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東金幼女殺害事件、警察・検察・マスコミでデッチ上げの疑い濃厚
公判前整理手続の結果について記者会見で報告する勝木諒氏の弁護人・副島洋明弁護士。被害者の女児と等身大・同体重(109センチ・18キロ)の人形を使って検証した結果などから勝木氏は無罪だと確信している。(1月25日)

 足利事件では菅家利和さんがえん罪で17年半も拘束され続けたが、また警察・検察によるデッチ上げの疑いが強い事件が発覚した。2008年9月、千葉県東金市の路上で5歳の女児が死体で発見、近くに住む知的障害者の男性・勝木諒氏が殺人犯として逮捕・起訴された事件で、勝木氏は現在まで2年以上にわたって囚われの身。だが、筆者が弁護人の話を聞き、実際に女児と同じ重さの人形を抱えてみた限り、検察の描くストーリーには明らかに無理があることが分かった。どうやら「知的障害者を犯人視した警察・検察と、そのリークに踊らされたマスコミ」という、えん罪の構図が濃厚なのだ。

【Digest】
◇「彼は無罪、犯人じゃない」
◇「公判前整理手続」という密室裁判
◇ レジ袋の指紋・掌紋は「別人のもの」
◇「18キロ抱えて300メートルも歩けない」
◇ 知的障害ゆえに「著しく運動能力がない」
◇ ほめてもらいたい心理と供述の信用性 
◇「やったの? やってないの?」認否型質問で誘導か
◇ 逮捕状請求書記載の「指紋一致」も怪しい
◇まさか? 逮捕までがでっち上げか…
◇警察の非公式情報に踊った大マスコミ

 弁護人によれば、物証とされる指紋・掌紋は「不一致」で、「犯行経緯」も勝木氏の体力などからみて不自然、東金署が請求し八日市場簡裁が発行した逮捕状すら、その手続に不審点が浮かんでいるという。警察・検察、そしてマスコミの手によってある日犯罪者にされてしまう、戦前を彷彿させる恐怖の構図が浮かぶ。

◇ 「彼は無罪、犯人じゃない」
 「きょう第8回目の公判前整理手続が千葉地裁でありました。無罪であるという主張と証拠をきょうですべて出しました。弁1号証から34号証までです…責任能力とかそんなのは主張しませんから。犯人性がない、とういことが基本ですから」
 
 1月25日夕方、都内の事務所で報道関係者を前に勝木諒氏の弁護人・副島洋明弁護士は穏やかな表情で切りだした。

成田幸満ちゃんの遺体が発見された資材置き場= 千葉県東金市=(上)と、「指紋一致」により近く勝木氏を逮捕するという警察の方針を報じる2008年12月6日付朝日新聞夕刊。勝木氏が幸満ちゃんを抱きかかえたまま300メートル以上運び、片手で抱えて殺害したとする検察に対し、弁護側は検証結果から不可能だと主張する。

 

 

 新聞によれば、千葉県東金市の住宅街で、5歳の少女・成田幸満ちゃんが死亡した状態で路上に置かれているのを通行人が発見したのは2008年9月21日の昼すぎ。衣服はつけておらず、遺体発見からまもなくして、100メートルほど離れた駐車場でレジ袋に入った衣服が見つかった。

 これから2ヶ月半がたった12月6日、千葉県警東金署(藤野邦義署長=当時)は、発見現場近くで暮らす無職で知的障害者の勝木氏を死体遺棄容疑で逮捕、さらに殺人容疑でも再逮捕する。幸満ちゃんを拉致して自宅で殺害、その遺体を捨てたという疑いだ。

 千葉地検は昨年4月17日、未成年略取・殺人・死体遺棄罪で勝木氏を千葉地裁に起訴する。起訴状の内容は、新聞によればおよそ次のとおりだ。

 〈勝木被告は昨年2008年9月21日昼ごろ、千葉県東金市の自宅マンション近くの路上で成田幸満ちゃん(当時5歳)を連れ去り自室の風呂の水に沈めて殺害、服を脱がせて裸にした遺体を約100メートル離れた資材置き場付近の路上に遺棄した〉

 勝木氏が殺人犯だ、と検察は裁こうとした。そこへ副島弁護士をはじめとする弁護団が、無罪である、つまり濡れ衣であると真っ向から立ちはだかったわけだ。

 勝木氏が犯人である、とする千葉県警や千葉地検の見方に立った報道はすでにおびただしく流されているので、あえて筆者が報じるまでもない。本稿ではもっぱら「無罪」を主張する弁護側の言い分を取り上げて紹介する。これは「犯人視報道」の量に比べると圧倒的に少ない。

◇「公判前整理手続」という密室裁判
 無罪であるとする弁護側の説明を紹介する前に、「公判前整理手続」について説明しておこう。

 公判前整理手続とは栽培員制度をにらんで「刑事公判の迅速化」を名目に、2005年から導入された手続きだ。検察・弁護人の双方が出席して裁判官の指揮のもと、公判で立証する内容をあらかじめ開示する。証拠や主張する内容も提示して、流れが固まった段階で公判を開いて「予定どおり」に進めて行く。傍聴は認められず、必ずしも被告人が出頭する必要もない。

 罪状に争いがなく単純な事件なら、一般的に1回から3回程度で整理手続を終えて公判を連日開廷する。早ければ2日~3日で裁判は終わる。だが今回の事件のように無罪を争う場合など検察側と弁護側の主張が真っ向から対立すると、容易に「整理」は終わらない。公判の「シナリオ」が確定するまで延々と整理手続を繰り返す。「整理」といいながら事実上、裁判ははじまっていると言っていいだろう。

 事実上の裁判がはじまっているにもかかわらず傍聴が認められず非公開の密室のなかで行われているのは憲法が保障する裁判公開の原則に反するのではないか、と筆者は感じる。だが、裁判の核心部分ではない、という解釈によって非公開にされている。

 さて、東金市の事件では、1月25日までに8回の公判前整理手続が行われた。第8回目の手続で、弁護側は公判で主張する予定のすべての主張と証拠を提示し終えた。一方検察側は、副島弁護士によれば、次回2月12日の第9回整理手続までに、とりあえずできるところまでの反論をする、と述べたという。したがって、もうしばらくは公判前整理手続が繰り返されそうだ。この手続きが終わらない限り公判ははじまらない。

 以下、勝木氏が無罪である理由について副島弁護士の話を聞こう。理由はいくつもある。まずは指紋と掌紋についてである。

◇ レジ袋の「指紋・掌紋」は別人のもの

 「弁第1号証~弁第3号証という斉藤さんの鑑定書と上野正彦先生の意見書・鑑定書…つまり、指紋に関する鑑定書です」

 副島弁護士が説明するのは、元栃木県警鑑識課員で指紋鑑定士の斉藤保氏と、監察医の上野正彦氏による指紋・掌紋の鑑定結果である。

「指紋一致」を根拠に勝木氏の逮捕状を請求した千葉県警東金警察署(上)と、逮捕状を発行した八日市場簡易裁判所=千葉県匝瑳市(そうさし)=(下)。指紋一致の証拠はいまだその存在すら定かではない。
 幸満ちゃんの衣服が入れられていたレジ袋からは、指紋・掌紋が検出されたとされる。検察によれば、それが勝木氏のものと「一致した」。数少ない物証のひとつで、勝木犯人説の決め手とされた。指紋が一致した、とマスコミでも大々的に報じられてきたものだ。

 この指紋・掌紋の「一致」に弁護団は疑問を抱いた。そのわけは後に触れるが、公判前整理手続の場で検察側が提示した指紋・掌紋の証拠について、あらためて独自に専門家に依頼して、本当に勝木氏のものと同じものなのかどうか検証した。その鑑定を行ったのが斉藤氏と、上野氏だった。

 両者ともに鑑定の結果は次のとおりだった。

 レジ袋の指紋・掌紋は勝木氏のものではない。別人のものである――

 斉藤氏、上野氏ともに数多くの事例をみてきたベテラン中のベテランである。その2人がそろって「別人」というのだ。検察側が決定的証拠としてきた指紋・掌紋は、その信用性に大きな疑問が出てきた。もし指紋・掌紋が勝木氏のものではないのなら彼は無罪で、犯人は別にいるということになる。

 そもそも検察側の主張では、勝木氏は自宅の風呂の水に幸満ちゃんをつけて死亡させ、服を脱がせてビニール袋に入れたということになっている。もしそうだとすれば、衣服も遺体もビニール袋も、そして勝木氏の手も風呂の水で濡れているはずだ。ところが、弁護団が実験したところ、濡れた手でビニール袋をいくら触っても、指紋や掌紋は残らなかった。検察ストーリーでいけば、レジ袋に指紋が残されていること自体、不自然だというのだ。

 指紋・掌紋の問題に関して検察側の反応はどうなのか、副島弁護士がいう。

 「これに関しては検察も時間がかかっているみたいですね。あちらもそれなりに何とか反論したいということで。次回の2月12日までには間に合わないかもしれないと言っていますね」

◇「18キロ抱えて300メートルも歩けない」
 死体遺棄現場近くのショッピングセンター内に設置された防犯カメラ。出入りする多くの客の姿があますことなく撮影され、ときおり警察に提供されている。勝木氏とされる男性の姿も映っており、検察側は氏が殺人犯である証拠だと主張する。
 じつは、弁護団も弁護を引き受けた当初、「勝木氏はやっていない」とは思っていなかったという。胡散臭さを感じたのは、検察の描くストーリーに沿って犯行を再現してみた、そのときの実感からである。

 被害者の5歳の女児は体重が18キロ、身長109センチ。弁護団は、等身大で同じ重さの人形を作成、犯行の再現実験をした。昨年7月ごろのことである。

 検察が描く犯行の状況は次のとおり。

 足をばたばたさせている幸満ちゃんの両脇を抱えて、300メートル以上歩いて自宅に連れて行った。口をおさえたりもした。抱えたまま脱衣場を通って風呂場に行った。左手一本で幸満ちゃんを抱えたまま、もう一方の手で風呂のふたを一枚一枚あけて壁に立てかけた。それから幸満ちゃんを風呂に沈めて死なせた。さらに死体となった幸満ちゃんの服を脱がせてレジ袋に入れた。幸満ちゃんを抱えて自宅を出て、資材置き場まで約180メートルの距離を徒歩で運び、遺棄した。――

 一連の「犯行」を実際に人形をつかってやってみた副島弁護士は、その感想をきっぱりとこう話す。

 「(300メートルなど)とてもそんなに歩けない。そんなもの手足がしびれてしまう。みなさん、やってみるとわかるように、体力があったとしても肩に担ぐとか体に密着させないと300メートルも運べませんよ」

 副島弁護士自身は、10メートルほど進むのがやっとだったという。

 弁護士にすすめられるまま、筆者も18キロの人形を抱えてみた。ずっしりとした重みがある。腰を入れて構えないとふらつきそうだ。コメにたとえれば5キロ入りの袋4つ弱である。筆者は、いつも行くスーパーからコメを3~4袋抱えて数百メートル離れた自宅に徒歩で帰る.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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記者コメント
勝木諒氏の弁護人だった副島洋明弁護士が、弁護人を辞任していたことが4月16日、わかった。理由は明らかにされていない。副島氏の事務所は「追って説明すると思う」と話している。
本文:全約8900字のうち約5300字が
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勝木諒氏の弁護人だった副島洋明弁護士が、弁護人を辞任していたことが4月16日、わかった。理由は明らかにされていない。副島氏の事務所は「追って説明すると思う」と話している。 (三宅)