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日本のすごいところは「Maintenance&Polite」な夜
路面電車もバスも建物も、赤青黄の原色が多いのが特徴

 インドの街中の店はカレー類ばかりなので、朝食で腹ごしらえをしないとつらい。ただ、朝食ビュッフェには「チキンソーセージ」なるものまであって辟易とした。インド人は頑としてビーフやポークを食べない。「ミソスープ」にはちゃんと豆腐が入っていて味はまあそんなもんかな、という感じだが、味というのは器にも影響される。みそ汁はお椀で飲まないとおいしくないのだ。朝食は、卵類とサラダにパンで満腹にするようにしていた。

【Digest】
◇原色の電車、バス
◇第一の男、サッカー青年
◇第二の男、カナディアン
◇第三の男、登場
◇「あなたはストロングマインドだ」
◇パシュミナではなくビャクダン
◇「ビーフを食べないか」

◇原色の電車、バス
 コルカタは、インドではムンバイ、デリーに続いて、第3位の人口規模(1500万人)だという。ちょうど100年前(1911年)にデリーに遷都するまで、植民地インドの首都だった都市だ。

 今日は、東インド会社の本部付近にあるダルハウジー広場(B.B.D=ビバディ・バーグ)までタクシーで行き、そこから南に歩くことに。このあたりは英国統治時代の中心らしく、当時からの建物が残っている。日本の法務省の建物に似た赤レンガのデザインが多い。そしてやはり、その他の建物はボロくて汚い。植民地時代に作ったものしかまともなものがない、という印象だ。街並みは、仏の植民地だったベトナムのほうが美しいと思う。

 路面電車がまだ走っている。どれも黄色や赤の原色で塗られ、綺麗だ。市民の足の中心は、むしろバスのようで、のろのろと動いているところに人が飛び乗っていく。もちろんドアは開いたまま走り続ける。そこに自動車、バイク、タクシー、そして少ないがリキシャ。ものすごい人、人、人。歩道は狭く工事中だったりするので、車道の端が、完全に人が歩くスペースと化している。そして信号などおかまいなしに、人が車道を横切る。いったいどのくらいの事故が起きているのだろうか。

 安宿街のサダルストリートまで歩く。「白い牛たちが自由自在に歩き廻っているのには、驚きをとおりこして感動してしまった」(深夜特急)というのも今は昔。もはや中心街には牛など一頭もおらず、30年という時の流れを感じる。なにしろここは、コルカタの中心通りで、変化は一番はやいはずなのだった。

◇第一の男、サッカー青年
 ぶらぶらしていると、1人の青年が声をかけてきた。「おれはサッカーが好きだ、日本人か?中田は知ってる。でもおれが一番好きなのはメッシだ…」などと勝手に話してくるので適当にかわしていたが、まあ道案内くらいして貰うか、と話を聞くことにした。

 「いつ来たのか」「どこから来たのか」「いつまでいる」「仕事は何だ」といった、旅人に対する型どおりの会話が続く。ちょうどよいので聞いてみる。

--インドはどうしてこんなに汚くて破壊されてるのに平気なのか?

 「人口が増えすぎて追いつかないんだ。おまえがこれまで訪れたムンバイやチェンナイは大都市ばかりだ。ブッダガヤなど小さい街に行ってくれ。もっと違うインドらしさが分かるだろう」

--それにしても汚れすぎだろ、この国は。

 「香港やシンガポールには行ったことあるか?特にシンガポールは最高にきれいだ」

 それ以上の答えは出てこなかった。僕の英語力にも問題があるのだが、そもそもの問題意識が違うようだ。

 「チャイは好きか?おれは好きだ。そのへんで飲まないか」というので、適当に店に入って話を続けた。やってきたウエイターは小学生くらいの子供だった。チャイルドワークは、インドでは普通である。

「ドーサ」は普通にうまい
◇第二の男、カナディアン
 4人掛けの席に座ってチャイを頼むと、相席で1人座ってきて、「ドーサ」を頼んだ。確かに店は混んでいるのだが、インドでは相席が普通らしい。ドーサは、イモと野菜をふかしたものをクレープのようなもので包んだ軽食である。火が通っていて安心できるし、これなら食べられるので、私も頼む。カレーとココナッツのタレが別についてきた。普通にうまい。

 相席者は、私が日本人と知ると、話に入ってきた。ここから250キロほど離れた街で生まれた生粋のインド人だが、今はカナダに住んでビジネスをやっており、日本にも数年前に2週間だけ、MBAの企業研修で行ったことがある、そのときは赤羽と亀戸に住み、三菱系の企業に出入りしたのだという。現在、一時帰国中で、今月14日にカナダに戻るが、インドには結婚準備のための民族衣装を買いに来て、仕立てを待っている間にこの店に入った、とのことだった。

 サッカー好きの青年とカナダのビジネスマンと3人で話し始めた。カナディアンは日本食では、てんぷらが一番好きだという。そんなことはどうでもよい。僕は、また同じ質問をする。どうして街がこう汚いのか、スラムが多いのか、と。

 「人口が多いからね。これでも昔よりは、かなりよくなったんだ。だからこれから、もっとよくなるさ。あと20年くらいはかかるかな」

◇第三の男、登場
 カナディアンは、近くの店に、仕立て中の服をピックアップにいくという。時間があるなら着いてこないか、というので、着いていくことにした。ほんの30秒ほど歩いたところに、確かにその店はあった。「King Crafts Emporium」という。

 その店の主人は、15年間も住んだ日本から先月、帰国したばかりで、日本語がぺらぺらだった。本日、第三番目の男の登場だ。うむ。これは出来すぎた話で怪しいな、とは思ったが、この3人がグルで演技をしているとは到底、思えない。この男は、カナディアンに、「仕立てができるまで、あと30分待ってくれ」と言った。

 店主は36歳で、名を「Khan」(カーン)と言った。ペルシャ語も話せるというから、英語、ヒンディー、日本語、ペルシャ語の4ヶ国語を操れることになる。5つの店を経営しているそうだ。千葉県の市川に店があり、幕張にマンションを所有し、日本の永住権を持ち、大使館から日印の貿易関係者としてパーティーに呼ばれることもあるそうだ。

 最近、銀座の近くの「東京タワーズ」という名前のマンションを買おうとしたが、予算が合わなかった、と言い出した。これはまあ、作り話では無理かな、というリアリティーがあった。だいたい、勝どきのタワーマンション「THE TOKYO TOWERS」は確かに販売されていて私は親が築地勤務ということもあって知っていたが、日本でもそれほど知られていないわけで、騙そうと思ったらとても有用なネタとは言えない。

 カーンにも例の質問をした。

――インドはスラムが多くて街が汚すぎる。これはインド人の国民性なのか?

 「それも、あると思う。でも、とにかく人口が多くて、様々な人がいて、幅が広い。私のように心を痛めている人もいることを知ってほしい」

「子供たちに学校を」パンフ。右下がカーン。
そして、財布から紙を取り出した。

 「私は、貧しい子供に教育を受けさせるNGO活動の準備もしているんです。日本で資金集めをしようと思っているんです。これが、そのパンフです」

 へえ、これは嘘じゃないな。疑うのはやめた。

――他のアジアの国と比べても、特にインドはゴミだらけで、人口だけのせいではないと思うけど。

 「確かに日本はきれい。僕は、日本が好きだから15年も住んでいた。日本の一番すごいところは、Maintenance。あと、日本人はPolite(礼儀正しい)。

 日本では(水道のメンテは信頼できるから)飲むけど、インドでは、日本みたいに水道水を飲まない。でも、インド人にもいいところはあるんだ。インド人は、誰とでも挨拶して、フランクに話ができる。人間の心があると思う」

 まあ、いずれも確かに、そうだな、と。的確だ、と思った。日本は道路にしても水道にしても、あらゆる仕事に関して、「維持する」ということにかけてはピカイチである。それは破壊されたまま遅々として進まないインドの街中のインフラと正反対だ。そしてインドでは、フランクさについて言えば、ただいま現在、さきほどまで見知らぬ4人がこうして話している。これは日本では滅多にない出来事だ。

――いま、世界中からインドにカネが集まっているのに、政府はどうしてインフラ整備をしないのかな?やる気次第でしょう。

 「賄賂で動く政府の人たちが、まだたくさんいるんだ。悪い人が多い…」

◇「あなたはストロングマインドだ」
 いろいろ話しているうちに、二階で待たないか、3人に「パシュミナ」を紹介したい、という話になり、僕はあまり興味がないのだが、とりあえず店の二階へと、階段を上った。

 「インドでは、まず客をもてなして、じっくり商品の説明をするんです。楽しんでもらえばいい。お金の話はしない」

 そう言って、ビールを勧めてきた。「ブラックレーベル」の高級ビールだという。まあ、さすがにここで悪事を働いたら、店も特定されているわけだし、店側のリスクが大きすぎる。ありがたく、いただくことにした。つまみのナッツまで出してきた。

 カーンは、パシュミナ(カシミヤよりも高級な毛織物)について、20枚ほどを、次々と出してきて広げては、解説を始めた。日本のJTBから客の紹介を受けることもあるという。自分の目利き力があれば、安物を高値でつかまされる心配がないからだそうだ。

 300Rs(500円)で売ってる合成繊維商品と、本物のパシュミナ(動物のひげらしい)を比べ、端っこをライターで燃やして、実演を始めた。確かに、両者は臭いが違う。偽モノはコゲ臭いが、本物は毛髪みたいなもんだから、臭わない。

 さらに、480ドル(4万円)で売ってる商品と、エルメスにも卸しているという700ドル(6万3千円)の高級品を、次々と見せた。確かに、モノがよいのは分かった。必要があれば買ってしまうところだが、残念ながら私には必要がない。この種のブランド品には興味がないのだ。

◇パシュミナではなくビャクダン
慎重にパシュミナを品定めする第二の男、カナディアン
 フットボーラーとカナディアンは、少し買う気になって、気に入ったものをキープし始めた。でも、私は買うつもりが毛頭ない。買うとしたら、行き付けの理髪店の店主から頼まれている、インドらしい置物くらいである。この店では、置物もたくさん売っていた。

 結局、合計で2時間強は店にいたと思うが、ヒンズーの神様の置物を買うことにした。3千円くらいのものもあったが、僕は本物志向なので、白檀(ビャクダン)という、香りのする木から出来たガネーシャ(シヴァ神の子供の象の神)の彫り物を、70ドルで買った。確かに、爽やかな甘い香りがする。本物だ。ビャクダンというものをはじめて知って、勉強にもなった。

 結局、パシュミナは値段が折り合わず、誰も買わなかった。カナディアンは、仕立て終えた服(4800Rsとか言っていた)を、キャッシュを支払って受け取っていた。申し訳ないが、かなりこの店では、楽しませてもらった。成功した商売人であるカーンは、商品を買わなかった私に「あなたはストロングマインドだ」と言った。それはそうだ。僕は自分で独立して会社経営をしているくらいなのだから、口先や場の空気に流されて買い物なんてしない。

左が第一の男、フットボーラー
◇「ビーフを食べないか」
 皆で夕食でも、という話になったので、私がおごることを申し出た。ビールやつまみ付きで、ずいぶんいろいろ教えてもらって.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



この店で今日会ったばかりの5人で会食

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