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07/17 2009
 日経が、月曜日朝刊の一面トップでスクープ扱いとして最終版のみに突っ込んだ、サントリーとキリンの統合交渉(最終版でないと他社に漏れるため)。他社はもちろん都議選の結果が一面トップなわけだけど。

 最初は、「飛ばしかな」と思った。記事を読むと「少人数の統合検討チームに指示した」程度の話しかなく、具体的な話がなにも書いてないし、統合の検討くらいいつも裏でやってるものだから。産業部の食品担当記者の焦りが見えるようだった。

 ところが、翌日にはサントリーの社長がちゃんとしゃべってくれたおかげで他社も追いかけたから、これはもしかしたら社長賞じゃないかな。悪くても編集局長賞。

 こういう「放っておいてもいずれ発表されるニュース」を、発表される前に、かつ他社より先に、記事にする、というのが日経記者の「社内でもっとも評価される仕事」です。東京銀行と三菱銀行が合併します、普天間基地返還へ、も社長賞。

 こんなスクープをいくら報じても、社会は何もよくならない。一ミリも前進しない。こんなのはジャーナリストの仕事ではない。自分がやらないと埋もれてしまう話を調査報道するのがジャーナリストの仕事である。だから、MyNewsJapanが載せている記事はすべて調査報道。それしかやらない。

 それでも、マスコミのサラリーマン記者たちは、毎日毎日、社内的な評価を勝ち取って部長にのしあがるために、そして地方支局に飛ばされないようにするために、サントリーとキリンの役員宅の前で役員のお帰りを待って、「社長から統合交渉についての報告を受けましたか」とぶつけ、反応を見る。この土日に最終確認のために両社担当の記者が走り回った様子が目に見えるようだ。

 私にはこの仕事はできない。意味がない仕事だから。「日本投資家新聞」に就職したのなら諦めるしかないが、社長はジャーナリズムだとか言っているわけでね。日経に残っていたら、こういう合併話を、キャップとして責任ある立場でやらされてる年次だから、精神障害を起こして廃人になっていたかもしれない。

 ようは、既存の新聞社というのは、株価が動くインサイダー情報をとるために膨大な手間ヒマをかけているわけだ。ホント、くだらない。株情報屋さんに成り下がっている。堂々と人に言えるような仕事じゃない。そんなことしてて、何か、やりがいあんのかねぇ。

■誰も幸せにしない統合
 ところで統合の件ですが、サントリーとキリンは全くカルチャーが違うから、絶対うまくいかないと思う。サントリーは、非上場で独自の魅力的なカルチャーを持っているのに、その強みがなくなるのは本当にもったいない。

 官僚機構みたいなガチガチのキリンと、やんちゃで「やってみなはれ」の自由な社風を持つサントリーは水と油です。足して2で割ったら、それぞれの強みが消えて普通のつまらない会社になるだけ。日立とかNECとか丸紅みたいな「一通り何でもあるけど無難で特徴がない」幕の内弁当みたいな会社になるか、いつまでも統合できず内部分裂が続くか。社員にとっては、どっちもハッピーではない。

 投資家にとっては、生産・流通・営業・販売などの統合を強引にやればコストメリットがあるから短期的には利益が増えるが、市場は競争が減っていいものが生まれなくなるから、中期的に縮小すると思う。

 消費者にとっては、競争がなくなって、似たようなブランドは統合されて商品の選択肢が減るわけだから、得な話はひとつもないです。3社のうちで圧倒的なシェアを握った段階で値上げもしやすくなるだろうし。朝毎読の新聞3社みたいに、証拠を残さないで闇カルテルも結ぶだろうし。

 公取はこの統合を認めてはいけない。ビールは税金が高いため規模の経済が必要で、今後の新規参入がほぼ不可能な市場だから、統合を認めたら、企業を怠けさせるだけです。

サントリー
キリン

 
02:31 07/17 2009 | 固定リンク | アクセス数(319) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

コメント
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名無し  13:27 08/05 2009
統合は評価に値する。日本の多くの企業は日本国内だけに目を向けて競争してきてしまった。そのせいで、半導体、造船などは国際競争力を失い縮小していった。将来の国際競争を視野に入れて、合併に踏み切ったキリンとサントリーは評価に値すると思います。

また、従来の合併は救済的合併という側面が強く、国際競争力をつけるための積極的な合併スタイルは日本に必要なことなのである。経営者、サラリーマン、記者も産業の経営環境をしっかり分析、考慮して、経営戦略が正しいか判断するべきですね。

競争がなくなって、消費者が損をするよりも、企業規模が縮小して、雇用が守れない方がよっぽど日本経済にとって打撃だと考える。だから、上記のような論点で考えるのはいかがのものかと。
松本孝行  12:02 07/17 2009
おそらく、おっしゃるとおりつまらない会社になる可能性は高いですね。ただ、キリンとサントリーはすでにビール会社というよりもすでにソフトドリンクの方が規模が大きくなっています。今後もビールよりもソフトドリンク関連に傾斜していくんじゃないでしょうか?

ただ、それならキリンビバレッジとサントリーフーズで合併すればいいんですが、ホールディングス同士の合併となると…ビールでも商品ラインナップ削るつもりなんでしょうか…その辺の意図がイマイチよくわからないですね。
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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