談を勧め告発を妨げたばかりか、Xに「責任を取って学校を辞めろ」と強要し事実上の放校処分としながら、形式上は自主退学扱いとし、責任放棄を図った。伊丹警察署も、被害者が決定的な物証を示しているにもかかわらず被害届の受理を拒む一方、「相談者は被害届を出さないことに納得している」など嘘の報告書を作成。結局Xは、その後、別の傷害事件を起こして逮捕され、強姦でも有罪・中等少年院送致となったものの、仮にこの傷害事件がなければ伊丹署は被害届さえ受理していなかった可能性が高い。県警・学校が事件の表面化をここまで嫌った背景には、Xが小学4年時にも同級生に性的暴行をしていた非行歴(通称・尼崎市児童暴行事件)が関係していた可能性もある。現状、小学生時代の性犯罪歴が、高校側に通知され指導や監視に活かされる法律はなく、再犯を防げなかった。兵庫県警・教委の異常な事なかれ体質を、被害者が告発した。(08/02 2017)
電通、新たなコネ入社「体育会枠」強化――理系&デジタルシフト打ち出すも離職者増え、振り切れず
「社長1人の引責辞任で済む話ではない」と塩崎恭久厚労相が威勢よく会見で述べ(2017年1月6日)、社員約7千人全員の過去1年分の労務データを、厚労省のブラック企業対策専門組織「かとく」に調査させていた、電通の組織的な労基法違反容疑。だが実際には、昨年末に石井直社長が辞任を表明したことで一気にトーンダウンして「済んだ話」となってしまい、本来、責任を負うべき本社の役員クラスは誰1人として立件されず、あっけない終結を迎えた。石井社長も罪には問われていないため、上層部の責任者一同、誰1人として法的責任をとらぬままだ(遺族と、法人としての電通の間で、示談が成立)。過労死を容認してきた日本という国のカタチが、よく表れた事件だった。(06/04 2017)
文科省天下り先の設計会社・教育施設研究所が、杉並区小中一貫校建設の地質調査報告書を改ざん――甘い基準でボーリングを手抜き、高層なのに中低層と偽る
文部科学省文教施設企画部の役人が天下っている設計会社「教育施設研究所」が、杉並区から競争入札なしの随意契約で受注した小中一貫校建設工事における実施設計で、地質調査報告書を改ざんしていたことがわかった。文科省指針で6階建ては「高層」にもかかわらず、「中低層」と偽ることで、高層物件に必要な深い地層までのボーリングを行わない手抜き調査とし、利益を上げていたとみられる。地質調査の虚偽が発覚したことから、それに基づき同社が行った校舎の詳細設計にも手抜きや虚偽が疑われるが、住民の請求に対して杉並区は、設計図の公開を拒否。設計見直しも行わないという。計画では最上階にプールを設置するため、専門家は「水は基礎にかかる重さが均等とならず、杭の下にある柔らかい粘土層の影響で建物が傾く危険がある」と指摘、子どもの安全が犠牲になりかねない。政治家・役人・業者の「利権ファースト」で国民の安全と税金が犠牲になる構図は、1千億円単位でドブに捨てられた豊洲への市場移転と同じだ。(02/07 2017)
東京ガス ノルマなし、仕事しなくても大丈夫!待遇がよいので辞められない…「定時で帰るおじさん」が沢山いる“どんぶり勘定”な会社
首都圏で1,100万の顧客に、都市ガスを独占供給する東京ガス。潜在的ライバルの東電が原発事故を起こし日本の国土と経済にダメージを与え続ける超「敵失」状態のなか、陰で目立たずインカ帝国のごとく繁栄を謳歌してきた。「東電からの転職者は多く、知っているだけでも5人いる」(社員)と、逃げ足の速い東電人材も取り込みつつ、「熱変」時代に大量採用した社員が続々と定年を迎え、身軽になりつつある。本格自由化を2022年に控えるが、4年前にやっと年功序列処遇に修正を入れたばかりで、社内はまだまだ「定時で帰る年収1千万円超の働かないオジサンたち」の逃げ切り天国。米国の4倍、英仏の1.6倍にもなるガス料金にすべてを転嫁することが許されてしまう、(民間・消費者からみたら)理不尽な総括原価方式に守られ、社員の人生を丸抱えする“殿様商売体制”には、一寸の揺るぎも見えない。(02/06 2017)
2年で若手社員2人死亡の「東進」“ブラック”FC企業が、土浦市開発の駅ビル内スペースを落札――国費など75億円投入事業で
JR土浦駅西口直結の再開発ビル(2017年11月開業予定)に、ナガセのFC事業である「東進衛星予備校」運営のイー・エス・ティー(本社・仙台市)が入居する見通しとなった。土浦市が計75億円を投じて開発したビルの2階、図書館に隣接する約400平方メートルの一等地を1億4100万円で購入する権利を得た。だが、この企業では、2012年と2014年に「東進」事業で若手校舎長が相次いで死亡。同僚らの証言から、それぞれ過労自殺・過労死の疑いが強く、現役社員は「労働基準法に違反した労務管理が今も行われている」と証言する。多額の税金で建てた公共性の高いスペースに東進系ブラック企業が入居することについて土浦市は、「まず売却することが第一。電通のように強制捜査でも入らない限り、法令違反の情報を得る手段もなかった」と話す。(12/07 2016)
菅直人元総理から見た3・11原発事故対応の現実 (下) 事故当日、2つのタイムロス発生の真相と原因
なぜ住民避難が遅れ、住民が被曝したのか――これが福島第一原発事故の解明でもっとも重要な事実の1つである。あと30分避難開始が早ければ、双葉町の最後の脱出組は、3月12日の水素爆発の降下物を浴びずに済んだからだ。そんな1分を争う事態だった事故当日、不可解な時間のロスが、2つ起きていた。1つは、菅総理が、法律上、住民避難を始めることができる「原子力災害非常事態宣言」を出さないまま与野党党首会談に出向いてしまったこと、もう1つは、テレビ映像用に「やらせ閣僚会議」を開いていたことだ。菅総理は自分がハンコをつかなければ、法律的に原発周辺の住民避難を始めることができないことを知らなかったのか、ならば、なぜ周囲の官僚組織・保安院をはじめとする専門家が誰一人としてそれを教えなかったのか。やらせ閣僚会議は、海江田氏が「閣僚の一人が言い出した」と自著に書いているが、誰の発案だったのか。ジャーナリストの烏賀陽氏が、当事者の菅元総理に迫った。(07/25 2016)
菅直人元総理から見た3・11原発事故対応の現実 (上) 住民避難命令に必要な情報が指揮官に届かない仕組み
世界最悪級の原発事故発生から5年たった2016年に至っても、いまだ解明されていない闇は多い。福島第一原発事故は、現場が「東日本に人が住めなくなる事態」を覚悟し、運よく格納容器の破壊をまぬがれたためにそこに至らなかったものの、国を滅ぼしかねない危機だった。にもかかわらず、国民にとって最重要ともいえる「住民の安全」については、事故発生時のファクトとそれに基づく政策決定プロセスの解明、反省・改善がなされないまま、全国で原発の再稼働が進行中だ。「どこで、どのように情報伝達が滞った結果、住民避難が遅れ、被曝と汚染を招いたのか」について事実を追いかけてきたジャーナリストの烏賀陽弘道氏が、当時、住民避難を命じる権限者だった菅直人元首相にインタビューし、数々の謎に迫った。(07/17 2016)