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01/25 2010
 どのくらい失敗するかが見ものとなっている日経の電子新聞。その概要が発表されたらしい。そこから見えるのは経営陣の「自分らだけは逃げ切りたい」という姑息な考えだ。

河内孝氏の連載によると、
 ・創刊は3月。
 ・電子版だけを契約すると月4000円。
 ・紙と両方契約すると月5300円。
 ・当初の課金はカード決済のみ。

 ウェブ版に月4千円も払う奇特な人はほとんどいないと思われるので、ここで売上が立つとは日経自身も思っていないはずだ。これを1~2千円にしてしまうと「ウェブだけでいいや」と紙の購読者(月4300円)が減って、広告収入も減ってダブルパンチだから、安く設定できない。紙→ウェブへの移行を極度に恐れていることがよく分かる。

 つまり、紙にプラスオン1000円の5300円でウェブも契約してね、ということだ。

 コスト構造が変えられない以上、つまり、社員の給料も社員数も印刷施設も全国の拠点も販売網もそのままである以上、全体の売上が下がるだけだから、それだけは絶対に避けたいわけだ。

 紙の部数を減らさなければ、経営陣は責任を追及されることもなく、数年は延命できる。だから、かなり保守的な設定にしたのである。

 社内向け資料で会社側が説明しているとおり、日経は販売店をフル活用するつもりでいる。300万部のうち宅配率が9割で約270万部くらいとみられるが、270万世帯にローラー作戦で営業させ、たとえば1件とれれば2万円、といったインセンティブを与えて、プラスオンの月1千円をとりにいく。1%が引っかかれば2万7千の契約になり、ネットだけに4千円払うレアな人(海外在住者など)も合わせれば1年以内に3~4万の契約はとれるだろう。

 それで現経営陣は「電子新聞の礎は築けた、あとは頑張ってくれ」とハッピーリタイアメントするわけだ。ただでさえ赤字の業績に莫大な販管費がのしかかり赤字幅は拡大するが、上場企業でない日経がインセンティブの金額を公表する必要はないので、経営陣は対外的には成功だと言い張れる。そのコストは他の部門につけかえればいいから、電子新聞の部門業績にも表面的には影響しない。無能な経営陣の予防線が透けて見える。

 ただ、販売経費のコスト増で電子新聞の初期投資も回収できないから、会社全体の業績は赤字体質はさらに悪化していく。「ヴェリタス」よりもさらに赤字体質な不採算のメディアが1つ増えるだけなのだ。

 確かに、現在の日経の環境で、大きなリスクをとらずに電子新聞を進める方策はこれしかないようにも見える。硬直化したコスト構造が定着し、労組はとにかく雇用と賃金を主張し、労基法は二の次、週休2日もいらない、ときどき人が死んでも容認、という姿勢なので、経営陣は最大のコストである人件費の柔軟な見直しを言い出せない。4月から人事制度を変えて、世代が変わるスピードに合わせて若手社員から給与水準を引き下げていくことくらいしかできない。

 本当の経営者なら、労組を説得して、抜本的なコスト構造の転換で電子新聞を事業の1つの柱に育てようと挑戦するはずだが、現在の無能経営者には、このように予防線を張って問題を先送りすることしかできないのである。

 
15:13 01/25 2010 | 固定リンク | アクセス数(617) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

コメント
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匿名希望  09:30 01/28 2010
日本企業のトップを見渡すと、社長やCEOは60歳以上が大半。会社人生のいわゆる「あがり」に近い段階で、業界の将来を見据え、新たなビジネスモデルを構築するなんてそもそも困難なのでは。オーナー社長なら、「次代もこの会社を生き残らせる」との気概や気合もあるかもしれませんがね。
@  16:17 01/26 2010
この種の問題先送りについてあらゆる業種の企業や公官庁、強いてはビジネスパーソン、学生に対して警鈴をならしてきたのが日本経済新聞ではなかったのか。自ら新しいビジネスモデルを創る可能性のある現場の若い記者や中堅社員に対して責任を感じていない現経営陣は変わる必要がある。日経に限らず、このまま抜本的な改革を実行しないのであればJALのように企業支援機構の傘下入りする新聞社が将来出てくるのではないだろうか。
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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