「はら山」(埼玉・さいたま市)店主の西田明徳さん
|
老舗の和菓子屋でも着色料は手放せない。ほとんどの和菓子には、着色料や膨張剤以外に保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、PH調節剤などの添加物が使われている。天然着色料も安全とは言い切れない。「はらやま」店主の西田明徳さんは、手についた合成着色料が、お風呂に入っても落ちないことに疑問を持ち、原材料へのこだわりを深めていった。はら山の和菓子の着色料は、合成も天然も一切使用せず、野菜や果実から採取した、まさに天然の色が安心感を醸し出している。(食材仕入先リスト付き、<会員限定>)。
【Digest】
◇和菓子の着色料
◇色づけはすべて食材の天然色の和菓子
◇ノルウェーの食べ物は着色料全面禁止
◇天然重曹と合成重曹
◇市販の寒天は添加物入り
◇自分で寒天を作ってみた
◇自家製の寒天で水羊羹
◇和菓子の着色料 和菓子といえば食品添加物の着色料を使って、色とりどりで鮮やかな色がついているものが多い。たとえ京都の創業何百年という老舗の和菓子屋でも着色料を使っているものがある。
最近、合成食品添加物の使用が問題視されてきたため、天然添加物に切り換える傾向にあり、着色料も合成着色料より天然着色料が多く使用されるようになってきたが、天然着色料であっても安全とは言えない。
製造工程で、プロピレングリコールなどの化学物質を使っているものがあるのだ。
◇色づけはすべて食材の天然色の和菓子
|
はら山
◆住所:埼玉県さいたま市緑区原山1-3-2
◆TEL:048-887-1388
FAX:048-887-1461
◆E-mail:
kabou@harayama.co.jp
◆営業時間:9時~18時
◆定休日:1月1日
◆最寄り駅:浦和駅

|
|
さいたま市の
「はら山」の和菓子の着色料は合成も天然も一切使用していない。
はらやま店主の西田明徳さんが、その経緯を話す。
「以前、和菓子に着色していて、手についた合成着色料がお風呂に入っても落ちないのに気づいた時、疑問を持ちました。厚生労働省が許可していると言っても、着色料は危ない物と感じました。それを手始めに、和菓子に使われる添加物だけでなく、やがて原材料にも目を向け今日に至っております」
東京・両国に明治時代から続く和菓子店「三はし堂」で1948年(昭和23)に生まれた西田明徳さんは、23歳から和菓子作りを始めた。そして1974年(昭和49)の26歳のとき埼玉に移り、「はら山」を開業した。
三はし堂では上物の生菓子を専門に作っていた。そのため食品添加物は合成着色料とベーキングパウダーなどの膨張剤しか使っていなかった。
その当時のことを、西田さんは次のように語る。
「その頃から大手メーカーが和菓子を作るようになり、着色料や膨張剤以外にも食感を維持するための保湿剤、防腐目的の防腐剤、酸化防止剤、PH調節剤などの添加物を使ったものが多くなってきましたが、うちの店はそういう時代の流れに取り残されていました。
しかし、それが今思えばいい意味で時代の流れに乗れずよかったのでしょう。両国なのでお相撲さんなど角界の人たちもよく買いに来ていました」
1998年(平成10)頃、ある雑誌に「はら山」が紹介されていた。着色料を一切使っていない和菓子店はほとんどなかったので、早速電話でいろいろ聞いてみた。
その時の様子について西田さんは「着色料のことだけではなく、他の添加物、小麦や小豆などの栽培方法、砂糖の種類、そして水のことまで聞かれ質問というより尋問のようでした。しかし、これをきっかけに当店の和菓子の安全性のこだわりが増してきました」と言っている。
|
◆「はら山」のどら焼
写真上から
小倉どら焼、うぐいすどら焼、白どら焼
|
|
今では笑い話になっているが、当時は着色料に反応する過敏症やアレルギーの患者さんたちがおり、その人たちに、「はら山」の和菓子を勧めるには確認しておかなければいけないことが多かったため、根堀り葉堀り質問することになったのだ。
そして、「はら山」の和菓子を宅配便で送ってもらい食べてみた。美味しかったのはもちろんだが、和菓子特有のけばけばしい色ではなく、食材による落ち着いたまさに天然色が安心感を醸し出していた。
その当時、私は真面目に前向きに取り組んでいる自然食のメーカーや流通業者や小売店やレストランの人たちと勉強会をしていた。その頃、はら山では、まだ小売の店のみの販売だったが、勉強会に参加していたある流通業者の人に美味しさと安全性が認められ、納入を始めたのである。
現在では、アイテム、納入先も順調に増え、安定した菓子作りが出来るようになってきた。「はら山」の和菓子を扱っている小売店もあり、ホームページから通販でも買える。
■「はら山」の和菓子が買える店◇ノルウェーの食べ物は着色料全面禁止 「一番の課題は原材料の確保と安全性の見極めです。白あんの原料になる白インゲンは北海道北見で無肥料・無農薬の自然栽培を実践されている秋場農場さんにお願いしていますが、昨秋の収穫状況が悪く一部商品を慣行栽培品にせざるを得ませんでした。
天候次第で収量が大きく違いますので使用量の確保と農家さんの経営を考え資金的には苦しくなりますが、豊作のときのストックを農家さんにお願いするようにしようと思っています」と西田さん。
原材料確保には、そういった苦労もあるのだ。
和菓子の着色はレッドビーツ、かぼちゃ、紫芋、クチナシ、ほうれん草など野菜・果実から煮る、絞るといった物理的な方法だけで採取したペーストや水溶液を使用している。どんな食べ物にも特有の自然な色が備わっており、その自然な色が人の眼を楽しませ、食を美味しくしてくれる。
ノルウェーのブルントラント元首相は1981年の首相就任後、ノルウェー国内の食べ物に着色料を使用することを全面禁止した。
.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
◆「はら山」の和菓子(10月)
写真上から
紅菊、龍田川、雁渡し、栗拾い
|
|
