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キリンビール 受身カルチャーで変革鈍く

情報提供
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A 優良企業
(仕事4.5、生活4.0、対価4.2)
 「ウチより泥臭いですね。顧客に土下座する回数は、アサヒのほうがずっと多いと思う」。麒麟麦酒(キリン)の中堅社員は、アサヒとの違いをそう表現する。アサヒビールを専門に扱う店を、自らの営業努力でキリンに引っ繰り返すことが決まった時のことだ。アサヒの営業担当者は、その店の売上げ増にかつて貢献していた前任者まで連れてきて、オーナーにお願いした。
Digest
  • 受身の被挑戦者的カルチャー
  • 厳格ではない品目別のノルマ
  • 朝型、夜型に分かれる酒類営業マンの1日
  • WEB規制は厳しい
  • コンプライアンス研修は総会屋事件の反省?
  • 地方勤務はロングスパンを覚悟
  • 卸の長男限定でコネ入社
  • 支社の営業部からスタート
  • 医薬では若い段階からリーダー的役割に
  • 公募制とキャリア開発申告制、低調な活用度合い
  • 30代後半、経営職で1,000万円超
  • 福利厚生は温存
  • 360度評価は研修レベルで

受身の被挑戦者的カルチャー

結局、覆ることはなかったが、「ウチはあっさりし過ぎている」「サラリーマンとしてその場限りの勝負と割り切っているところがある」と実感したのだという。

ビールメーカーは、卸業者を通して、末端の販売店に販売している。アサヒとキリンの双方の商品を扱う販売店がある場合、キリンは、販売店との交渉をする際にも、そこを「縄張り」としている卸業者を気遣って仁義を切る傾向がある。

だがアサヒは、卸業者の頭越しに、販売店とドライに交渉を進める傾向があるという。「短期的な数字よりも、その地域における長期的な視点で、広い眼で見るのがキリン。アサヒのやり方は挑戦者的で、キリンは被挑戦者的。とはいえ、ビールのシェアでアサヒに抜かれ、いつまでも受身のカルチャーでいいのか、という危機感はあります」(同)。

同業者間での引き抜きや転職による人材の行き来がほとんどないのがビール業界。各企業ごとに、独特のカルチャーは形成されやすい。キリンでは、上司を呼ぶときは、社長も含めて「さん付け」。扱う商品が酒類という嗜好品なので、当然のごとく「酒が好きで売っている」という人が多く、特に「キリン好き」が多い。体育会系はそれなりにいるが、総じて受身的なカルチャーで、激しさはない。

厳格ではない品目別のノルマ

人材流動性が少ないのは、規制に守られている点も大きい。ビール業界は酒税法で高い税率を課せられていることもあり、一定の規模を上回らない限り採算がとれず、新規参入が事実上ないのだ。ビール類全体でのシェアが1割強のサントリーでさえ、40年超も赤字を続けている。従って、大手4社でのシェアの奪い合いだ。

 精神的なプレッシャーとなるノルマは、それほど厳しいものではない。

酒類事業では、製造-流通(卸)-販売(小売)を、それぞれ別会社が担うが、マーケットに近い末端になるほど数字は明確になる。卸の営業マンと比べ、メーカーであるキリンの営業マンの場合、卸への売上高は必ずしも末端市場における売上高ではなく卸の在庫が積み重なっているだけの可能性もあるため、実態がつかみにくく、不明瞭だ。

そのため、現場営業マンに対しては、一応、ビール、ワイン、ブランデー、焼酎…と、品目別にノルマが設定され、週1回ほどの会議で進捗を管理されるものの、実際には、卸への売上高よりも、卸から小売への売上高(それなりに掴める)が、曖昧な数値ながら、指標となっている。

一方、営業部長や支社長など経営職クラス(管理職)になると、キリンの業績に直接影響がある卸への売上高を厳しく見られる仕組みで、よりプレッシャーがかかる。

朝型、夜型に分かれる酒類営業マンの1日

6:00 起床。家庭用(量販店)を担当する営業マンは、朝が早い。これは卸会社(「国分」など)が主な営業先となるため。

7:30 卸会社の朝礼に参加し、新商品やキャンペーンの説明を行う。キリンの商品を、より沢山売ってもらうよう、熱心に説く。

9:00 出社、朝礼。リーダーにもよるが、直行直帰(会社に寄らず顧客先に行き、会社に寄らず自宅に戻る)を推奨中で、朝礼がない支店もある。

10:00 家庭用担当者は、昼間は量販店を回り、夕方にオフィスに戻って、翌日の企画書を作成。

13:00 業務用(飲食店)担当者は、夜型。昼間に企画書を作り、夕方から飲食店回りを始める。

17:30 カウンターに座り、チビチビ飲みながら、店の営業状態を見極めつつ、頃合を見計らってオーナーに声を掛け、新しいメニューの提案などを持ちかける。飲まねばならないが、酔ってしまうと商談ができないので、酒に強くないとなかなか仕事にならない。

19:30 2軒目。だいたい1軒あたり90分程度は滞在するため、毎日、3軒くらいが限度だ。地方支店だと、経費は、月10万円強を普通に使える程度。営業はノートPC(IBMのThinkPad)を持ち歩いており、どこからでもリモートでイントラにアクセスし、営業日誌を読み書きできる。訪問した店、滞在時間、話した内容…を記入。全社員に見られるのでいい加減なことは書けない。

21:30 3軒目。酔ってろれつが回らないことも。会計は、オーナーとの人間関係が重要なので、毎回、領収証を切る訳にもいかない。自腹で

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akihiko8102010/12/26 11:20

酒税法で新規参入がない

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酔っ払い2008/02/01 02:50
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