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1人3千万円も…NTTマネーに歪められる政策決定、公共事業50億の見返り

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(上左)石橋、(上右)原口、(下左)菅、(下右)吉川の各民主党議員。
 去る11月に公表された2009年度の政治資金収支報告書のうち、NTT労組の政治団体である「アピール21」から民主党議員らに支払われた政治献金を検証したところ、高額の献金を受けた議員は、石橋みちひろ議員の3000万円を筆頭に、田嶋要議員の850万円、原口一博議員の420万円、仙谷由人官房長官の380万円などだった。また、吉川さおり議員は、寄付金として受け取った200万円を、自らの政治資金収支報告書に記載していないことが判明した。多額の政治献金と引き換えに、電話会社がボロもうけするためのプラットホームが着々と構築されている。

NTT労組の政治団体「アピール21」が民主党議員らへ送った政治献金は、大別すると政治活動費、資料費、推薦料、寄附金の4つに分類できる。このうち政治活動費は、議員が開催するパーティーやセミナーの参加費のことである。

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マンションの屋上に設置された携帯電話基地局。基地局の設置をめぐり、住民と電話会社の間でトラブルが多発している。

資料費は、議員が発行する機関紙などの購入代金。推薦料と寄附金は、それぞれ議員を推薦するに際して支払われる献金と、文字通り通常の献金のことである。

形式は異なるが、いずれも政治献金であることにはかわりがない。

◇石橋議員‐前代未聞の3000万円

2009年度における政治献金の著しい特徴として、今年の7月に投票が行われた参議院議員選挙で初当選した石橋みちひろ議員(比例区)に対して3000万円にも及ぶ破格の寄附金が行われたことである。

 この選挙で石橋議員は、情報労連(情報産業組合連合)の組織内候補として全面支援を受けている。つまり労使が協調関係にある電話会社が国会へ送り込んだ議員といえるだろう。石橋議員が受け取った金額の詳細は次の通りである。

《石橋みちひろ》

年/月 金額 分類
6月9日 20,000,000 寄付金
10月30日 3,000,000 寄付金
12月7日 7,000,000 寄付金
合計 30,000,000  

 石橋氏の経歴は、 民主党のウエブサイトによると次の通りである。

1965年7月1日、島根県安来市生れ。松江第一中・県立松江北高を卒業し、中央大学法学部法律学科へ進学し、学士号を取得。

その後、米・アラバマ大学大学院に留学し、政治学修士号取得。帰国後、全電通(現NTT労組)国際部職員に入職し、国際組織への出向を経て、国際労働機関(ILO)に8年在籍。


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NTT労組東関東総支部の機関紙。組織内候補である石橋みちひろ、ぐんじ彰、道あゆみの各候補への支援を呼びかけている。

石橋議員が受け取った3000万円の寄附金は高額とはいえ違法行為ではない。組合からの献金のばあい寄付の上限額は、組合員の人数により制限される規則(政治資金規正法の第21条3の3)になっているが、NTT労組のように組合員が10万人を超える団体の上限額は3000万円である。

従って石橋議員は懲罰の対象にはならない。正当な献金を受けたことになる。

が、道義的な問題は残る。と、いうのも民主党は今年の10月までは、企業・団体献金の全面禁止を公言していたからだ。本稿で問題にしている献金が行われたのは2009年度であるから、民主党は表向きは献金の禁止を訴え、裏では高額の団体献金を受け取っていたことになる。

さらに企業や労組が何の見返りも期待せずに高額の政治献金を提供することは、常識的にはあり得ない。事実、今年の1月から8月の間に、NTTグループは総務省関連だけで約50億円の公共事業を受注している。

では、石橋議員は情報通信に関係した政策決定に、どのようにかかわっているのだろうか

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吉川沙織議員の政治団体が総務省へ提出した政治資金収支報告書には、「アピール21」からの収入として「資料費200万円」が記載されていない。しかし、収支報告書に添付された政治資金監査報告書は、収支状況の適正を宣言している。

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