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中国進出8年で現地社員16人、顧客120社に ウノコーポ社長に聞く「中国ビジネスの表と裏」

情報提供
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ウノコーポレーションの宇野俊雄社長
 徒手空拳で中国に1人乗り込み、8年で上海、天津、広州と事務所を開き、年3億円ほどの売上げに成長させた福井県の工場向けドリルメーカー・ウノコーポレーションの宇野俊雄社長(58歳)。自動車やケータイ部品、アップル向け部品の掘削にも使われ、好調なアップルの業績を追い風に、2011年3月期はグループ売上約20億円のうち、中国での売上は3億円ペースに載せた。現地で中国人16人を雇い、120社の顧客を持つ。リサーチ段階から現在までの10年間、中国での成功と失敗、その教訓について、話を聞いた。
Digest
  • 役人のリベート要求
  • 留学生に1千万円渡し
  • 食事とお土産が基本
  • KTVとハニートラップ
  • 大卒・日本語検定一級で月2~3万円の上海
  • 「ベンツで迎えに来てくれ」

役人のリベート要求

もともと、上海から100キロくらいのところにある江蘇省の「南通」という市政府の求めに応じて、地元・福井県の武生市(現在は合併して越前市)の商工会議所として、地場企業に数十人の研修生を受け入れていたんです。南通市は、外国人派遣事業として、日本全国に中国人を送り込んでいました。

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ウノコーポレーションの生産設備

それで、2001~2002年のことですが、ウチも「工場として研修生を受け入れたい」と申し出たところ、ウノの製品を中国で売りたい、と言って来たんです。

市政府のエラい人が来て「個別に会いたい」というから会ったら、「ひいては、売れた分についてはリベートをくれ、30%で」と。中国では、役人が自らビジネスをやるのか、と驚きましたね。

中国式「飲み食いビジネス&バックマージン」の世界は、こうして始まりました。このリベートは口約束で、正式な契約を結んだわけではありません。それで、売り先の工場を見に行こう、ということになり、彼らの案内で、現地の工場を1年ほど、ぐるぐる見て回りました。彼ら役人は、自分が儲かる話なので真剣です。ディーゼルエンジンの工場、ケータイの金型の工場などを訪問しました。

当時の中国の工場は、まさにローテク。100人ほどが人海戦術で手作業をしている。自分は18歳からこの仕事をやっているのですが、バック・ツー・ザ・フューチャーです。あの頃の日本と同じだな、と。それで、現在のコンピュータ制御された機械を使えばミスなく正確に削れて人もいらない、という話をすると、「確かにいいが、値段は高い」と。

結局、売れなかったのですが、私としても、巨大市場である中国への進出に興味があったので、いいリサーチ活動になりました。中国は、政府と企業が一体なんです。ただ、国営だから、やる気がない。でも、ニーズがあることは分かりました。

留学生に1千万円渡し

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「街を歩いていても、日本は元気がないと感じる。東京に来たらエスカレーターまで止まっていてビックリした」

2003年に会社を作ろうとしたら、独資はダメだ、と。でも、既にWTOに加盟(2001年)していたし、2005年には解禁されるだろうと睨んで、まずは中国人と一緒に会社を作ることにしました。そのために何をしたかというと、地元・福井大学にいた上海人をスカウトして採用しようと考えたのです。

大学に知り合いがいたわけでもないのですが、「工学部の先生はいますか?」「中国人の留学生がいますよね」と教授経由で持ちかけて、面接。日本に留学というと、当時は一部のカネ持ちしか来れないので、中国でも親のコネが利くだろう、と思いました。

ちょうど、当時35歳くらいの留学生が見つかって、2003年に帰国する予定だというので、採用することにしました。

その留学生に1千万円渡して、これで会社作れ、と。リサーチがてら、やってみよう、ということです。独資がダメなので、法的には彼の会社ですし、僕はセールス援助をするだけ。僕が営業をすることで客は取れるだろう、トヨタ系の会社に売れるはずだ、という見通しで、要は失敗してもいいから、営業と技術を試したかったんです。

そういった経緯で、8年前に上海に進出しました。ところが、2003年はいきなりサーズ

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