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原発テロ「まったく可能、免震棟占拠も簡単」 潜入取材の山岡俊介さんに聞く福島第一原発の現実

情報提供
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取材に応じる山岡俊介さん。東京電力本店にほど近いホテルで。
 「テロ?まったく可能ですよ、ホントに。自爆テロならぜんぜんできると思いますよ。まず対策本部がある免震棟の占拠が簡単じゃないですか?」--そう話すのは、爆発後の6月、作業員に扮して福島第一原発に潜入取材したジャーナリストの山岡俊介さんだ。6月のある雨の日の昼頃、崩壊寸前の3号機が目の前に見える地点まで接近、その潜入手口や警備の甘さなどを指摘した『福島第一原発潜入記』を9月末に出版した。防護服を脱いだ作業員たちを見ると、全身入れ墨の人たちが次々と眼に入り、外見は、まるでヤクザ者と多重債務者みたいだったという。「なんだこれ、すごいいるじゃないか」。取材のため暴力団幹部とも交渉した山岡さんに、話を聞いた。

『福島第一原発潜入記--高濃度汚染現場と作業員の真実』
著者=山岡俊介、出版=双葉社、2011年09月28日発売、184ページ
ISBN-10: 4575303585
ISBN-13: 978-4575303582
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福島第一原発潜入記』のカバー。表紙の写真は、3号機の目前に立つ防護服姿の山岡さん。

◇免震棟の占拠「しようと思えば簡単」
--本を読むと、慎重に潜入した感じでしたが、そんなに苦労した感じはしませんね。呼び止められたり、警戒されたりとか、まったくなかったのですか。

 ぜんぜん。拍子抜けっていうか。
なんなんだこれは、と。
--この本をテロの参考書として読んだときに、何がポイントになりますか。

 ポイントは足ですね。ボクらは作業員として行っているわけではないので、作業員の基地であるJビレッジから約20キロ離れた原発まで、定期バスに乗るしかない。それに乗れるか乗れないかだけの話なんで。
 もちろん小さなポイントはあるけど、バスに乗っちゃえば一切チェックがない。そのまま運んでくれるんで。言ってみれば、Jビレッジまでは誰でも行けるんですよ。定期バスの存在さえ知っちゃえば、それに乗ればいいだけ。乗れば少なくとも、対策本部のある免震重要棟(以下、免震棟)までは行けちゃう。
 免震棟とは、1号機から北西に約200メートル離れた2階建ての建物で、対策本部が置かれている。
 免震棟まで行けば、対策本部はドアもついてないし、同じ部屋で作業員に線量計を渡してるんで、入ることもぜんぜんおかしくない。極端な話、占拠しようと思えば簡単。免震棟に入るときに荷物チェックもまったくないんで、ビニール袋の中に入れておけば何でも通っちゃう。

--ポイントはそこだけ?

 細かいことを言うと、本にも書いたように、定期バスに乗るときには事前に申し込みして、名前と企業名を書かないといけないので、それを知らないと絶対できない。ここがバスの申込所だとか分かるように書いてあるわけじゃないので、どこが申込所なのかわからない。ボクは、そこにいた人が顔で教えてくれたから分かったんですけど。
 申込所の机のところに東電の人かどうかわかんないけど人が座ってて、そこで「申し込みますから」って言って、「じゃあ書いてください」と。名前は仮名にして、あんまり人数が少ないと顔とか覚えられてる可能性があるので、実在のそれなりの業者の社名を書いた。それで、定期バスが来るじゃないですか。そしたら乗るときに一人一人、名簿を持っている人が「誰ですか」って言うので名前と所属を言って、係の人が名簿に横線を入れて。
 申し込みはバスが出る30分くらい前までにやるっていうことになっているらしいので、申し込んでからバスが出るまでのあいだに業者に身分照会をしてたら、もうアウト。それだけが心配だったけど、乗れたということはしてないということ。
 バスはマイクロじゃなくて普通の路線バスみたいな大きさで、50〜60人は乗れるのかな

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Jビレッジ正門手前の検問。山岡俊介さん提供。

報道写真家、樋口健二へのインタビューの一部。『福島第一原発潜入記』から。

『福島第一原発潜入記』の表紙に使われた写真。山岡俊介さん提供。

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和魂洋才2015/09/28 00:10
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