日本高血圧学会の学会誌に発表された電磁波の高血圧への効果を示した論文
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高血圧患者に電磁波を浴びせることで4週間で血圧が下がるという研究結果が先月下旬、「日本高血圧学会」の学会誌に発表された。電磁波の降圧作用は少なくともトクホ並みの証拠があると言えるが、研究者は「効果があるということは副作用もありえる」と慎重な態度だ。現在の電磁波の基準は、このような生体への影響を想定していない。思いもよらぬところで知らないうちに血圧を下げている可能性もあるわけだ。我々が日常的に浴びている程度の電磁波でも人体に何らかの影響を及ぼすということを証明した研究として注目に値する。
【Digest】
◇降圧効果は薬やトクホ並み
◇電磁波によって血管が拡張する?
◇薬になるものは毒にもなる
◇副作用の可能性は現在の基準値からは不明
◇自動車のタイヤから発生する電磁波と同じ周波数
◇降圧効果は薬やトクホ並み
電磁波による高血圧症への効果を示す
研究論文が日本高血圧学会の学会誌「Hypertension Research」に発表された。電磁波を1週間に2回以上10~15分間ずつ浴びると、4週間で高い方の血圧(収縮期血圧)が11.7mmHgも下がる、というもの。10mmHg以上も血圧が下がるというのは、降圧薬やトクホ並みの効果といえる。
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図1 論文のサマリーの翻訳(文責著者) |
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1月20日にオンラインで発表された論文の概要(図1)は以下のとおりだ。
軽度から中程度の高血圧患者20人をくじ引きで2つのグループに分けて、一方のグループ(暴露グループ)には4週間、6Hzと8Hzの電磁波(最大磁場1μT、最大電場10V./m)の1セッション10分~15分間の暴露を1週間に2回以上行った。もう一方のグループ(偽暴露グループ)には曝露セッション中、電磁波の発生装置をオフにしていた。
収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)をそれぞれ試験前の登録時とそれぞれの電磁波暴露セッションの前後と全体の暴露治療終了1週間後に測定した。
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図2 電磁波による血圧の降下。(論文のデータをもとに著者作成) |
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結果は、暴露グループでは試験前の血圧と全体の曝露治療後の血圧で平均11.7mmHg下がった。一方、偽曝露群でも-3.2mmHg下がったが、その差は統計的に有意で、たまたま偶然の結果ではない、と判断される値であった。(図2)
この試験法は、二重盲倹無作為化試験(RTC)といい、薬やトクホの効果を確認するために行われる臨床試験と同じ方法だ。電磁波のこの効果は、少なくともトクホ並みの証拠はある、ということになるだろう。
では、ずっと電磁波を浴び続けたら、どんどん血圧が下がっていかないかという心配も出てくる。試験では、140~150程度の高血圧状態では、一回の電磁波曝露セッションで血圧が下がる幅が大きく、徐々に血圧が下がってくると電磁波による効圧作用の幅も小さくなっていった。
論文では「電磁波曝露では正常値以下には血圧は下げないのではないか」と考察されている。
◇電磁波によって血管が拡張か?
それにしても、どのようなメカニズムで電磁波が血圧を下げるのだろうか。
論文の中では、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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図3 高血圧に効果がある電磁波の身近な発生源は車のタイヤ
(出典:拙著「危ない電磁波から身を守る本」 コモンズ刊) |
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