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NTTドコモ(2004)
Baa:優良企業予備軍
(仕事4.0、生活4.7、対価3.4)

 水曜日の18時過ぎ、「山王パークタワー」から地下鉄に向かう通路は、行列が出来る。この時間にしては珍しい人だかりで、何か若者向けのイベントがあったのかと思うほど。どうやらこれらの多くは、会社を後にするドコモの社員なのだ。


 有給休暇は、制度としてはどの会社にもあるが、消化しないことがむしろ当り前という会社が多いのが実態。しかし、ドコモは全く違う。ドコモ組合員は、有給休暇20日間と夏休み5日間の計25日分を、1年の間に全部消化することが求められている。

 3日間だけはリフレッシュ休暇として翌年に繰り越せる制度があるが、残り22日分はキッチリ年度内に取得することが義務付けられ、労組が監視の眼を光らせているのだ。勤怠管理の情報システムがあり、組合員が残業するときは昼の12時までに理由を書いて申請、15時に課長が承認、16時に組合が承認して、はじめて残業が可能になる、というのが原則的な流れ。この仕組みのなかでは、管理職は不必要な残業をさせることができない。

 有休だけではない。「ノー残業デー」の運用も徹底している。開発部門以外の部署では、水曜日と金曜日がノー残業デーに設定され、18時になると組合の担当者が、残業をさせられている組合員がいないものか、警備員のごとく見回りに来る。見つかると、自主的に仕事をしたいかどうかに関係なく、帰らねばならない。だから18時ごろに本社がある山王パークタワーに「行列」が出来るのだ。

 このため、どうしてもやらねばならない仕事がある場合は、少し疑問に感じながらも自宅に持ち帰る。開発部門は水曜日だけがノー残業デーで、時間は更に早く、17時に帰らなければならない。「そこまでしなくても」と思っている組合員も多いという。

 こうした労組の影響力を維持していくためには、従業員の高い組織率が必須だ。新入社員は、半ば強引に組合へ加盟させられ、高い組合費を納めさせられ、それは組合専従員の給与や各種組合委員の活動費などにあてがわれる。

 全国的に組織率が長期低落傾向にあるなか、ドコモでも組合への強制的な加入に異議を唱える若手もいない訳ではない。ある新卒社員は当初、加盟をきっぱり断った。すると、ヤクザのようなガラの悪い組合の人間がやってきて、威圧的な態度で組合に入るよう迫ってきた。それでも断っていると、今度は課長に連絡が言ったらしく、直属の課長から労組の重要性を説かれた。その社員は、硬軟交えての懐柔策に、仕方なく加盟することにしたという。

 とはいえ、「FOMA」端末に関連したサービスを行っている部署では、休日出勤も珍しくない。月に80時間残業している社員もいる。同様に、「i mode」のスタート時には、徹夜組も多かった。新規サービスの開始時はどうしても故障が多いため、安定期に入るまでの間、一時的に繁忙期を迎えるのである。ただし残業をする場合、月25時間までしか付けられない、などといった決まりが部門ごとにあり、残業分全てをそのまま残業代として受け取れる訳ではない。

 勤務地については、半期に一度、組合が調査票を配り、組合員の希望を聞いているが、全国的な異動がそもそも少ない。ドコモは全国を8つの地域に分けてそれぞれで法人化し、採用も会社別に行っている。「NTTドコモ」は関東甲信越の1都9県、「NTTドコモ関西」は近畿の2府4県、といった具合である。このため、「NTTドコモ」で理系出身で採用されれば、神奈川県横須賀市の研究開発センター(横須賀リサーチパーク内「ドコモR&Dセンタ」)か、東京の千代田区永田町の本社か、いずれかが勤務地となるのが規定路線というように、だいたい予想が付くから生活設計もしやすい。文系では各営業地域内の各県にある支店に転勤があり、親の介護など特殊な理由がない限りは、自分で勤務地を選ぶことは難しい。

 組合が強いため、女性の育児休業や育児早退制度といった各種プラン、及びセクハラ対策の管理職研修などは充実している。また、フレックス勤務制度は開発部門で認められており、10時から15時がコアタイムとなっている。内部告発制度も、使おうと思えばいつでも使えるように整備されている。

 上述のように、総じて残業は少ないが、アフターファイブでは課の歓送迎会といったイベントへの参加は必須。とはいえ、社内の人間関係は総じて良好であり、上下関係が厳しいということもないため、それほど若手が参加を嫌がるといった風潮もない。

20代後半の明細。紙では支給されない。

 ドコモは、ボーナスが高い。約3ヶ月分×夏冬2回、キッチリ出る。給与テーブルとしては基本的にNTTグループ内で共通だが、なかでもドコモの業績は一番良いためである。このため、30歳で年収ベースでは約700万円になる。これは他の代表的な内資系メーカーより多少高いくらいの水準である。

 これに加え、充実した福利厚生がある。代表的なものとしては、指定の借上げ社宅に入ると、自己負担は月額1万円で済む。通勤時間が90分以上かかる社員は、任意で賃貸物件を選んで入居することができるが、その場合の補助は月額4万円だ。家族手当は異常に手厚く、結婚すると月額7万円が支給される。

 「都市手当」なるものは、東京では2万円が支給される。また、社員は会社の携帯電話を持たされるが、これはもちろん使い放題。「多くの社員は月2万から3万円は使っている」という。

 これらを加算するだけで、30歳既婚者では、年間で実質200万円近くの上積みとなる。30歳で実質900万円は、業界を問わずトップレベルだ。

 社内の福利厚生が充実し過ぎて複雑になっているため、社員は満28歳になると「ライフプラン研修」を受けさせられる。社員のほうから尋ねなくても、社内の制度を活用した住宅ローンの組み方や各種保険の入り方などについて、外部業者を活用するよりもずっとお得であることを、組合担当者が丁寧に教えてくれるのである。

 ◇  ◇  ◇
 同社の評価報奨制度は、基本的に年功序列的で、1つの級に最低2年はとどまっていなければならない、などの縛りがある。

 新卒社員の同期間で差が付き始めるのは20代の後半から。半期に1度、ABCで相対評価が付けられ、通年で再度、ABCの評価が下される仕組み(Aが2割、Bが3割、Cが5割などと比率で決められている)だが、級が上がるスピードが速い人と遅い人が出てくる。

 30歳過ぎで係長になり、主査を経て課長になるのは、早くて35歳くらい。課長の年収は1,000万円と言われる。

 理系出身者は、その半分程度を院卒で占め、彼らが多く配属される開発グループに所属する社員は、もっとも級が上がるスピードが速いとされている。また、文系であっても本社にいれば支店よりも級が上がりやすい。

 とはいえ、近年急成長を遂げた同社では、プロパーは、まだ6から7年目(30歳くらい)の社員までしかおらず、残りはNTTグループ内から転籍してきた40代以上の社員。このため30代社員がほとんどいないといういびつな年齢構成となっている。NTTからやってきた中年層の社員は、40代の担当部長もいれば、40歳の係長もおり、NTT時代は主査だった社員が平社員に降格して転籍して来るケースなど、様々である。

NTTグループのなかでは、高い水準にある
 半期で行われる評価はボーナスに反映される。Aの社員とCの社員では、一回のボーナスで20万円以上の差がつき、無視できない(30歳前後の場合)。しかし、評価者である課長に対して反論の機会はなく、一度下された評価が変わることもない。相対評価で最初から枠が決まっているため、「押しの強い課長の下にいる部下が有利になる仕組み」という面があり、その納得性には疑問を抱く社員も多い。

 転籍は40代を過ぎたあたりから。ドコモの子会社(ドコモエンジニアリング株式会社、ドコモ・テクノロジ株式会社など)に転籍して課長に収まったり、といったケースが見られる。とはいえ、この業界は市場自体が過去5年程度で形成されたばかりで流動的であるため、現在の若手社員が今後、どのような雇用環境に置かれるかを予測するのは難しい。テクノロジーのブレークスルーや競争環境の大胆な変化が起これば、現在、親会社のNTTが置かれているような厳しい立場にいつ追い込まれるかも分からない。

 
 「会議というものは、課長以上が出席するもの」というNTTのカルチャーは、未だ残っている。NTTの会議が必要以上に長くてなかなか決まらない、という話は関係者の間では有名だ。ドコモの課長以上のポジションの多くは旧NTT出身者が占めており、実務を分かっている若手担当者に権限を委譲しようとしないため、なかなか物事が決まらない。

 携帯電話は、無線と有線の組合せで機能している。有線部分は、電波塔と交換機(i-modeで全国400個)をつなぐ部分で「コア網」と呼ばれ、これらを扱う技術者は、古いNTTのカルチャーをひきずっている。一方、無線部分はサーバー系の新しいスキルが必要とされるため、年齢層も若くカルチャーも古くない。

 実は、ドコモの社員は、末端顧客である一般ユーザーとの接点がほとんどない。営業担当者は、ドコモショップを統括したり法人営業をするのが中心だし、開発担当者は富士通やNECといったメーカーを管理するのが主な仕事。メーカーから見たらドコモはお客様にあたり、形になって現れるものを作っているのはあくまでメーカーである。とはいえ、新たなサービスが開始されたり、新製品が市場に出たりするときには、達成感を感じることはあるという。

 同社のキャリアは、文系と理系ではっきり分かれ、両者間での行き来はないといってよい。理系と文系では2:1で理系が多く、理系の半分は院卒だ。逆に文系は学部卒がほぼ100%を占める。文系出身者は、支店に配属されるか、本社で法人営業を担当する。

 理系出身者は、主に4つのグループ、つまり「企画」「建設」「保守」「研究・開発」に分かれて配属されるが、特に「建設」と「保守」の人員数が多めに配置されている。「企画」が需要動向から技術系業務全体の展開計画を練り、「建設」は電波塔などの建設を管理し、「保守」が交換機などを維持管理するためのマニュアル作成などを行い、「研究・開発」は端末のメーカーに仕様などを指示するほか、基礎研究を行う。

 「研究・開発」のなかでも、開発担当者は、ドコモオリジナルの交換機を扱うため、汎用性の高いスキルは身に付きにくい。最近はサーバー系で汎用機を使う動きがあるのが救いだ。一方、研究担当者は、研究所で基礎研究を行うため、比較的、汎用度の高いスキルが身に付きやすい。

 キャリアの自由度でいえば、理系の院卒は、院での研究分野を生かすという意味合いもあり、希望が通りやすい傾向にあるが、文系(学部卒)では難しい。法人にシステムを売るよりも、端末をいくつ売るかのほうが社内での評価が高いということに気づいても、自分のキャリアを路線変更できるわけではない。「社内公募制度」は一応あるにはあるが、実際に活用されているという話を聞いたことはないという。「imode」の立ち上げ期、松永真理氏が在籍していた頃のような自由さは、組織が大きくなるに連れ、既になくなってきている模様だ。

 制度としては、半期に一度の評価の時期に合わせて「チャレンジシート」を書き、目標設定を行う目標管理の仕組み。ただ、実際の評価でこの目標値が使われているかどうかが不透明だ。課長による属人的な運用がまかり通っているようなのである。

 離職率は低く、社員の入れ替わりは激しくない。ある年の新卒入社の、あるグループは、入社後4年のうちに、同期30人のなかで数人しか辞めていないという。また理系が多いこともあり、女性は新卒社員全体の2割程度と、多くはない。

 研修制度は普通に充実している。ある年のケースでは、入社後、まず一ヶ月間は軽井沢で研修。1年目は年の半ばで1回、支店研修がある。2年目、3年目にも定期的に研修がある。基本的にはOJTだが、望めば、人事育成部主催のコースを様々に選択できる。半年間の留学制度は、年間で、会社全体で10名ほどが選ばれる。

 オフィス環境は旧来型の島型配置がほとんど。法人営業本部のみが、席を自由に選んで仕事をする「フリーアドレス」を導入しているが、これは全社員5,600人余りのなかの1割強に過ぎず、残りの9割の社員は、新宿や溜池に最新のオフィスビルを建設したにもかかわらず、NTT時代と相も変らぬパーテーションのない日本型の島型机で、課長の監視の下、仕事をしなければならない。「オフィスとは、そういうものだと思っている」のだそうだ。また、社内決裁はシステム化されているものの、いまだに紙も残っており、両者が並存する非効率な状況が続いている。


 CMや新製品などにより形成される「新しい会社」というイメージは虚構である。実際の社員は、20代の権限も経験も少ない若手と40代以上の旧NTT出身社員ばかりで、基本的には40代の課長以上が権限を握りダラダラと会議をしている。30代の若手がバリバリ活躍している会社では全くない(30代がほとんどいない)。

 ドコモが投じる巨額の広告費に懐柔され、電波塔建設をめぐる現地住民とのトラブルなどを報じたメディアは、独立系の弱小週刊誌などごく一部に限られた。このあたりには、同じく巨額の広告費をマスコミに投じて操ってきた武富士をめぐる報道との類似がはっきりと見られる。

 逆に、ドコモのプレスリリースを横から縦に直しただけの記事はマスコミに氾濫している。NTTドコモの法人営業本部は、2001年に本社から港区赤坂のオフィスに移転、その際、部長以下約600人に専用デスクを割り当てず、席を自由に選んで仕事をする「フリーアドレス」を導入、情報の電子化も進め年300万枚の紙を減らした、と報じられているが、これはバランスを欠いており、実態としては「昔のまんま」が9割で、電子化で減った紙の数にしても、極めて眉唾モノの大本営発表と言える。

 2003年5月に各紙で相次いで報じられた「NTTドコモの子会社に二人の女性社長が誕生」も同様で、社内の反応は冷ややかだ。なかでも、本社周辺のレストランや病院、郵便局などの地域情報を流す「ドコモ・ためタン」なる子会社にいたっては「その程度のサービスでベンチャーとして成り立つはずがない」と受け止められている。このような一見して分かるピエロ的な存在、または「ヤラセ」行為が、ニュースとして扱われ、まさにそのまま垂れ流されているのが現状である。

 日経新聞(2003/10/20夕刊)にいたっては、「元リクルートの松永真理さんを起用し、iモード事業を成功させたNTTドコモ。関連事業担当者は『女性特有の発想は新たなビジネスを生み、経営の多角化につながる』と期待する」というおまけ解説付きであった。この記者には「ためタン」が有望なビジネスに見えるようだ。
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もにゃ~  23:52 11/24 2008
ここは日本でもトップクラスの働きやすさを持っていると思いますがね。 給料もかなり高給だし
知り合い  01:27 12/30 2007
知り合いが関西にいますが、ひどい会社みたいです。
派閥があり、そこにはいっていないと、集団で無視したり、徒党を組むというひどいことをするようです。有名な話みたいですが。
小星  02:48 07/14 2007
このネタ、社内の人ですよね。私は元社員です。転勤が3年周期であり、マンネリ化せず、着任先がハズレても少しのガマンで異動なので悪くないです。30代のプロパー社員たくさんいますよ。最近はプロパー課長もちらほら。持ち株からの転籍者がよくホウレンソウ(報告/連絡/相談?)という言葉を発していましたがその割に若い社員から上司はタメ口で扱われます。でも、社内の雰囲気はよいです。
再  20:22 04/26 2007
従業員のインセンティブをうまくコントロールできない会社は,今後,成長が期待できないので,株の売却をします。
株主  05:47 04/05 2007
 ドコモの株主です。
 この記事が書かれた2004年から3年近く経っていますが,現状はたいして変わらないのでしょうか。
 従業員のインセンティブをうまくコントロールできない会社は,今後,成長が期待できないので,株の売却を検討します。
!  00:03 02/19 2007
パワハラは許せないけど
然るべきところにいきなさい。解決しないよ。
代理店お嬢  01:49 01/29 2007
法人のはげで、つるっぱげのやつですよね。サイテー。たかるだけならまだしも、もっとひどいこともされました。