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東京地裁民事8部で進む「清武VS読売」裁判、読売代理人の高山弁護士は民事8部の元裁判官だった!

情報提供
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七つ森書館から復刻出版された『会長はなぜ自殺したか』とワックから出版された『巨魁』。読売は『会長はなぜ~』の出版差し止めを求め提訴した。
 東京地裁の民事8部で進行している「清武VS読売」の舞台を検証したところ、読売側代理人の高山崇彦弁護士が、過去に、同じ民事8部の裁判官であった事実が判明した。難問解決の最後の頼みの綱として国民が信頼を寄せ、公正中立のイメージがある裁判所であるが、民事裁判の中立は幻想にすぎない。さらに踏み込んで調査すると、民事8部には、裁判官が弁護士を破産管財人として選任する制度をめぐる利権構造があることも分かった。また、裁判官、弁護士、検事が法務省民事局へ出向し、法案を作成する作業を通じて情を交わす実態があり、それが裁判にも影響しかねない構造も浮上。公正中立とされる民事裁判の実態に迫る。(HOYAに対する仮処分申立書、決定書はダウンロード可)
Digest
  • 「俺は法廷闘争で負けたことがない」
  • カネボウでは判事、シャルレでは弁護士
  • 民事8部は会社側に優位な判決傾向
  • 破産管財人という利権
  • JALの再生計画と東京地裁
  • 法務省民事局の闇
  • 民事裁判の改革を優先すべき

日本に公平な裁判の土壌はあるのだろうか--。

マスコミが刑事裁判の裁判員制度を「PR」しているのとは裏腹に、民事裁判で社会通念に照らして疑問をていする判決が増えている。

商事関係や会社更生事件を扱う東京地裁民事8部は、もっとも疑問の声が多い部署のひとつである。

はからずもその民事8部で進行しているのが、読売の渡邉恒雄主筆と元巨人の代表・清武利則氏の裁判だ。

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読売新聞の主筆兼会長で2007年度の新聞文化賞の受賞者・渡邊恒雄氏。

「俺は法廷闘争で負けたことがない」

読売の渡邉氏が、報道陣の前で清武氏に対する「法廷闘争」を宣言したのは昨年の秋だった。

「こっちが法廷に持っていくよ。10人の最高級の弁護士を用意している。法廷なら我が方の最も得意とするところだ。俺は法廷闘争で負けたことがない」

さらに渡邉氏は5月24日に、裁判の進行が遅いことに苛立って、

「時間がかかるんだよ。勝敗はわかっているはずなのにな」

と、発言している。

三月に朝日新聞が読売ジャイアンツの契約金超過問題を報じた時も渡邉氏は裁判の提起をほのめかした。清武氏を「窃盗」呼ばわりして刑事裁判をにおわせたのである。読売は警察にも相談しているという。

さらにその後、七つ森書館を提訴した。清武氏が中心になってまとめた調査報道『会長はなぜ自殺したか』を七つ森書館が復刻出版しようとしたところ、裁判で出版の差し止めを求めてきたのだ。

読売は、300万円を支払うことを条件に、出版を断念するように交渉を続けたが、話し合いはつかずに提訴に及んだ。この裁判に関しては、出版妨害との声も上がっている。

ここにいたる一連の流れを見る限り、自社に対する反対言論を「裁判」で抑え込む戦略が読売の経営方針に組み込まれているようだ。言論よりも裁判である。しかも、渡邉氏は、「法廷なら我が方の最も得意とするところだ。」と発言するなど、裁判には絶対的な自信を持っている。

このような渡邉主筆の言動を前に、多くの人々が関心を寄せるのは、係争の舞台となっている民事8部には、公平な裁判の土壌があるのかとう点である。舞台そのものが不公平なら、読売が勝って当然であるからだ。

ちなみに、渡邉氏が言う「我が方の最も得意とする」法廷闘争の前線に立っている対清武裁判の「10人の最高級の弁護士」とは次の方々である。

喜田村洋一 、田中克郎 、升本喜郎 、高山崇彦 、荻野敦史 、宮下央 、稲垣勝之 、吉野史紘 、金子剛大 、谷口達哉

このうち喜田村弁護士は、読売の販売政策をサポートしてきた。また、伝統ある人権擁護団体・自由人権協会の代表理事である。

これに対して清武氏の弁護団は、次のとおりである。

 吉峯 啓晴、吉峯 康博、室伏 美佳、高橋 拓也、大井 倫太郎、大河原 啓充、朴 鐘賢、中村 栄治、 小暮 典子、田口 真衣、吉峯 真毅

◇高山弁護士の古巣で裁判
 裁判の舞台である民事8部の実態について、まず、最初にわたしが疑問視するのは、読売弁護団

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TMI総合法律事務所は、東京の六本木ヒルズ森タワー23階・24階にある。「読売VS七つ森書館」の裁判でも、TMIが読売の代理人として登場している
の高山崇彦弁護士が民事8部の元裁判官であった事実である。かりに民事8部の裁判官や職員と年賀状のやりとりなど、なんらかの交流があるとすれば、著しく公平性に欠けることは言うまでもない。

高山氏の経歴は次の通りである。

【経歴】
1989年 3月 中央大学法学部法律学科卒業
1993年 4月 最高裁判所司法研修所入所
1995年 4月 大阪地方裁判所判事補
1997年 4月 東京地方裁判所判事補
    キヤノン株式会社出向
1998年 4月 東京地方裁判所判事補
1999年 7月 法務省民事局付検事
2006年 4月 東京地方裁判所判事
2007年 4月 第一東京弁護士会登録
TMI総合法律事務所にパートナーとして参画

【主な取扱分野】
一般企業法務
金融取引
保険/年金
企業合併・買収(M&A)
事業再建/倒産処理
紛争解決

2007年を境に、民事8部で裁判官として働いていた者が、今度は大手弁護士事務所に所属し、弁護士として民事8部の法廷に立っているのだ。

ちなみに民事8部の判事から、大手弁護士事務所へ就職したケースはほかにもある。たとえば大谷禎男弁護士(現桃尾松尾難波法律事務所)

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東京地裁・高裁のビル(上)と正門。民事8部は、隣接する家庭裁判所・簡易裁判所のビルにある。

JALの再生計画策定にかかわった元最高裁判事の才口千晴氏。TIMの顧問弁護士を務める。

裁判員制度のポスター。裁判員制度の導入をめぐって、新聞社と最高裁がタイアップしてタウンミーティングを開くなど、PR活動を展開した。

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o2012/10/17 23:14
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