機械化の果ての雇用
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スーパーでもセルフレジを見かけるようになった。行き着く先は、かつてIBMがCMで流していた、全自動レジだろう。レジにカゴを乗せると、ピッピッピッピッピッと勝手にバーコードを読み取って、お会計はいくらです、とやってくれるやつである。
JRや私鉄におけるSUICAやPASMOの導入で駅員が減ったように、単純労働はどんどん人間が不要になって、機械に置き換わっていく。社会の中から「絶対必要数」が減っていくのだ。
機械化で人件費を削減できれば、中長期的には、エーエム・ピーエム・ジャパンの利益が増え、利益は法人税と株主(レックスホールディングス)に分配される。単純化すると、かつてはアルバイトの収入だったお金が、国庫と大企業に転移されるわけだ。
数十年先の、技術革新で機械化が進んだ行き着く先の究極形社会では、単純労働の絶対数が減り、一部の資本家と国に富が集中する。そこで出てくるのが、ホリエモンや山崎元の言う ベーシックインカム論 である。
みんなが働かなくてもいいじゃないか、一部の超優秀な人がガンガン稼いで(つまりホリエモンみたいな人がどんどん自動レジやSUICAを開発、導入して利益を吸い上げる)、税金を沢山納めて、国がダイレクトに国民全員に最低限の生活費を再配分したほうが効率的ではないか、というものだ。
言ってみれば、産油国みたいなものである。みんなが稼がなくても豊かな、ブルネイのような国。
これは経済合理性で言えば数値上は正しいと思うが、私は反対である。社会政策上、みんなが何らかの形で働いている社会のほうが安定しているし活気があるし、人間らしいと思うからである。
したがって、多少はコスト高になっても、社会全体に働き口を与えるような雇用政策が必要で、そのためには単純労働でない高度な仕事に就く、または仕事を創出することにつながる教育を、公的資金で充実させていくのが正解だろう。
頭を使わない「単純労働大好き人間」にとっては、未来の世界は多少、生きずらくなるに違いないが、それでよいと思うのである。
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読者コメント
みんなが働かなくていいじゃないかの社会の先(もしかするとさらにその先?)を考えるうえで、こんなテクストも発想のたすけになるカモ?
↓
<ものあまり夢想>
ttp://1101.com/darling_column/archive/2005-03-07.html
地方の公共工事が指名入札に逆戻りしているという報道がありましたが、「道路の穴掘り・穴埋め」のような必要性のない無駄な公共事業のほうがベーシックインカムよりもマシだと渡邊さんはお考えですか?
経営の観点から行けば、多少高コストでもこちらを選ぶというからには、それなりのプラスがなければいけません。
私は機械化できるものはドンドン機械化すべきだと思っています。それで雇用がなくなるかといえば、絶対になくならないと確信していますから。
機械化しても人が必要な部分はどの産業でも必ずあります。そこを分厚くしていければ、産業の生産性も上がりますから、そちらの方が良いかと思います。
経済的合理性って、ドライで冷たいよなあ、と最近強く感じています。ホリエモンの会社経営にもそれを感じていました。ちょっとぐらい非合理なほうがいいのかも。
無人POSレジは阻止したいです。
一人暮らしで毎日スーパーのレジの女の子に会うのが楽しみなのにそれが無人レジになったら。。
一人暮らしのお年寄りでもレジの子に会うのが楽しみの人は結構多いはずです。
歯止めのない機械化はもうウンザリです。。
今週号の週刊朝日の宮崎哲弥&川端幹人の連載対談で、渡邉さん、ディスられてましたよ。
ここに書かなくても、渡邉さんはご存知かもしれませんが。宮崎さんは、今や売れっ子芸人化してるので、彼の悪口を書く人はいないんですかね?
個人的には嫌いじゃないけど、売れてくると落としたくなるのがマスコミの性質なのかな、なんて思いましたので。
記者からの追加情報