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ニュースのビジネス化-2「動機が顕在化した新聞記者時代」
福岡県警本部の記者クラブ室のブース。赤い電話といい、テレビといい、昭和にタイムスリップしたような空間で仕事をしていた。

 大学を卒業した翌月に、何の地縁もない福岡・博多駅近くの西部支社に1人で赴任した私は、同期入社組すらいない孤独な環境にぶち込まれた。東京から一番遠い拠点への配属だった。「アジアに近くなったじゃないか」。人事部の次長にそう言われたのには、訳があった。

【Digest】
◇「発表モノ前倒し」系に興味持てず
◇どうみても労基法違反な日々
◇広告と編集とサラリーマン
◇自己規制カルチャー


◇「発表モノ前倒し」系に興味持てず
入社試験で書いた作文を、その日のうちに復元したもの。制限時間は1時間で1千字、原稿用紙に手書きで即興で書く。与えられたお題は「不安」。今書けと言われたら何を書くだろうか…

 

 

 当時は新卒入社試験の日程が春(青田買い)と秋(正規試験)の2回あり、春は私を含む記者28人、秋は2人だけ。だが、8月の正規試験は、青田買いルートで内定している人も、形式だけ受けねばならなかった。

 私はこういう建前や形式主義が大嫌いで、同じような試験を2度受ける必要もなかろうと思い、人事部に話して、その時期はバックパッカーとしてベトナム・カンボジアを旅することにし、試験の代わりに旅行記を提出していたのだ。

 この配属について、同期の1人はこう評した。「僕なんか叩かれたらヘナって落ち込んじゃうけど、渡邉の場合は、叩くほど反発して強くなりそうなタイプだもの」。

 この配属は、いま思えば、生意気で青臭いやつを厳しい環境で鍛えてやろう、という意図だったと思う。入社試験の作文でもニュージーランド1人旅で現地の宗教家と議論した話を書いたから(右記参照)、確かに「1人で九州行き」は適任と思われても仕方がない。

 遠方であるがゆえに、コストが安い通信手段であるWEBを最大限活用するようになったのは、自然の流れだった。友人・知人を数十人、メーリングリスト化し、日記のようなものを書き連ね、週一ペースでEmailを送ることにした。だから、その当時のメールには、心境が率直に記されている。

 以下は赴任して1ヶ月ほど経ったころに、「スクープ」という題で送ったものだ。要するに、先輩と議論しながら考えた話を書きとめたものだった。現在のビジネスに至る、そもそもの問題意識が記されている。

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 スクープについて以前から疑問を感じている私とは、いつも議論になる。

 「例えば、普天間基地の返還を一日速く報じたからって、それが何のためになるんですか?どうせ、数日後には、わかることでしょう」

 普天間基地返還のスクープは、日経のワシントン支局が他社を丸一日抜いた大スクープだ。(中略)ほとんど自動的に社長賞が与えられることには、どうしても疑問が残る。新聞が抜かなくても、数日後には政府が発表することは確実なのだ。速いことが本質的に価値があり、重要な問題なのだろうか。
(中略)
 これは、東京三菱銀行の合併についても言える。世界一の規模を持つ銀行が誕生するという、歴史的な意義も高いニュースは、多くの人が早く知りたいことだし、投資家などにとっては経済的な実益にもなろう。

 しかし一方で、それらが、多くの一般大衆にとっては、ほとんど意味をなさないニュースであることも多い。それに、いわゆる「とばし」というやつで、スクープ合戦に走るあまり、事実と違うことを報じるケースもままあり、結果として、世を混乱に陥れることさえある。

 結論として、特ダネやスクープにも二種類あることに気付く。一つは「新聞がやらないと明るみにでない調査報道」、もう一つは「何もしなくても早晩発表になるが、注目度の高いもの」。私は前者の方が圧倒的に質が高いものと考えるのだが、新聞協会やキャップには、この区別はないようだ。実際、新聞・放送などの業界団体である新聞協会は、授賞に際し、この二つを明確に分けていない。

 何より、新聞協会は朝日新聞の世紀の大スクープであるリクルート事件報道さえ、受賞させなかった過去がある。 リクルート疑獄は朝日の記者がいなかったら明るみに出ない可能性のある、調査報道の典型だった。

 いずれ見える事実よりも、見えないものを明らかにする方が、どれだけ有益か。隠された悪事を明らかにしたり、物事の底流に流れる大事なことを明らかするのがジャーナリズムだと思う。これは、私の価値観の問題なのかもしれない。何はともあれ、キャップとの議論の中で、自分の記者として目指すべきものが見えた気がした。

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 普天間基地の返還合意(96年度)、三菱銀行と東京銀行の合併(95年度)ともに、日経が新聞協会賞を受賞していた。賞を出す新聞協会という組織は、日本の新聞社が加盟する業界団体「日本新聞協会」のことだ。要するに内輪で出している賞である。

 ここに書かれているように、私は調査報道こそがジャーナリズムで、「待っていれば確実に発表されるネタ」を前倒しで伝える行為は、過大評価すべきでないと考えていた。この考えは今でも全く変わらない。だが日経、そして新聞協会の評価指標においては、まさに「発表モノ前倒し系」のスクープこそが、最高評価なのだった。

 自分が、血眼になって銀行の合併などをいち早く報じることに使命感を持てるか、文字通り「命」を「使」えると思えるか。これが一番の悩みであった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



なぜかハードディスクに1つだけ残っていた当時の給与明細と賞与明細(上期)。宿泊、早朝、時間外を合わせても2万円。この月は2泊のようだが、1泊あたり1万円の手当では、割に合わない

 

 

 

 

 

この事故は日曜日に呼び出されたので、かすかに覚えている

 

 

 

 

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News  23:29 10/18 2008
ニュース、この言葉に囚われすぎているのかもしれませんね。メディアには一読者としては不偏不党の真実を報じてほしいと思っていますが。
証券マンの方が・・  20:18 10/07 2008
商社マンよりも証券マンの方が情報を早く収集します。よく言われる話のようです。
商社マンの方が・・  01:23 10/06 2008
「調査報道こそがジャーナリズム」。まさに正解です。情報のスピードという事でいえば、新聞人よりも、商社マンの方が 情報を早く収集します。