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アフラック宮崎あおい、アリコ国仲涼子に惑わされない医療保険加入のポイント

情報提供
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宮崎あおいがアヒルと洗濯するCMでおなじみのアフラック「一生いっしょ」のパンフ
 テレビから流れ続ける医療保険のCM。「一生いっしょ」とアヒルと一緒に宮崎あおいが微笑むアフラック、「まもりたい」と国仲涼子が見つめてくれるアリコ。しかし、「だれでも入れる」保険は高い高い保険料か、または条件だらけで給付を受けられない可能性が高い。生保不払い問題に対し金融庁は今月1日、国内38社に報告命令を出した。第一生命の自主調査だけでも、不払いは最大50億円と発表されている。CMの甘い言葉に誘われ加入を考えているみなさん、甘い保険話はありえない。パンフレットの小さな文字にある真実こそチェックしよう。

 「だれでも入れます」「掛け捨てではありません」「がっちり安心」・・・。毎日流れる「医療保険」の宣伝は、不安を安心に変える魔法の呪文のようだ。だが調べてみて分かったことは、加入審査が甘いということは、その分、支払いが辛くなること、さらに、条件だらけで給付を受け取れない可能性が高いことだった。

◇持病があると通常の保険に入りにくい
 私は難病患者である。先端巨大症といって、成長ホルモンが多すぎる病気であり、統計上、健康な方よりも、大腸がんになりやすい。合併症の糖尿病や高血圧もある。

 こんな私にも入れる医療保険であれば、生活習慣病や持病をお持ちで、健康に不安な方でも、簡単に入れるかもしれない。

 まずは、できるだけ多くのパンフレットを取り寄せた。山のような書類を前に、いきなり行き詰まる。私の持病だと、通常の保険商品群に入れないのだ。

 告知するべき病気のなかに、腫瘍がある。私の脳の一部(下垂体)に、手術で取りきれなかった小さな良性腫瘍が残っている。悪性(がん)ではない。ホルモンを多く出すだけで、良性のおとなしい腫瘍である。それでも、腫瘍は腫瘍として、一刀両断にされる。理不尽さを怒ってみてもはじまらない。

◇宮崎あおいアフラック「一生いっしょ」にアタック
 良性と悪性を区別したものはないか。あった!
 アフラックの「一生いっしょの医療保険EVER」だ。「あひルンルン、あひルンルン…」と女優の宮崎あおいさんがアヒルと洗濯するコマーシャルの商品だ。

 まずは、アフラックの代理店に出かけた。2人の女性職員がせっせとパンフレットを整理している。入り口で様子を窺う私の姿を見ると、手を止めて、なかへと招き入れた。アヒルのぬいぐるみが入り口に鎮座し、あおいさんのポスターが正面に貼ってある。

 下垂体に良性の腫瘍があることを告げると、電話で本部に問い合わせてくれた。

 「告知対象に入っていません」

 微笑むあおいさんのポスターが女神に見える。
 
 やっとみつけた! 安堵とともに、改めてパンフレットを見ると、「割安な保険料が一生涯変わらない医療保険」とある。魅力的な言葉が並ぶ。

 「契約は1歳でも若い方がお徳ですよ」と職員が勧誘する。

 入院日額5,000円コースだと、私は44歳だから月払い2,550円。仮に60歳から入ると4,410円になる。

 月々3,000円を切るなら、いいか。

 なるほど、割安な保険料が一生変わらないとなれば、早く入ろうかなという気になる。うまい商品だが、電卓を叩くと、そうでもない。

◇一生涯安心と感じる「終身」にふらふらっと加入しかかる
 私は44歳で日本人男性の平均寿命は76・74歳(生保用標準生命表、4月から78.24歳に改定)。34年間生きると仮定すると、保険会社に支払う総額は、約104万円。60歳から入ると95万円。むしろ、今入るほうが高い。

 「お徳」というのは、生涯支払う保険金が安くなるのではなく、早く加入すると、早くから保障がはじまるから、同じ入るなら若いうちにどうぞ、という意味である。

 それはともかく、「終身」という意味は、何となく一生涯安心、というニュアンスがある。ふらふらっと加入してしまいそうだ。

 1回につき給付されるのは60日まで。契約期間中、入院した日数分だけもらえるというわけではなく、61日目から180日までの特約保障は別料金だ。検査入院も含まれない。

 告知には、医師の診断書は必要ないという。とりあえず、入れるかどうかだけでも、確かめよう。

 職員が白紙の告知書を手渡した。医師の診査がないからといって、契約である以上、甘く見ると、給付金はおろか保険金も戻ってこない可能性があるようだ。記載内容が事実と違えば、給付はない、と考えておくべきなのだろう。

 告知書のなかに、「血圧値」「空腹時血糖値」を記述する欄があった。そして残念ながら、糖尿病の治療を過去5年以内に治療・投薬を受けたヒトは、契約できないということがわかった。

 糖尿病患者は予備軍を含めると1,620万人。高血圧・高脂血症といった異常を持つ方は3,000万人とも4,000万人ともいわれる。50歳を過ぎると、多くの人が生活習慣病を抱えたり、その予備軍だったりするため、通常の保険にすんなり入れない。「契約件数ナンバー1」をうたうアフラックだが、糖尿病で、私は対象外になってしまった。

 あおいさんに振られ、アフラックを後にした。ほかに、良い保険はあるかしら。

 1つくらいの持病ならば、よく調べれば、通常の医療保険群で条件の合うものが見つかるかもしれない。だが、私のように2つ以上あると、難しいようだ。割安な通常の医療保険は断念することになった。

◇国仲涼子が優しく「まもりたい」とすすめるアリコの条件
 加入審査が必要なタイプは割安なのだが、入れないなら仕方がない。審査が不要な「無選択型」や緩やかな「限定告知型」を調べてみよう。さて、どこまで頼れるのだろうか。

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(上)国仲涼子が優しく「まもりたい」とすすめるアリコのCM。アリコのホームページから。
(中)「まもりたい」のチラシ。持病を持った人でも入れる保険だと強調する。
(下)高齢になれば入院する比率が高くなり、費用もかかることを保険会社は共通して宣伝する。アリコとアフラックのチラシ。
 45歳から85歳までが入れる「まもりたい」(アリコジャパン)だ。昨年7月に発売された新商品である。居間で持病のために保険加入を断られた高血圧の父を「まもりたい」と願う娘(国仲涼子さん)が優しい口調で説明するコマーシャルの保険である。

 「お父さん、あきらめちゃだめよ」と言って、3つの加入条件をクリアしたら加入できると説明する。

 その3つの条件とは、
(1)3カ月以内に医師から入院・手術をすすめられたことはない。
(2)2年以内に入院・手術をしたことはない。
(3)5年以内にガン・肝硬変と診断されていない。また、ガンで入院・手術をしたことはない。

 涼子さんにお茶を入れてもらいながら、誠実そうな目で「まもりたい」と言われたら、胸がキュンとしてしまいそう。

 結論から言おう。私のような人間でも、確かに入れる保険である。だが、保険料は相当に高額である。

 入院中の患者は加入できないが、「持病が悪化・再発し入院・手術した場合でも受け取れます」というのがこの保険のウリだ。

 アリコのパンフレットには「注意喚起情報」と「契約概要」という小さい文字で書かれた書類が入っていて、この2つが「契約に際しての重要事項」とされている。豆粒のような読みにくい文章だが、一番大事な説明文だ。

 保険会社も「契約前に必ずお読みいただき、内容をご確認・ご了解のうえ、お申し込みください」「契約者等の不利益になる事項やリスクについてご理解のうえ、お申し込みください」と説く。消費者が知っておくべきリスクはここにまとめて書かれている。

 「契約日からその日を含めて1年以内(支払い削減期間)に給付金等の支払い事由に該当した場合、お支払いする給付金等の金額はそれぞれ50%に削減されます」とある(画像:契約前に読むべき2つの文書)。

 そう。前の広告面に印刷された保障プランはあくまで2年目以後の額であって、1年以内だと給付金・保険金額が半額になるシステムなのだ。病気・けがの入院は1日に付き5,000円だが、加入して1年以内だと、2,500円しかもらえない。

 この調子で保険の概要をつかんでいく。前の面にも注意書きは書かれているけれど、知っておくべき不払い条件をまとめたのは、「注意喚起情報」と「契約概要」だから、やはり、目を通しておくのが安全だ。

 45歳で加入したとして、特約を含め毎月10285円(男性)。年に直すと12万3420円である。

 退職後も年金から延々と保険金を払い続け、しかも、81歳からは契約更新のために毎月24,610円(2006年9月現在)に跳ね上がる。70と80歳時に各10万円、90歳になったら50万円のボーナスが付いてくるのだが、持病を持った私が90歳まで生きている可能性は低いだろうしなぁ。

◇「だれでも入れます」といっても高い高いアリコ
 パンフレットには、「明日へつながる安心」「大切にしたいお客様とのコミュニケーション」とある。小さな子どもたちと母親らしい女性の愛情たっぷりの写真が添えられ、「顧客満足度、5・0満点中4・2点」とある。支払いの迅速さや給付金請求のわかりやすさをアピールしたものだという。

 だが、よく見ると、小さな文字で「実際に保険金・給付金をお支払いしたお客様を対象に実施」とある。条件が合わなくて、不払いの客が入っていない。これならば、満足度が高くて当たり前だろう。

 持病の入院・手術が保障される(契約前に医師から勧められていた入院・手術は除く)のは魅力であったとしても、現在はともかく、退職後も延々と毎月1万円を出せるくらいの資産があるならば、何も民間保険に入って備える必要はあるまい。もう少し、月々の支払いが安いものを選びたい。

 アリコは一時期、「だれでもはいれます」というコマーシャルを朝から晩まで流していた。つられて、「悠々はつらつ入院保険」というパンフレットを半年前、私も取り寄せていた。いつか役に立つだろう。そう思って机の奥底に眠らせていた。今こそ役に立ってもらおうじゃないか。

 最新の情報がほしくて、アリコに電話をしたら、後発品に変わっているという。名前は「プラチナエイジ入院保険」。取り寄せて見比べたら、若干の保障の違いはあるが、基本的な仕組みはあまり「悠々」と変わってはいない。

 「悠々」は今でも加入できるし、代理店では堂々と販売されているというが、どうせ検討するなら、新しいものだ。

 1日1万円の保障が受けられるB10プランの場合、55歳男性の月払いは1万8,640円である。

 うーむ、高い、高いぞ。

 手が出ないので、入院日額2,000円の格安コースを狙う。それでも、月々の支払いは、55歳男性で4,392円である。今は恥ずかしながら、貯金らしい貯金がないが、老後の資産形成ができるまでの「つなぎ」としてなら、利用価値があるかもしれない。

 貯蓄の妨げになる民間保険は意味がないとさえ思う。月々4,000円を超すのは痛いが、この辺で手を打つか。

◇自分が払った保険金から戻ってくる「ボーナス」戦略
 以前、都内の大学病院に入院した際、脳梗塞で入院した同室患者から、100万円以上かかったという体験談を聞いたことがある。だが、よく聞いてみると、それは、個室を利用した差額ベッド代がほとんどであったし、家族の見舞い時の交通費や宿泊費をこめていた。正確な自己負担額ではない。

 公的保険がある日本で、そんなに費用はかからない。いったん病院窓口で払う額が多くても、後で社会保険庁から戻ってくる。特殊な医療ではなく、公的保険の範囲ならば、毎月の自己負担上限は、8万円と少しだ。

 格安コースにしよう。1日2,000円とは、十分とは思えないし、人生の終わりを共同部屋で終えるわが身を想像すると切なくなるが、背に腹はかえられない。

 この保険は、5年間健康ならば「ボーナス」4万円がもらえることになっている。一見お得な感じがするが、

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(図)「プラチナエイジ入院保険」の説明パンフレットから加工して筆者作成。

医療保険のパンフレットは、小さな文字から読むと良い。メリットだけではなく、デメリットも知った上で、契約するべきだ。

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