外国人記者クラブ会見
"Karoshi&Compensation"
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単行本あとがきで「そう遠くない将来に大問題を起こすのではないか」(林)と記した見通しは的中し、2010年2月、米国で拡大したリコール隠し疑惑で、豊田章男社長をはじめ経営陣が米国下院公聴会に呼び出され、対応の遅れや事故について謝罪するという異例の事態にまで発展した。だが我々トヨタ取材班にとっては何の驚きもなく、やはり、という印象だった。
本稿では、複数回に分けて、2007年11月の単行本発売以降、現在に至るまでの関連する動きを記すとともに、元社員や会社側へのインタビュー、さらには国内外メディアの見方など、トヨタ社内外の反響を多角的にお伝えしつつ、日本を代表する企業としてのトヨタ問題の本質を検証する。
【Digest】
◇「雑談」ではなく「業務」と認定した歴史的判決
◇10人以上入る部屋が本社にない?
◇一部は残業代を支払うようになったが…
◇「カムリ」チーフエンジニアも過労死認定
◇スターリン時代のソ連と同じ
◇「雑談」ではなく「業務」と認定した歴史的判決
単行本発売直後の2007年11月30日、名古屋地裁は、30歳で亡くなった内野健一さんの過労死を認める判決を言い渡した。内野さんの妻・博子さんが、労働基準監督署に労災を申請したが棄却されたため、「遺族補償年金等不支給処分取り消し」を求めて国を訴えた裁判だった。亡くなってから過労死認定されるまで、実に5年10ヶ月もかかったことになる。
争点は、トヨタが主張する“自主活動”が、業務として認定されるか否か、だった。法廷では、「実際の残業は45時間程度」と主張する国側の証人として、トヨタ自動車の現役社員2名が出廷し、「残業でなく雑談していた」と証言。「トヨタ+国側(労基署)VS内野さんの妻」の構図となっていた。
判決では、創意工夫提案書作成、QCサークル活動、EX(班長)会で役員として行っている活動、交通安全活動なども、業務として認定された。内野博子さんの計算では残業時間は月144時間だったが、裁判ではその大半を占める106時間余りが認定され、全面勝訴といってよい内容となった。
弁護団の岩井羊一弁護士が、次のように振り返る。「トヨタの社員のかたが出廷するということで、どんなことになるか予想もつかず緊張しました。その社員は、健一さんが長時間工場に滞在していたのは、雑談していたからだ、と証言しました」。
30歳の大の男が、趣味の話など雑談をして深夜の工場に長時間滞在していた、とトヨタ社員は証言したのだった。裁判長が、そんなに長い時間、雑談していたのですか?という趣旨の質問を証言者に対して行ったところ、トヨタ社員は答えられるはずもなく、法廷の空気は一変し、失笑・苦笑の雰囲気になったという。
判決では、「使用者が支配する生産活動に関わるものであり、また、全員参加とされたり、賞金等が交付されたり、人事考課の対象となるなどの点に照らし、業務と評価すべきである」などとして、全面的に内野さんの主張を認めた。
◇10人以上入る部屋が本社にない?
判決を受け、弁護士が豊田市のトヨタ自動車本社に電話でアポをとり、3日後の12月3日(月)、内野博子さんと弁護士、「支援する会」の人たち10人が、控訴しないよう国に働きかけてほしいと要請するために本社を訪れた。
当日の様子を内野さんが話す。
「3台の車で駐車場に入ろうとすると警備員が来て、2台は出て行ってください、と2台の車を追い出そうとしました。アポをとっているのだからと弁護士が怒り、なんとか駐車できました。本社ビルのロビーに入るなり、『支援する会』の人を入れまいと、ちょっとしたトラブルになりました。弁護士が要請しても『10人以上も入る部屋がない』と言うんです。本社ですから何百人も入れる場所があるのに、情けなくなりました。本人が亡くなり、本人に口がないから、こうして残された者が要請に来ているのに…」
支援者は半分だけ中に入ることを認められ、弁護団が要請書を渡すと、「お預かりします」と言ったという。
◇一部は残業代を支払うようになったが…
2日後の12月5日、内野博子さんと全ト・ユニオン委員長の若月忠夫さんは、日本外国特派員協会(東京・有楽町)で、"Karoshi & Compensation"と題する記者会見を行った。Karoshiという日本特有の現象が、未だにトップ企業であるトヨタの本体において発生していることに、外国メディアの注目が集まったのである。
日本でのトヨタ過労死事件に関する報道が少ない実態について話が及ぶと、会場を埋め尽くした数十人の外国特派員たちからは、「トヨタはメディアの沈黙をカネと換えているのか?」といった質問も投げかけられた.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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過労死に対するトヨタ自動車社長からの感謝状。過労死を美化しているようにも感じられる。
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OECD調査による年間実労働時間の各国比較(国立国会図書館調査資料より)
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「卒業と同時にトヨタ社員」が売りのトヨタ工業学園(ウェブサイトより)
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