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原田信助はなぜ命を絶ったか―2 自殺した痴漢冤罪青年による110番通報の謎 目撃者、続々現れる

情報提供
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痴漢の疑いをかけられたまま自殺してしまった息子・原田信助さんの遺影を持つ原田尚美さん。この事件には様々な問題と疑惑がある。痴漢事件そのもの、関連して起きた暴行事件、一連の警察の取り扱いなどだ。背後の建物は警視庁。
 原田信助さん(当時25)は、JR新宿駅で痴漢と間違われ、女性の連れから暴行を受けた。自ら110番通報して助けを求めたが、新宿警察署では暴行被害については殆ど聞かれず痴漢の被疑者として取り調べられた。署を出た信助さんはそのまま地下鉄で自殺。警察は彼の死後に書類送検(不起訴)。母親の原田尚美(55)さんは警視庁(東京都)相手に国賠訴訟を起こした。信助さんの110番通報の時刻と内容すら明らかにされないなど不可解な点が多い。また現場の目撃者も続々と現れ、警察発表や提出資料との食い違いが目立っている。
Digest
  • 新宿駅の雑踏で目撃者捜し
  • 新宿署 痴漢冤罪&暴行&自殺事件
  • 死亡後に警察は書類送検
  • 110番通報で何が話されたか
  • 空白の27分に何が起きたのか
  • 現れた7人の目撃者
  • 目撃者たちの証言「11時20分ころ通ると、大きな血痕がいくつか」
  • 深刻な面持ちの青年「今から警察に行きます」
  • 女性目撃者「私が見た時刻と警察の言う時刻に食い違いがある」
  • 女性目撃者の行動を辿ってみた

新宿駅の雑踏で目撃者捜し

 木曜の夜11時近くになると、日本最大の乗降客を誇る新宿駅は、膨大な人であふれる。山手線と三鷹方面に向かう中央・総武線が発着するホームに登る階段に近い通路。

ホームに電車が発着するたびに、人の波が階段から押し寄せ、しばらくすると少し人が減り、次の電車でまた人波が押し寄せる。同じ場所でじっと見ていると、めまいがするほどだ。

黒ずくめで細見の女性が、ポスターを掲げ、頭を下げて途行く人々に呼びかけている。

「目撃者を捜しています」

「私の息子は去年(2009年)、この階段の下で数人の大学生に暴行されました。どんな情報でもけっこうです。憶えている方、ご協力おねがいします」

毎週、月・火・水・木・金の同じ場所、同じ時間帯に原田尚美(55)さんが現れるようになったのは2010年3月11日からである。金曜はあまりに人が多すぎるため火・水・木に絞り、約一年間その活動を続け、現在は特定の日だけ新宿駅構内に立つ。

駅構内で通行人に呼びかける原田尚美さんを私が初めて見たのは、事件から1年近くが過ぎようとしていた2010年10月12日のことだった。

黒装束の原田さんが赤字を使ったポスターを掲げると目立つ。途行く人々は足早に立ち去るが、ときおりポスターを眺めたりチラシを受け取る人も出てくる。そしてついに何人もの目撃者が現れるようになった(後述)。

息子の原田信助さんの身に災難が降りかかったのは、2009年12月10日木曜日夜11時ごろ、この場所でのことだった。彼が駅階段を登りかけたところ、痴漢の疑いをかけられ大学生らに暴行されたのである。

被害を訴えるため110番通した信助さんだったが、暴行事件の被害者としてではなく、痴漢被疑者として新宿警察署で調べられ、翌朝に署を出た彼は、地下鉄早稲田駅まで行って自殺してしまったのだ。25歳だった。

新宿署 痴漢冤罪&暴行&自殺事件

2009年12月10日午後11時ごろ、念願かなって転職した職場の歓迎会の帰宅途中、原田信助さんは乗り換えのためにJR新宿駅の階段を登り始めたところ、直前にすれ違った女子大生が「いまお腹を触られた」と言い、連れの男子大学生二人は信助さんを背後から階段を突き落とし暴行した。

信助さんは携帯で110番通報し、かけつけた警察官によって交番に連れ<て行かれ1時間半聴取、さらに新宿警察署に移送(任意同行)された。暴行事件の被害者として話を聞いて貰えると思ったら、痴漢事件の被疑者としての取り調べが数時間に渡って行われたのである。

女子大生の証言と信助さんの服装が違うことなどから、「痴漢の事実がなく

相互暴行として後日呼び出しとした」「乙が現認した被疑者の服装と甲の服装が別であると判明」と新宿署は「110番情報メモ」に明確に書いて帰宅を許した。

信助さんは、新宿署を出て地下鉄東西線の早稲田駅に向かい、列車に飛び込み死亡した。

ところが事件直後には、被害者とされる女性の被害届も供述調書もなく、信助さん本人の自白調書もなかったのに、彼の死後49日の2010年1月29日、新宿警察署は信助さんを痴漢容疑(東京都迷惑防止条例違反)で検察庁へ書類送検(本人死亡のため不起訴)した。不起訴を理由に痴漢事件の記録が公開されず、真相を闇に葬ることができるからである。

信介さんは汚名を着せられたままの状態である。

母親の原田尚美さんは2011年4月26日、東京都(警視庁)を相手取り、1000万円の国家賠償請求訴訟を提起した。これが「新宿署 痴漢冤罪&暴行&自殺事件」であり、支援者らは「新宿署違法捜査憤死事件」とも呼ぶ。

原田信介さんの国賠を支援する会
新宿署違法捜査憤死事件
母親の原田尚美さんのブログ「目撃者を探しています!!」
○ツイッター@harada1210

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事件現場のJR新宿駅構内でポスターを掲げチラシを配る原田尚美さん。熱心に話をきく通りがかりの人もおり、こうした活動の結果、10人近い目撃者が現れた。真実を追求する貴重な材料となるはずだ。

死亡後に警察は書類送検

息子を亡くした後、彼が残したICレコーダーを毎日少しずつ聞き始めると、なんと事件の前日夜から明け方にかけて、新宿駅西口交番とその後連れて行かれた新宿警察署内での取り調べの様子、そして釈放されて早稲田駅で車両に身を投じるまでの7時間以上がすべて録音されていたのだ。

当然のことながら、原田さんは息子が取り調べられた(任意同行だが実質的な取り調べ)新宿署、事件が起きたJR新宿駅、自殺した地下鉄早稲田駅や管轄する牛込警察署、さらには早稲田駅から東京女子医大救急救命センターに信助さんを運んだ東京消防庁戸塚救急隊に問い合わせた。

亡くなる二日前まで元気にしていた息子の突然の自殺。しかも前日に新宿駅で暴行事件に巻き込まれ、あろうことか痴漢容疑で調べられていたとなれば、いったい何がどのように起きたのか、母親が知りたいと思うのは当然だろう。

原田さんは、藁をもつかむ想いで、真実を知るための手がかりをひとつひとつ当たるしかない。その手がかりとは、①息子信助さんが残した長時間の録音。②彼自身が110番通報した内容と時刻の記録。③駅構内の監視カメラ映像。④現場にかけつけたJR職員の証言。⑤当事者の女性と連れの大学生の証言。これらを明らかにすることで、事件の概要がほぼ見えてくるはずである。

年明けの10年1月11日、事故後はじめて新宿警察署の黄海(きうみ)副署長らと原田さんが面談したときは、①信助さんが痴漢をしたとは特定できない、②「駅員に取り囲まれている」と信助さんから110番通報があった。③現場がはっきり映った監視カメラ映像はない。④暴行事件については適切に取り計らう、の4点が確認された。

このとき母親の原田さんは、事件のカギを握る110番通報の時刻や内容について新宿警察署で何度も繰り返し聞いている。その内容がわかれば、何が起きていたか明らかになるからだ。

しかし何度聞いても新宿警察署は「駅員に取りかこまれている、という内容」と繰り返すだけで、110番通報で具体的にどのような会話が記録されているかを示すことはなかった。

110番通報で何が話されたか

実は、信助さんは痴漢容疑で事情聴取されているときに、突然後ろから階段下に引き倒されてもみ合いになった際、身の危険を感じて110番通報したことなどを警察官に話している様子が録音されている

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(上)信助さんの遺品の携帯電話。新宿駅コインロッカーに預けられた鞄に入っていた。購入後半年にしては相当傷ついている。暴行で激しくもみ合ったためだと思われる。(下)一番下の着信は事件当日の23時44分、新宿警察署から折り返し電話があったことを示す。

警視庁通信指令本部に宛てた110番通報記録の照会(3回目)。1回目照会では、信助さんが110番通報したのは「午後11時27分」と回答。2回目は「午後11時20分にあったが無言のまま切れた」旨の回答。しかし、新宿駅助役や日誌、目撃者の証言などを総合すると警察官が現場に到着したのは午後11時15分から20分ごろと推測でき、したがって110番通報がこれより前だったと考えるのが自然である。

東京地方検察庁の検事に宛てた原田さんの質問状。2010年10月13日に提出した文書のオリジナル。最初に信助さんと大学生3人がすれ違った場所の説明が食い違っていた。そして、明確に迷惑行為が映っている監視カメラ映像はない、と新宿警察署副署長は述べた。ところが、監視カメラで確認できたから検察庁に送致したと後に新宿署は原田さんに説明している。このような疑問を問いただす検事宛て文書である。

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frothmouth2019/05/31 12:52

''JR新宿駅の階段を登り始めたところ、直前にすれ違った女子大生が「いまお腹を触られた」と言い、連れの男子大学生二人は信助さんを背後から階段を突き落とし暴行した。''

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REV2019/05/31 11:11

“女子大生の証言と信助さんの服装が違うことなどから、「痴漢の事実がなく 相互暴行として後日呼び出しとした」” この事件の顛末見ると、JR職員が酔客だのクレーマーだのに絡まれても同情しにくくなる。

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VoQn2015/06/10 02:07

痴漢だといいがかりを付けられて、連れに暴行を受けた上に痴漢の容疑者として事情聴取され、絶望しながら自殺してしまった人の話。冤罪ふっかけた方は調書もなく誰かもわからない、とのこと

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向坂 歩2017/09/02 23:17
向坂 歩2017/09/02 23:13
匿名2015/06/25 00:01
マツコ2012/01/10 01:31
tana2012/01/06 13:17
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第4回口頭弁論 2012年1月17日(火)午前11時 東京地裁第709号法廷

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