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10年後に食える仕事-9 10年後の生き残りかた:セールス、バックオフィス編

情報提供
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セールス系職業のポジショニングマップ
 営業とは、そもそもローカル色の強い職種である。あるモノやサービスを顧客に説明し、販売する。そして顧客(=人間)は国境を越えにくい。よって、仕事の場も顧客(日本市場)の近く、すなわち同じ国内にとどまり、IT系職種のように突然グローバル化しないわけだ。そのなかにおいてもなお「重力の世界」に沈んでいくのは、以下の特徴を持った仕事である。
Digest
  • 「重力の世界」に沈みゆく営業とは
  • 日本人メリットを活かせる営業になれ
  • 人材紹介業でのグローカル職
  • 二極化する食品・エレクトロニクスの営業
  • グローカル営業の条件
  • 極端に分離していく経理・財務
  • 人事は土着の仕事

「重力の世界」に沈みゆく営業とは

まず、誰が売っても品質に差が出ない営業。たとえばホテルの部屋、航空チケット、それらをパッケージ化した旅行商品。これらは、誰から買っても同じなので、営業の質にかかわらず、値段が安いところから買う。共同購入サイト「グルーポン」向きの商品が、すべてそうだ。

次に、高付加価値化、差別化が難しい営業。そもそも営業担当者の力量では付加価値を出しにくいモノがある。すぐにマネされ、特許にも守られない。

たとえばJTBの元社員によると「支店時代に、NHK文化センターの会員向けに歌舞伎を見に行く旅行を企画したのですが、すぐに安いコストで中小の旅行会社が同じ旅行プランを出してくるので、価格面で太刀打ちできなかった」。旅行企画に特許はないので、結局、営業マンがいいプランを企画しても、旅行商品は価格以外での差別化が難しい。こうなると頭を使う必要がなくなる。旅行商品は金融商品のようにレバレッジも利かない。

ビール会社の営業マンを国内4社すべて取材したことがあるが、飲み屋街などを回る業務用営業については、新聞の勧誘に近い印象を受けた。日本人は飲み屋で「とりあえずビール」としか注文しない。そしてメニューにも「ビール」としか載らない店も多い。銘柄など二の次で、客が銘柄によって店を選ぶこともない。商品自体での差別化が難しいため、新聞勧誘における拡材(洗剤など)のように、プレゼント合戦になる。専用の冷蔵庫やビールジョッキを一式提供します、といった、マニュアル化できる動作ができればよいのだ。これなら、日本語ができて体力のある外国人なら、できそうだ。

データベース型の人材紹介業も、営業担当者それ自身が付加価値を出しにくい仕事内容である。インテリジェンスという会社が典型で、案件を企業から調達する作業も、案件を転職候補者にマッチングさせる作業も、普通に日本語ができれば特段のスキルはいらない。強みは案件数の豊富さ、つまりデータベースにある。だから給料が安い若手社員をどんどん使い捨てる傾向にある。

サイバーエージェントも似たモデルで、強みは自社でメディアを作り出し、優良な広告枠を多数保有しているというデータベース型だ。営業マンは若くて給料が安いうちに辞めてもらって、回転率が高いほうが低コストになるので、4年目以降の社員がどんどん辞めたくなるような空気が流れているという(現役社員談)。結果、未だに社員の平均年齢20代を保ち、業績は好調だ。

ほかには、商品単価が安く、失敗時のリスクが低く、単発で長期的関係が不要な商品を売る営業。マニュアル化できて、足で稼ぎ数撃って当てるスタイルの営業。これらも「重力の世界」である。ヤフーBBが街頭キャンペーンでやっていたパラソル部隊が日本人である必要は全くない。見込み客リストをもとに電話をかけまくって訪問のアポイントをとるだけのテレアポ営業に至っては、日本国内である必要すらなく、中国・大連で単価の安い中国人がやるほうが費用対効果が高い。

日本人メリットを活かせる営業になれ

こうした「重力の世界」に陥っている営業担当者は、早期に「ジャパンプレミアム」または「グローカル」の世界へと抜け出さない限り、10年後には食えなくなる。実際、

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