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09/30 2015
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金融事業がエレキを補填する形になっているソニーの業績
 先月までの一連の取材で記事を4本書いたが、ソニーはどこに向かうべきなのか、という話も、社員・元社員に毎回、聞いていた。今回、私なりのソニーが目指すべき戦略について、意見をまとめておこうと思う。ソニーは、古い日本企業の縮図(バブル期入社組の40代後半以上が多い、年功序列型賃金、終身雇用、コモディティー化、新興国企業との戦い)ともいえる会社で、他社にとっても、その答えは応用がきくであろうからだ。なお、インタビュイーは全員、いわゆる有名私大卒のエレキ事業に属する男性で、多様性のなさも日本企業らしい(20代~40代)。

1:職務給「ジョブグレード制」採用で、ほとんど全員年収カットへ
2:ヒット商品が出ないワケ――バラバラ組織、あきらめの早さ、尖ったモノを出せないプロセス…
3:「久夛良木さんに社長をやって貰いたかった」TV時代の部下が語る失敗の原因、リストラの窮状
4:早期退職した社歴15年超の技術者が感じた 「この会社、社長に権限ないんじゃない?」の現場

 ソニーの2015年3月期決算は1259億円の最終赤字で、無配だ。傾向としては、金融分野が安定的に収益を稼いでいるが、エレクトロニクス(エレキ)分野が赤字続きであるため補填しきれず最終赤字になる、という構造が、ここ10年で定着した感がある。

 「今のソニーは、ジャックウェルチが就任した当時のGE。20年くらいかけて痛みを伴う構造改革を続けるしかない。フィリップスが『医療』『照明』『白物家電』の3つに絞る構造改革をしたように、大きなイノベーションがなくても稼げる市場を、確実に抑えていくべき」。数年前に話を聞いた中堅社員は、「でも、それはソニーには無理」ということで、ほどなくソニーを辞めた。

 今のソニーに、「選択と集中」による構造改革が必要だという点は、誰も異論はないだろう。問題は、この10年、社員を減らすことに苦心してきたものの、いまだ7割超の社員が赤字体質なエレキに所属しており(連結社員数14万人のうち約10万人がエレキ、利益が出ている金融は8500人)、そこが胴体であり創業の事業であるから、エレキ中心に考えざるを得ない点にある。

 業績拡大期はともかく、苦しい時期は、本業に立ち返り、本業に全リソースを集中するのがセオリーだ。ブラック批判で赤字転落したワタミは、本業の外食で生き残るため、介護事業の売却を決めた。真っ当な戦略である。

 もちろん、何を選択するかが重要だ。シャープは「選択と集中」を誤って、コモディティー化の宿命を背負っていた『液晶事業』を選択して集中投資してしまい、現在、その液晶事業を売却せざるを得ない方針に追い込まれ、決定的な苦境に至っている。

◇グループ内に金融・音楽・映画会社は要らない
 まず、迷う必要なく真っ先に判断可能なのは、非エレキ部門だ。金融・映画・音楽は完全に切り離し、売却すべきだと思う。エレキとのシナジーがないどころか、逆に足かせになっているからだ。

 iPodでアップルに先行を許した際に議論になったが、特定の音楽レーベル(ソニーミュージック)や映画会社(ソニーピクチャーズ)を連結グループ内に持ってしまっていると、本業のエレキ製品で“等距離外交”ができず、消費者からもそう見られてしまい(アンフェアな品ぞろえだろう…)、さらに利害相反(iPodが普及するとソニーミュージックのCDが売れなくなる、著作権が侵害される…)を生み、不利なことばかりだ。

 実際にソニーのスマホ「エクスぺリア」を使ってみても感じるが、消費者はソニーグループのコンテンツだけを見たいわけでは全くない。特定のレーベルに所属するアーティストや作品だけを見たい・聴きたいという消費者などほとんど存在せず、自分の好みに合った作品を横断的にすべて鑑賞したいのである。従ってソニーは、絶対に、どの音楽・映画会社とも等距離でなければいけない。

 金融についても、これまでのソニーは、エレキの赤字を金融の黒字で埋め合わせることができたため、エレキの改革が放置されてきた面がある。消費者や株主はともかく、「社員共同体」としては、それが望ましかった。自分が在籍している間に、雇用と報酬が保たれれば、それでよいからだ。それがこの10年である。

 「サラリーマンの会社なので、行くところまで行って“ゴーン”が来ないと。でも、金融とイメージセンサーがあるだけに、中途半端な状態なんです」(昨年、早期退職で辞めた元社員)

 つまりソニーは、本業のイメージセンサーはともかく、金融事業を抱えているために、背水の陣を敷く必要がなかった。資金的な余裕があるので、サラリーマンあがりで内部昇格した経営陣が、あえて同僚たちを露頭に迷わせる「コストカッター」を、次の社長に迎え入れる理由がないのだ。

 当時の日産のような、または今のシャープのような、危機的な状況に追い込まれれば可能だが、安定的に儲かる金融事業やシェアトップのイメージセンサーを持っているため、そうならないまま、中途半端な状態でジリ貧が続いてしまった。

 さらに、映画や音楽でも利益が出ていたために、コングロマリットの宿命として、当然、黒字事業からCEOが輩出され、したがって、社員の7割超がエレキに属する会社なのに、エレキ出身者が経営トップに就けず、エレキ中心の戦略が立てられず、ズルズルと赤字が垂れ流され、ますますエレキから意思決定者を送り込めない、という悪循環が、2005年のストリンガーから、10年以上続いている。

 ソニー生命・ソニー損保・ソニー銀行の客は、ソニーブランドに惹かれて加入しているのか?ゼロとは言わないが、もはや全く別モノだと考えられていると思う。それぞれ独自ブランドとして成長した金融事業は、高く売れる。映画・音楽も含め、「背水の陣を敷けない」「CEOを輩出できない」「シナジーがないどころか新事業の障害になる」という“エレキ再生の足かせ”は、早々に切り離してカネに換え、エレキ再生の資金とするのが、賢明な選択である。

◇GEの構造改革は米国ならでは
 グローバルメーカーを例にソニーが目指すべき方向をあげるとすると、いくつかの選択肢があるわけだが、先例から、大きく以下の4つがある。

① GE:業界横断的な「選択と集中」。一時は金融を儲け頭に。
② フィリップス:メーカーという括りの中での選択と集中。
③ IBM:モノづくり→関連サービス業への業態転換。
④ BMW:同じ製品のなかでの高付加価値品へのこだわり、特化。

 GEは、「選択と集中」によって、一時、金融事業が営業利益の過半を占めるまでになり、今また、製造業に回帰しようとしている。

 ソニーは既に金融に手を出して儲かっているから、カルロス・ゴーンのような経営者を招聘して、「ゲーム」「イメージセンサー」「金融」に特化して残りは順次売却、みたいなGE方式をやれば、短期的には利益が出るだろうし株価も上がり、稼ぎ頭が不明なシャープに比べると、生き延びやすい。

 だが、事業を従業員つきで、短期間に売ったり買ったりできる環境は、企業別労組が強い日本のメーカーにはなく、労使交渉をやっている間に事業環境が変わってしまう。

 今回の取材でよくわかったのは、「大胆なリストラ」と対外的に言ってはいるものの、辞める人にも減給する人にも、配慮に配慮を重ねまくるという、「社員共同体」としてのソニーの姿だ。降格になる人でも、初年度最大2%減まで、次年度で5%減まで、など、超温情的な激変緩和措置が設けられていた。

 ソニーは、ただでさえ日本で一番給料が高いモノ作りメーカーなのだから.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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画面が曲面になっている、LG電子のcurvedTV。セブの電器店にて。ソニーは目新しい新製品を出せていない。
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ソニーのヒット商品が生まれない「負のサイクル」

 
18:18 09/30 2015 | 固定リンク | アクセス数(7078) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

コメント
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   09:10 10/03 2015
まずコストカッターという括りにゴーンさんを入れているが、”いかに再生させるのか?”という経営力があったから結果が違ったのだろう。電機のS社やP社には居座り型でコストカッターの経営者が居たが、すばらしい経営戦略と経営判断があっただろうか? 停滞、衰退した時に ”如何にして経営者を交代させるのか?”のほうが本当は重要なことだろう。広告費がほしい大手メディアや献金と票がほしい政治家には不都合な真実だから話題や議題にならないのだろう。
   20:04 09/30 2015
SONYはずっとずっと赤字のイメージがあります。しかしなぜ今まで存続してきたのか分かった。
音楽、映画はエレキと実は相性が悪いというのも間違いない。

ただ問題は渡邊編集長の示した処方箋を実行できるリーダーが今のSONYにおるんかいな??という点だろう。

この会社破綻するか元産業再生機構の冨山和彦氏のような人物をトップに置かないと変わらないと思う。
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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