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京セラ携帯開発のフォーカスシステムズ若手SE、過労→うつ→失踪→大量飲酒→死亡

情報提供
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品川区東五反田にあるフォーカスシステムズ本社ビル(手前中央)
 京セラがデジタルテレビ内蔵のケータイを初めて発売したのは2007年2月。そのソフト開発を一括受注していた中堅IT企業「フォーカスシステムズ」の若手SEが2006年9月、京都の鴨川沿いのベンチでウィスキーをラッパ飲みし、急性アルコール中毒で死亡した。残業は死亡前の8月に130時間を超え、9月も半月で52時間。労基署は、過労が原因で精神疾患を発症した結果だったとして労災認定し、東京地裁も2011年3月7日、会社に損害賠償など約6千万円の支払いを命じている。死亡したSEの父に話を聞いた。(判決文はPDFダウンロード可)
Digest
  • 死亡前年から長時間労働 年1350時間残業

◇時系列
 本件を時系列でまとめると以下のようになる。

2003年 4月…………フォーカスシステムズ入社
2006年 7月…………第二システム部に異動
2006年 9月16日…死亡
2007年 3月13日…労基署、労災申請を受理
2007年10月10日…労災認定
2008年 1月31日…損害賠償請求訴訟を提起
2011年 2月28日…損害賠償請求訴訟の判決

◇ウィスキーボトルをラッパ飲み
 この事件で異様なのはCさんの死に方だった。Cさんが京都市内の鴨川近くで飲んだというのは、500ミリリットルの缶ビールと、720ミリリットルのウィスキーボトル。ボトルはラッパ飲みだった。Cさんの父は、連絡を受けて京都の警察署に行った際、「これですよ」とキャップの閉まったボトルを見せられた。中身は2センチも残っていなかったそうだ。

 「会社に行ったとばかり思っていました。いつも通り家を出て。ところが会社から『C君、来ていないんですよね』って電話が来たんですよ。その時はじめて会社に行ってないことを知ったんです」
 「でも全然疑問に感じなかった。ああ、来るものが来てしまった、というのが最初の感想。ついにギブアップしたんだな、と。限界が見えていたんでね。いなくなった段階で半分くらいは覚悟していました。だから警察から連絡があったときに割と冷静に対応できました」
 「自殺だと思っていました。京都の警察から、『鴨川のところで倒れていまして』って聞いたとき、水に入ったんですかって聞いたんです。そうしたら、『お酒を飲みまして』と」
 「ちょっと飲み過ぎちゃって、という飲み方じゃないということです。私もお酒は飲みますが、飲めないですよ、そんなに一気に飲んだら。受け付けないです。正常な人ならやけ酒なんです。よっぽどの馬鹿じゃないとこんなに飲んだら死んじゃうと分かるはず。それが止まらないわけです。正常な判断ができない状態。だから病気なんだ、うつ病なんだ、と思います」

 Cさんの死因は急性アルコール中毒。過労によって発症した精神疾患のため正常な判断を失い、通常であれば死ぬと分かるほどの量のウィスキーを飲んだ結果だった。自殺という扱いはされていないが、精神疾患で判断力を失った結果である点は過労自殺と同じだ。

◇第一志望の会社で「生き生きと仕事」と父
 Cさんが死亡したのは2006年9月16日午前0時頃。当時25歳、入社4年目のSEだった

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平成17年1月から平成18年9月までの残業時間表。判決別紙。

Cさんが開発に関わっていたと思われる京セラ製の携帯電話。2007年1月発表。

Cさんの様子の推移。判決から。

6月1日から死亡前日までのCさんの勤務時間表。判決から。

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mmuuishikawa2011/04/13 22:52

『会社の弁護士が「今まで死人が出なかったのが不思議なくらい」と発言』

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jiangmin-alt2011/04/03 09:14

日本的予定調和。早く途中下車しようね。

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seapig_dolphin2011/04/03 06:55

こえーー

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