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新人警官をナイフで刺してもクビにならない岡山県警の治外法権体質 訓練中に隠し持った刃物で負傷させた警部補を擁護、大甘処分
教官が訓練で本物のサバイバルナイフを隠し持ち、学生の胸などを誤って刺す事件が起きた岡山県警察学校(岡山市北区、筆者撮影)。

 模造刀では真剣に取り組まない、現場の緊張感を出したかった――。岡山県警察学校で2018年12月、模擬刀を使った犯人確保の訓練で、犯人役の教官(警部補)が本物のサバイバルナイフを隠し持ち、男子学生の胸や腹を誤って刺して負傷させる事件が発生した。傷は肺に達し、一歩まちがえば死亡事故だった。同僚教官にも公言のうえ約2年にわたって真剣を使っていた。一般人なら傷害罪だが、岡山県警はうやむやにした。被害者男性はPTSDを発症して退職を余儀なくされ、弁護士に相談し刑事告発。岡山県警は渋々捜査に着手したが、業務上過失致傷で50万円の罰金刑という大甘処分でお茶を濁した。行政処分も、免職ではなく所属長訓戒のみ。憤懣やるかたない男性は岡山県を相手に国家賠償請求訴訟を起こし、200万円の解決金を支払わせる和解となった。事件から浮かぶのは、治外法権といっても過言ではない警察組織の弛緩した姿だ。

【Digest】
◇柔道をやりたいと入った岡山県警
◇胸に鋭い痛みが・・・
◇血だらけのシャツ
◇警察を退職、告発を決意
◇真相究明
◇警察学校報告に数々の疑問
◇国賠訴訟を起こす


◇柔道をやりたいと入った岡山県警
 「警察官になろうと思ったのは高校1年生のときです。小1から柔道を習っていて、高校も柔道部でした。柔道をいちばん生かせる職業を考えて、警察が思い浮かんだのです」

 岡山県警察学校(岡山市北区)の学生だった男性Aさん(現在21歳、事件当時19歳)が岡山地裁に提出した陳述書の一節だ。2018年4月、Aさんは岡山県警に高卒で採用された。県警採用の警察官は大卒以上の警察官Aと高卒以上の警察官Bの二種類がある。Aさんが受けたのは警察官Bだ。このほかに、国家公務員総合職の試験に合格して警察官になるいわゆるキャリア警察官がいる。  

 キャリア以外の警察採用者は全員が警察学校に入り、初任科と呼ばれる基礎教育を受ける。大卒者は6ヶ月間、高卒者は10ヶ月間。Aさんは高卒だから10ヶ月のコースだった。警察学校をでると現場に出て、仕事をしながらさらに研修を積む。

 自分で選んだ進路だったが、じっさいに警察学校に入ってみると想像していたほどの魅力はなかった。

 全寮制で、起床は午前6時、就寝は夜11時。平日は外出不可だ。土日には許可をもらって外出し、実家に帰ったり同期生と遊びにでかけて過ごしたが、自由は大幅に束縛されストレスがたまった。

 また、Aさんは体を動かすのが好きなのに座学が多いことも面白くなかった。さらに、「冷房の無断使用」や「携帯電話の不正使用」を理由に反省文を繰り返し書かされるといったことがしばしばあり、嫌な気持ちになった。

 同期生は約40人いたが、辞める者が次々に出た。Aさんも一時は辞めようと思った。だが2018年7月の西日本豪雨災害を経て考えが変わった。岡山県でも一級河川が決壊して大きな被害が発生、Aさんら学生は救援活動の応援に出動した。この体験を通じて「警察官として自分も人を助ける仕事がしたい」という気持ちがわいてきたのだ。

 こうして、迷いながらも訓練を続け、卒校まで残り1ヶ月あまりとなった2018年12月10日、事件がおきる。

血染めのシャツの写真が証拠ででている。被害者の男子学生が激しい痛みを感じて上着を脱ぐと、シャツの胸の部分から出血していたという(上記は、訴訟記録を参考に筆者が再現した)。病院で診察を受けると左乳首の下付近に深さ約3センチの肺に達する刺し傷があった。
◇胸に鋭い痛みが・・・
 この日、Aさんら学生は、訓練の総仕上げとして実戦形式の犯人確保訓練を行った。称して「現場想定訓練」。日本刀やナイフを持って暴れる犯人を取り押さえるという内容だ。犯人役は教官の警察官が務める。刃物は模造刀だと聞かされた。

 3人の入校生に教官1人の4人1組のグループにわかれた。当初40人いた同期生はすでに30人ほどに減っていたので、約10のグループができた。

 Aさんのグループの犯人役は貝田勝浩というノンキャリアの警部補だった。高卒採用か大卒採用かは明らかにされていない。背が高く体も大きい。威圧感のある人物だ。Aさんは悪い印象を持っていなかったが、後に同期生から聞いた話では、学生がミスをしたときに物にあたって怒るなどして評判が悪かったという。

 日本刀を振りかざして暴れる犯人を説得して日本刀を投棄させる--それが訓練のシナリオだった。各グループがそれぞれ訓練をはじめた。Aさんのグループは、Aさん以外の2人の学生が順に貝田警部補が扮する犯人相手に訓練を行った。それぞれ要した時間は約10分間、いずれも問題なく終了した。

 2人に続いてAさんの番がきた。犯人役の貝田警部補が日本刀を振り回して威嚇してくる。迫真の演技だ。対するAさんは、凶器を捨てるよう呼びかけた。やがて「犯人」は説得に応じて日本刀を地面に投げ捨てた。無事訓練は終了したーーとAさんが「犯人」から目を離した次の瞬間、貝田警部補が意外な行動をとった。

 腰の後ろに隠していたサバイバルナイフを取り出して突進してきたのだ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



被害者の男子学生が救急搬送された病院。訓練後、教官からはなんの説明もなかった。ほかの教官も本物のナイフが使われていることを知っていながら、Aさんが自身の負傷に気づくまで黙っていた。
教官の警部補による刺傷事件をうやむやにしようとした岡山県警(県警本部の建物)。
被害者の男性は、事件による精神的ショックでPTSDを発症し、退職に追いやられた。納得がいかずに弁護士に相談、岡山西署に被害届を出す。結果、加害者の警部補に業務上過失致傷で罰金50万円の略式命令が出た。被害者の行動がなければうやむやになった可能性が高い。
岡山県警本部に掲示された採用募集の案内(上)とマスコットキャラクター(下)。親しみやすい印象づくりに励んでいるが、一枚皮をめくると治外法権的体質が姿を現す。

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