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大手スーパーの万引き防止マニュアル 「客から教えられても捕捉は厳禁」のワケ

情報提供
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業界全体が、万引き防止に取り組む。店内ポスターは、従来は目立たないように張っていた。最近は目立つように張る。
 全国に約200店舗を展開する大手スーパーは、万引き被害を年推定15億円強と試算する。大量盗難、トイレ持ち込み、レジを通らない「籠脱け」など万引きの手口は多種多様だ。再犯者や常習者も多く、同社は2007年度から『万引対策基本マニュアル』を改訂し、『盗品が1000円以上で、14歳以上の者は原則、警察に通報』などと定めた。一般客としては、万引き現場に遭遇しても、気を利かせて店員に教えても無駄だということがわかる。
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 東証一部上場の大手スーパーマーケット(以下、A社)で、今年度から経営の重点課題の一つとして、防犯体制強化が打ち出された。筆者は、A社の店舗管理者や保安関係者よりマニュアルを入手し、裏事情を聞くことができた。

 従来は『客商売』という立場が優先し、「捕まえることよりも、万引きをさせない」という防止策をとっていた。「いらっしゃいませ。何かお探しですか」という声かけが中心だった。

 それが今年からは「被害金額を問わず、犯人は捕まえよ。捕捉は最大の万引き防止」という方針に切り替えたのだ。

◇200円、300円の玩具がほしくて盗む
 万引きは年齢、性別を問わず老若男女で、手口は多種多様である。一律に規定がむずかしいことから、従来は店舗管理職の状況判断に任せていた。

 他方で、近年は万引きによる被害が、経営的にも圧迫する数字となってきた。A社はこのたび『万引対策基本マニュアル』を改定した(画像参照)。「犯罪者には厳罰で臨む。いくつかの対象者を除いて、警察に引き渡す」と全店統一の対応を決めたのだ。

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最近は万引きの再犯、悪質な手口による高額の被害などが急増した。『犯罪者には厳罰で臨む』という姿勢から、万引き対策の『マニュアル』を改定した。
 A社の保安関係者によれば、少子化傾向にあっても、青少年の万引きは相変わらず多いという。

 『万引対策基本マニュアル』では、未成年者の場合は年齢別に3種類に分類し、それぞれに細かな対応を明記している。

 ■犯罪少年(14歳以上~20歳未満)
 ■触法少年(14歳未満)
 ■年少者(小学3年生以下)

 「年少者」を万引きの現行犯で捕捉した場合は、単独犯の場合は保護者を呼ぶ。保護者不在の場合は学校。複数犯の場合も学校、と決めている。

 店舗管理者の話では、かつて保護者との連絡が取れず、苦慮するケースが多かったという。最近は小学校低学年でも、親が携帯電話を持たせることが多く、連絡がつきやすくなったらしい。

 「連絡すると、親は職場にいても、まず駆けつけてきます」と、都内・中野区の店舗管理者は話す。200円、300円のキャラクター商品をみた親は、「なんで、こんな安い商品を盗むの?」と苛立つ。

 少子化の影響だろう、親は1人の子どもに高額の品物を与える。それが親の愛情のバロメーターだと錯覚しているようだ。

 週末の玩具売り場で、よく見かける光景だが、親が子どもに「こっちにしなさいよ。これが良いでしょ」と3000円、5000円の物を決めてしまう。それは親が自分の趣向で選んだ品物。子どもとすれば200円、300円の玩具がほしいのだ。

◇小学生万引きの背後にいじめ問題
 「触法少年(14歳未満)」の場合は、万引きは悪いことだという分別がつく。しかし、刑法の窃盗罪だという認識がうすい。世間のみならず、学校の教師でも「万引きは悪戯心、遊び半分による行為」という意識が見受けられる。

 A社保安課の関係者は、「万引きの背後に、いじめ問題の影がみえるケースがある」と話す。さいたま市内の店舗の事例が聞けた。

 気の弱そうな小学4年生が、文具の万引きで捕捉された。未成年者は慎重な取扱いが必要になるので、店長か、副店長が対応する。警備員室で、事情を聞いた。

 「おなじボールペンを10本も必要ないだろう。ふつうだったら、別々にいろいろな物を盗るんだ。いじめられて、万引きをやらされたのか?」

 最初は黙秘だったが、少年はやがて語りはじめたという。

 クラスで集団万引きがあった。それに加わらなかった少年は同級生から、「いい格好するな、お前だろう、先生に告げ口したのは」と言われた。否定すると、クラスのボスから、「一人いい格好じゃなければ、

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(上)制服ガードマン。万引きを捕捉したならば、店長、もしくは管理職が対応する。氏名や住所を答えなければ、即座に警察に通報する。(下)防犯ゲートの周りはつねに監視の目がある。発報すると、10秒間の録画がなされる。それをパソコンに取り込み、犯罪歴をつくる。

(上)スモークガラスの内側から、保安員が不審な者を見張る。売場からは、まったく気付かれない場所だ。(下)万引きは従業員の死角を狙う。保安員はその死角など熟知している。保安員は上手に身を隠し、防犯ミラーを270度の視野で使う。

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読者コメント

これは犯罪?2014/04/28 01:04
虎ミニ2008/02/01 02:51
sad2008/02/01 02:51
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