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【こだわりグルメ】50年ぶり復活、天然麹菌による味噌造り マルカワみそ(調味料/お取り寄せ)

情報提供
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こだわりのみそ
マルカワみそ
天然麹菌「有機二年味噌」

青大豆に蔵付き麹菌が生息した自家培養の天然種麹(写真下)


 一般の味噌メーカーは、種菌メーカーの発酵醸造菌(純粋培養)を使うメーカーがほとんど。その発酵醸造菌の安全性に疑問を持った私は、様々な味噌メーカーに「天然麹菌で味噌を仕込んでほしいと」お願いしてきたが、どこも希望をかなえてもらえなかった。天然麹菌の採取には非常に手間もかかるからだ。それに挑戦したのが、自然の発酵速度で約1年間は寝かせる、味噌造り一筋に歩むマルカワみそだった。同社の「有機二年味噌」は、有機米、有機大豆、自然湖塩天外天、天然種麹を原料とし、地下水を使う。

◇探しつづけた天然麹味噌
 純粋培養のイーストより天然酵母のパンの方がより安全で美味しいという認識が一般的にはある。であれば、味噌、醤油、日本酒、納豆などの発酵醸造食に使われている麹菌、酵母菌、納豆菌などの発酵醸造菌も天然菌で造った方がより安全で美味しいと思った。

 重症の化学物質過敏症の患者さんのなかには安全性にこだわった小麦粉などの原材料を使っても、イーストのパンは食べれないが天然酵母のパンなら食べれるという人がいたことがあった。

 日本の伝統食である発酵醸造食は、数十年前までは天然の発酵醸造菌の自然な営みで造られていた。味噌や醤油は味噌蔵や醤油蔵に生息している麹菌の、日本酒は酒蔵に生息している酵母菌の、納豆はわらに生息している納豆菌の自然の力を活用していた。

 しかし、現在ではほとんどの製造メーカーは、種菌メーカーから買ってきた発酵醸造菌を使っている。その菌はエキス類、アミノ酸、ビタミン剤、ミネラル剤などを使って分離培養、いわゆる純粋培養されているものがほとんどだ。

 なかには牛のエキスや化学調味料を培養液にしているものもある。

 さらにバイオテクノロジーの技術で遺伝子操作された発酵醸造菌を使っているものもある。遺伝子操作されたり、分離培養された発酵醸造菌は安全性に疑問がある(「発酵醸造菌の培養液」と「遺伝子操作菌」 )。

 このようなハイテク化された発酵醸造菌を使った食べ物は沢山ある。ワイン・ビール・焼酎・酢・納豆・パン・かつお節・ヨーグルト・チーズなどだ。

 そこで、約10年前から純粋培養された麹菌を使わず、昔ながらの方法で天然麹菌による味噌を造っているメーカーを探していた。純粋培養された麹菌が広く使われているとはいえ、少なくても何軒かはあるだろうと思っていた。

 ところが、一軒しかなかった。

 その一軒も特殊な方法で味噌を造っていた。一般的には種麹菌を使う ばら麹で造るが、大豆を団子状にして麹菌をつけるもち麹で造っていた。

 散麹は麹カビが繁殖するが、餅麹はクモノスカビなどが繁殖するため、味やにおいに癖のある味噌で一般受けはしにくいものだ。チーズに例えれば散麹の味噌はカマンベールチーズで、餅麹の味噌は青カビのチーズのようだ。

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マルカワみそ株式会社

◆住所:〒915-0006 福井県越前市杉崎町11-44
◆TEL:0778-27-2111 FAX:0778-27-2877
◆E-mail: info@marukawamiso.com
 また、原材料が無農薬ではなく、無農薬の原材料での委託製造をお願いしたが、現状の仕込だけで手一杯、とのことであった。

◇50年ぶりに天然種麹造りに成功
 2001年(平成13)5月、福井へ講演のために帰省した。福井では無農薬無添加の味噌を造っていることで評判のマルカワみそに、以前から一度見学に行ってみたいと思っていた。

 実家から車で約10分の近さでもあり、講演が終わった後見学に行った。

 これまで何度もいろんな味噌メーカーに麹菌の実態をお知らせし、天然麹菌で味噌を仕込んでいただきたいとお願いしてきたが、残念ながらどこも希望をかなえていただくことはできなかった。

 この時も内心は不安だったが、種麹メーカーの麹菌の実態を説明させていただいたところ、会長の河崎宇右衛門さんが「麹菌がそんな恐ろしい現状だとは知らなかった。40年前までは自社の味噌蔵に生息している天然の麹菌で種麹を造っていた。

 しかし、種麹メーカーから純粋培養された種麹を買えるようになってからは、天然種麹は一切造っていない。大切なことだからこの夏、40年ぶりにチャレンジしてみよう」と言われ、大変嬉しく思った。

 「この夏、造ってみよう」には理由があった。

 福井地方では気温が30度以上の日が1週間以上続く真夏の時期に、種麹を造る方法を行っていたそうだ。種麹とは麹菌が粉末状になったものだ。

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(写真上)
杉樽の前で、河崎宇右衛門会長(右)と息子の河崎宏社長(左)。

(写真下)
みそをかき混ぜている河崎宇右衛門会長。
 この技術を息子さんの河崎宏社長が伝承できるよう、親子で取り組むことになった。また、河崎宏社長は奇遇にも武生高校の私の後輩だった。

 7月に入り気温が30度を越すようになった頃、いよいよ種麹造りが始まった。やはり40年ぶりなので、最初からうまくゆくはずがなかった。何回か失敗を繰り返して8月に入りようやく完成した。

 その天然種麹を使って味噌を仕込んだが、できた天然種麹が十分に味噌を造る能力があるかないかはまだわからない。味噌を仕込んで1年たって天然種麹がよくなく味噌造りに失敗しても後の祭りである。

 そのため、天然種麹で造った米麹で甘酒を造り、おいしくできれば、この天然種麹は十分糖化能力があり、種麹造りは成功したと判断していたそうだ。

 そこで早速甘酒を造ってみたところ、大変おいしい甘酒ができ、一安心した。早速試食したマルカワみその従業員さん達もそのおいしさに皆さん驚いていた。

 今までの純粋培養された麹菌の種麹で造った甘酒と比較すると、今までの甘酒はただ甘いだけだが、天然麹菌の甘酒は甘みと共に奥深い旨みが感じられた。

 おそらく米のでん粉を糖化する麹菌だけではなく、米のタンパク質をアミノ酸に変える麹菌なども一緒に繁殖しているからだと思われる。

◇マルカワみその源流は約230年前
 江戸時代の今から約230年前に、越前・福井の国府が置かれた武生地方の地主であった初代河崎宇右エ門が、高20石を持って米作りを始めたところにマルカワみその源流がある。大正3年に6代目河崎宇右エ門が手作り味噌用の米麹づくりをはじめたのが味噌作りの第一歩となった。

 もちろんこの当時は純粋培養の麹菌などなく、蔵付き麹菌を自家培養していた。

 時代の移り変わりとともに、農家から麹屋へ、そして味噌屋になった。人工的に加温し、約3ヶ月で速醸して作る味噌が氾濫している時代の中で、今日まで自然の発酵速度にまかせ約1年間寝かせる味噌造り一筋に歩んでいる。

 河崎宏さんは1954年(昭和29)に味噌屋の長男として生まれ、武生高校卒業後東京農業大学農学部の醸造学科に進学した。

 大学2年の時『複合汚染(有吉佐和子著)』がベストセラーになっていた。その頃『恐るべき食品汚染』(郡司篤孝著)を読んだことが、その後の人生の大きな転機となった。

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■天然麹菌「有機二年味噌」(写真上)840円(400gカップ入り・みそ汁一椀あたりのみそ代38円)天然麹菌の味噌はそのほか■天然麹菌の味噌「日本」1313円(750gカップ入り・みそ汁一椀あたりのみそ代32円)現在完売。11月より販売。「有機二年味噌」「日本」の問い合わせ:マルカワみそ株式会社■「蔵の郷」無肥料無農薬の米と大豆を使った天然麹味噌「蔵の郷」(プライベートブランド)問い合わせ:ナチュラル・ハーモニー通販のトラスト会員と売店で販売。

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編集部2008/02/01 02:51
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