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間取り2部屋のはずが1ルームだった!高齢者を誤認させ、空室必至のアパートを1億円で建てさせた大東建託

情報提供
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2部屋の間取りでやってくれているものとばかり信じていたらじつはワンルームだったーー新築直後から空室だらけとなって不安を訴えるAさん。「大東にだまされた」と嘆く。
 間取りが2部屋のアパートを建てていたつもりなのに出来あがってみると1部屋だった――常識では考えられないようなずさんな「アパート経営」計画の売り込みが大東建託社員によってなされ、90歳近い男性が「被害」に遭っていたことがわかった。男性によれば、新潟西支店の社員から「安くていい土地がある。入居も問題がない」と土地を購入してアパートを建てる話を持ちかけられ、勧められるままに銀行から多額の借金をしてアパートを建てた。間取りは2部屋だと信じていたが、完成後にワンルーム(1部屋)だったと知り、愕然とする。そして案の定、新築直後から空室だらけに。前の道が狭いなど難あり、の物件だった。勧めた社員は完成後ほどなくしていなくなったという。「大東にだまされた。銀行の借金を無事返せるのか、子や孫はどうなってしまうのか。不安で夜も眠れない」と男性は後悔することしきりだ。
Digest
  • 感じのいいセールスマン
  • 苦しい農業
  • 順調な1、2棟目ですっかり信用
  • 「いい土地がある」の罠
  • 大東を信用しすぎたと後悔
  • 1ルームだと知って愕然とする
  • 家賃下げられるのではないかと不安

感じのいいセールスマン

すべてのはじまりは突然自宅にやってきたセールスマンとの出会いだった。2009年ごろのある日、新潟県の小都市T市で農業を営むAさん(80歳後半)がいつものように畑仕事をしていると、40歳くらいの背広を来た男性が通りかかり、声をかけてきた。差しだした名刺にこうあった。

「大東建託新潟西支店・建築営業課 H」

 このH社員との出会いがきっかけで、Aさんは以後5年ほどの間に計3件、4棟のアパートを建てることになる。最初の2件2棟は自分の土地。あとの2棟は土地を買って建てた。

最初の2棟を建てた後は、それ以上やるつもりはなかったのだが、「(T市から)数百キロ離れた新潟市によい土地がある。そこにアパートを建てたらうまくいく」とH社員が提案、それを信用したのだ。そしてこの最後の2棟が「だまされた。大失敗だった」とAさんが強く後悔している物件である。借金総額は約2億円。最後の2棟のために自宅も銀行の担保に入っており、返済できるだろうかと不安にさいなまれている。

90歳近い高齢者の身に何があったのか。以下はAさんの回顧談である。

大東建託という名前はテレビCMで知っていた。有名な大会社で悪い印象はなかった。人のいいAさんは社員を家に上げて話を聞いた。

すでにこのとき、大東建託に関する問題はインターネット上で多数流れていた。だが、テレビや新聞といった主流メディアにはまったく出ていない。インターネット情報と縁のない暮らしをしているAさんは、まったく無警戒だった。

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大東建託社員に勧められて土地を購入したが、客付の難しい物件だった。社員はリスクについて何も言わなかったという。

苦しい農業

「土地があるのならアパートを建てませんか」

H社員はそう言った。相続税対策になる。毎月10万円くらいの収入になる。30年間家賃保証する。資金の心配はない。融資でまかなえる。すべてこちらでやるから心配はないーー

「聞いたらまこといい話だで・・・ひとつやってみようかと思った」

Aさんはすっかりその気になってしまう。ちょうど空いている土地があった。

アパート経営など考えたこともなかったAさんがその気になったのは、大会社「大東建託」のよいイメージやH社員から受けた好印象に加えて、苦しい農家の経済状況があった。

Aさんには先祖から受け継いだ広大な水田がある。昭和20年代(1945~55年)ごろは米作はよかった。だがその後安くなってだめになった。

専業農家では生活が苦しくなり、小間物の部品をする工場を農業の傍らにやるようになった。一時はそれなりの収入を得ていたが、やがてそれも低迷するようになり、ふたたび農業だけになった。やがて高齢になって自分で稲作をすることができなくなり、いまは委託して耕作してもらっている。数十万円の収入はあるものの税金などを引くと何も残らない。

農家では暮らせないと子どもたちはサラリーマンになった。

日々の暮らしはサラリーマンの給料でまかなえるものの、先祖伝来の田畑や家を維持する負担は小さくない。税金などの費用がかかる。自分はもう年だからなんとかなる。だが子や孫のことが心配だった。大東のアパート話に乗ったのは、彼らの負担を少しでも軽くしてやりたいという気持ちがあったのだ。

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Aさんが大東社員に勧められて買った土地は、車が1台やっと通れるくらいの狭い道に接していた。それでも「大丈夫」と繰り返したという。

順調な1、2棟目ですっかり信用

1棟目を建てる計画が慌ただしく進んだ。費用は総額5000万円。ほとんど融資でまかなかった。このときH社員が繰り返し言った言葉をAさんは忘れない。

「レオパレスのような1部屋ではだめです。入居者が集まりません。2部屋に限ります」

なるほどそんなものかと思った。そしてその意見に従った。間取り2部屋の6戸。すぐに埋まってうまくいった。頭金はほとんど払わなかったように思う。

2棟目はAさんのほうから提案した。土地を貸していた金型工場が倒産し、建物が残った。固定資産税の負担はもちろんだが買い手がつく場所ではない。困ったAさんの頭に浮かんだのが大東だった。

H社員に事情を話すと新しい計画を作ってもってきた。前回と同じ2部屋の6戸。解体費用が入って計5200万円。やはり頭金はほとんどなかった。

2棟目も新築直後からずっと満室だった。どういう人が入っているかは大東のみぞ知るだが、順調に家賃は振り込まれた。契約上、空き部屋があっても家賃の9割が保証される。しかし、その必要はなく埋まった。

売り上げで月額60万円あまり。そこから修繕費積み立て5%と管理料10%が引かれる。銀行返済をすると月に20万円ほどの収入になった。そこから固定資産税を払う。ときおり便座などの備品が壊れて修理する経費を引かれたが、定収入があるのはありがたかった。H社員の言うとおり2部屋にしたのがよかった、とAさんはあらためて思った。

大東はさすがに大きな会社だ、とますます信用した。

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大東社員を信用して契約した。注文書にはワンルームであることは書かれていない。Aさんは2部屋だとばかり思っていた。

「いい土地がある」の罠

「新潟市に安くていい土地がある。買ってアパートをたてませんか」

大東のH社員がそんな話を持ち込んできたのは最初のアパート建設から5年ほどたった2014年。まるで身内のように家にあがってお茶を飲む、親しい関係になっていた。2棟を建てた後、Aさんはもうアパートをやる気はなかった。アパートを建てる土地もない。農地はあったが宅地に転用することはできない。農地の維持で大変なのに、あらたに土地を買うなど考えたこともなかった。

だが、気乗りのしないAさんにH社員は「すごく安いいい土地ですよ」とさかんにすすめた。ほかの人に勧めようと思ったのだがAさんにもってきたのだ、というような話もして「掘り出し物」であることを強調した。

田園地帯が広がるT市で生まれ育ったAさんにとって新潟市は大都会だ。様子はわからないが都会で人も多いのでアパートに入る人も多いだろう、と漠然と思った。なにより大東建託という大企業の看板に好印象を持っていたし、H社員のことも完全に信用していた。

熱意にほだされる形でとうとうAさんはH社員の車で現場に行った

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新築から2年経っても満室になったことはない。現在でも空き室が目立つAさんのアパート。

大東建託にだまされたとAさんが嘆く問題のマンション(一部写真を加工しました)。

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お見せするのは暗い未2016/11/25 08:38会員
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記者からの追加情報

筆者の取材に対して、大東建託広報CSR課から2016年12月5日付で以下の回答があった。
「当社では、特定のお客様との契約内容や事業の詳細など個別案件につきましては、一切お答えしておりません。
 当社は土地活用の専門会社として、引き続きお客様との信頼関係を基本に、安心して 賃貸経営をしていただくよう、様々な取り組みを進めてまいります」
本文:全約5500字のうち約3000字が
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