企業別「発泡酒」売り上げトップ商品
●アサヒビール「本生」
販売数量:742万c/s
原材料:麦芽・ホップ・大麦・大麦エキス・スターチ・糖類
アルコール分:5.5%
●キリンビール「麒麟淡麗〈生〉」
販売数量:1754万c/s
原料:麦芽・ホップ・大麦・米・コーン・スターチ・糖類
アルコール分:約5.5%
●サントリー「マグナムドライ」
販売数量:442万c/s
原材料:麦芽・ホップ・大麦・糖化スターチ
アルコール分:約5.5%
●サッポロビール「北海道生搾り」
販売数量:計374万c/s *生搾りの合計
原材料:麦芽・ホップ・大麦・糖類
アルコール分:約5.5%
「平成18年上半期の各社主要製品販売数量」より
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世界最高の酒税率に対抗するために生まれた発泡酒。一番人気「麒麟淡麗」を発売するキリンビールでは、発泡酒と新分野(「のどごし生」等)を足した擬似ビールの総量がビールを抜き、うちの両親も安さにつられ「発泡酒というビール」だと勘違いして飲んでいる。健康志向に乗って「カロリーオフ」「プリン体カット」等と、まるで病人向けの発泡酒も出回り、従来のビールと置き換わりつつある。キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーにどういうつもりなのか聞いた。
◇発泡酒=安いビールと思い込む両親
物心ついた頃、1970年代のわが家で両親が飲んでいたのはキリンラガービール(瓶ビール)だった。当時は酒屋からキリンの瓶ビールをケースで自宅に届けてもらっていたが、1987年にアサヒスーパードライが発売された頃からスーパードライ(缶ビール)に変わり、酒屋ではなく量販店で買うことが多くなった。
以前に帰省したとき、両親が飲んでいたのは、キリンの「麒麟淡麗生」。ビールでは「一番搾り」。キリンビール愛飲一家だ。1998年にキリンはこの淡麗で発泡酒市場に参入した。
--淡麗飲む?(と母)
「発泡酒はいいよ」(私。といっても、もともとビール党ではないが)
--淡麗、安くていいのよ。ケースで買うと安いのよ。
「でも、飲むならビールがいいよ」
--発泡酒、ビールじゃないの?
昔あんなに飲んでいたキリンラガービール(火入れビール、現在のクラシックラガー)を、発泡酒の味に慣れたためか、今では、父が「苦くて飲めない」と言う。すっかり「発泡酒一家」になっている。
--年金暮らしなんだから、安いビールがいいのよ。
「だから、それは、ビールじゃないんだって!」
テレビCMであれだけイメージを作られては、無理もない。「おかげさまで発泡酒売り上げNo.1」ではじまる麒麟淡麗の今夏流れているCMは「キャベツ篇」。出演しているタレントは、坂口憲二、高田純次、八嶋智人の3人だ。
「キャベツを特製タレ(塩と黒コショウで味付けしたごま油)につけると何とも美味しく淡麗にも良く合う!」(キリンビールHP)。
キンキンに冷やしたキャベツと淡麗を豪快に口に入れるのを見ると、たしかにおいしそうだ。最後に、「キレうま」と坂口憲二が叫ぶ。
「発泡酒」と画面にちらっと出ているけれど、どう見てもイメージはビールである。
◇いくら言ってもわからないで困るんですが…
わたしの親のように、発泡酒とビールの違いもよくわからず、安いから得だと思って飲んでいる消費者も多いのではないだろうか。安さのみを強調した酒のディスカウントショップのチラシが毎朝入ると、それも自然なことなのだろう。
キリン、アサヒ、サッポロ、サントリー各社に、まずは違いをどう説明すればいいのか聞いた。
--CMでもビールっぽく宣伝しているから、うちの両親が発泡酒というビールだと思っていて、いくら言ってもわからないで困るんですけど、どう説明したらいいでしょうか?
■アサヒビールお客様相談室
「缶の形や容量が同じなので、わかりづらいということがあるかもしれませんが、ビール、発泡酒と缶にも表示させていただいておりますので、たいへん申し訳ありませんが、それを気をつけて見ていただきたいと思いますが。お好みの商品が決まっておりましたら、スーパードライならビール、本生は発泡酒と名前で覚えていただくという形がよろしいかと思います」
■キリンビールお客様センター
「両方とも原料に麦芽を使用してはいるのですが、使用の割合の違いによりましてビールと発泡酒が違ってまいります。(味のほうは)ビールよりも発泡酒のほうがすっきりして飲みやすい傾向になっています」
■サッポロビールお客様相談センター
「酒税法上の区別で、ビールの条件として麦芽、とうもろこし、でんぷんなどの原料を使いますが、その3分の2以上が麦芽でないとビールとは言えません。(いろいろビールより入っているというのは)麦芽が少ないのででん粉を使うと製造上うまくいきませんので、糖化質糖類を使っています。嗜好品ですので、味もお客様の好みになるかと思いますが、比較はむずかしいですね。コクよりすっきりした設計になっています」
■サントリーお客様センター
「原料に使っている麦芽の割合によって法律で分類されているもので、造り方などは基本的には同じになっています。大きい違いは麦芽の量で、発泡酒は麦芽の使用率が25%未満になります。(CMを見るとビールっぽく見えるのは)お味がビールにもかなり近いので、そのように見える部分はあるかもしれないです。お好みということにもなると思うのですが、モルツ、ザ・プレミアムモルツは味がこっくりしています。発泡酒のほうがさっぱりした味にはなっています」
アサヒ以外は、麦芽の量の違い、酒税法のことで説明してくれた。「ビールに比べていろいろと原料が混じってていますよね」と聞いてみても、結局、酒税法の話になった。
◇“病人”向けの飲みもの
メーカー各社は、大量に売りさばくため、「カロリーオフ」「プリン体カット」といった商品も販売している。これなら、「ビールは体に悪い」と言われ医者にセーブするよう言われ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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2006年上半期の販売数量ランキング
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