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自費出版の日本文学館、コンテスト受賞者の6割超を捏造して発表 会社側も疑惑認める
『公募ガイド』に掲載された、第3回「日本文学館出版大賞」の広告。「賞金総額150万円!」と謳われていたが、実際に払われたのは半額の75万円だけだった。

 


 自費出版最大手・文芸社と一体的関係にある、日本文学館。違法な電話勧誘などで9月に消費者庁から3ヶ月の業務停止命令を受けたばかりだが、新たに、コンテストの受賞者を大量に捏造していたことが発覚した。筆者が入手した同社の賞金支払記録と、同社が賞金を支払ったと発表した入賞者(148人)を照合すると、2010年1月20日~12年8月31日までの約2年半の間に、少なくとも6割にあたる90人(作品)に対し、計450万円以上が支払われていなかった。これら氏名や作品は捏造とみられる。内部告発者も「上司から『あれは全部架空だ』と言われた」と証言。さらに、事実解明を賞罰委員会に申し立てた社員に対し、管理職が「すでに関係者を処分した」と断言する録音も入手した。そして本日、筆者の質問状に対し、会社側もFAXでこれを認めた。年間30回以上も文学賞コンテストを開催し、営業の標的となる作家志望者らの連絡先を大量に集めていたが、受賞者の大半は実在せず――“捏造コンテスト”の実態を報告する。

【Digest】
◇特定商取引法違反で3カ月の業務停止命令
◇消された「受賞者」
◇存在しない支払記録
◇「これは全部架空だ」
◇「責任者を処分した」と社員に断言
◇「真摯に受け止めている」と会社側も疑惑を認める

◇特定商取引法違反で3カ月の業務停止命令
 自費出版業界最大手の文芸社(本社東京都新宿区、瓜谷綱延代表取締役社長)と、同業の日本文学館(本社同じく新宿区、向哲矢代表取締役社長)。登記上は資本・役員関係ともにないことになっており、表向きは全く別の会社とされているこの2社は、事実上は一体の存在である(詳細)。

 日本文学館を設立した2002年11月時点での文芸社は、当時の業界トップ・新風舎(2008年1月民事再生法適用申請)の安売り攻勢に圧されていた。だが瓜谷社長は文芸社本体が価格競争に参加するのを忌避し別会社を設立。文芸社とほぼ同一のビジネスモデルを、より割安で展開し始めたのだ。

 2013年9月19日、その日本文学館が特定商取引法に違反したとして、消費者庁から3ヶ月の業務停止命令が下された

 同庁によると、日本文学館はウェブや月刊誌(筆者注・月刊「公募ガイド」などのこと)に広告を掲載し、小説や詩の公募文学賞(コンテスト)を年間30回程度開催。これらのコンテストに応募してきた人に対して、「入賞しました(「大賞」や「優秀賞」、「佳作」ではない「審査員特別賞」などのこと。詳しくは後述)」「可能性を感じる」「(実際には存在さえしない)選定委員会から推薦があった」などと特別に選ばれたかのような印象を与えては、トータルで63万円から100万円かかる同社の自費出版サービスを利用するよう勧誘していた。

 勧誘を断った人に対しても、「(出版すれば)印税が入ってくるので支払いに充てられる」「他の方もそうしています」などとしつこく再勧誘していたほか、「添削だけなら21万円で済む」などウソの告知までして強引に契約。同社の社員によれば、実際に同社で自費出版しても大半は初版(300部~500部)止まりであり、1千冊以上売れた人でも、印税収入は数万円に過ぎなかったという。

 この手法を用い同社は2011年3月から13年2月の2年間でのべ1161人と契約。全国の消費生活センターには、110件の相談が寄せられていた。

 日本文学館の違法勧誘を支えてきた原動力、それは同社が様々なテーマを冠しつつ、年30回も開催していたコンテスト以外にはない。潜在的な出版願望を持つ人たちの個人情報を、これほど効率よく集める方法もほかにないだろうし、実際に同社の営業マンたちは、コンテストの応募者をメインターゲットにして営業をしていたからだ。

 消費者庁が日本文学館に対して下した処分は、同社が様々な違法な勧誘を行っていたことを認定する一方で、同社のコンテストの違法性までは問題にしていない。だが、以前より一部のブログ(オーナーは日本文学館の親会社・文芸社の元社員)では、日本文学館のコンテストに「架空の受賞者が名を連ねている」との告発がなされていた。

 そして筆者はこのほど、同社主催の文学賞が、少なくとも一時期までは受賞者が存在しない“捏造コンテスト”であったことを示す、複数の物証を入手した。

第3回「日本文学館出版大賞」の募集要項。「優秀賞」に10万、「佳作」にも3万円の賞金が出るとされ、後に受賞者も発表された。だが、筆者が入手した支払記録にはこれらの受賞者の影も形もなかった。
◇消された「受賞者」
 物証のひとつは、かつて日本文学館がコンテストの受賞タイトルとその作者を自社ホームページで発表した際の、ページ保存記録だ。同社は各コンテストの結果発表を、自社ホームページ上での告知と、受賞者本人への連絡以外の手段ではしていない。

 筆者が『公募ガイド』のバックナンバーなどと照らしあわせたところ、これら記録にあるコンテストが、おおよそ2009年から11年までの間に、実際に募集されていたものであることが確認できた。

 同社の様々なコンテストのうち、賞金額、入選対象者ともに最大とされているのは、2009年から毎年1回開催されている「日本文学館出版大賞」だ(第3回の広告には、「賞金総額150万円!」と謳われている)。

 この賞は「ノベル部門」「ポエム部門」「アート部門」の各部門別に作品を募集。各部門の「大賞」入選作は同社からの無料出版と全国書店への配本が約束されるほか、賞金25万円が授与されることになっている。

 2013年10月現在、この「日本文学館出版大賞」の過去の結果報告ページを見ると、第1回から3回までは、3部門それぞれの大賞入選タイトルと、その著者の名前のみが掲載されている逆に第4回に関しては、前述ブログでの告発を意識してか、「佳作」「特別賞」などの受賞作と受賞者も列挙されている

すでにホームページからは削除されている、第3回「日本文学館出版大賞」の結果報告。告発者によれば「大賞」の3人以外は「全部架空だ」という。

 

 

 だが、筆者が入手したサイトの保存記録では、「日本文学館出版大賞」発表直後の同社が、「大賞」以外にも「優秀賞」の受賞タイトルと作者の名前を掲載していたことが確認できる。

 これによれば、第1回、第3回の「日本文学館出版大賞」ではそれぞれ15作品(第2回は10作品)に「優秀賞」が授与され、賞金として3万円ずつ(計120万円)が贈呈。

 さらに「受賞者ご本人へのお届けをもって発表とさせていただきます」と断った上で公表されなかったが、「佳作」入選者(20名)にも1万円(合計20万円)の賞金を贈ったと明記されていたのである。

 さらに他のページの保存記録を見れば、同社は2010年以降、「ワンテーマ文学賞」「超短編小説大賞」「自分史大賞」「みんなで書こうぜ旅行記コンテスト」なども次々と開催。これらについても大賞受賞作と作者名をホームページで発表し、ほとんどのコンテストで賞金として「10万円を授与」と明記していた。

 たとえば2010年8月末に募集を締め切った「ワンテーマ文学賞~応援メッセージ」では、エッセイ部門で「千葉県在住の武石美里」氏が『世界を巡る旅に出るあなたへ』、ポエム部門で「宮城県在住のセミョヴィッチ・イワーノヴナ」氏が『シャドウボクシング ~独白~』という作品で大賞に選ばれ、10万円を授与されたことになっている。だがこれらの結果報告も、現在の日本文学館のホームページからは抹消されているのだ。

 『スキップ・ベイビー・シンドローム』(あいり)、『仏文科にて』(細埜光)、『陽、出ずる国』(一三子)『トロイの夢屋敷』(平清子)『ずっとずっと好きだったのにそれを伝える言葉を知らなかった。』(坂本ゆず季)――。これらの作者からすれば受賞は栄誉のはずだが、彼らの存在は、ことごとくホームページから消されているのである。

実際に払われた賞金の記録(個人情報にかかわる部分は筆者が画像加工処理している)。「日本文学館出版大賞」の「優秀賞」や「佳作」入選者に賞金が払われた記録は皆無であり、毎月1回行なわれている「ワンテーマ文学賞」などその他の受賞者への支払記録もごく少なかった。
◇存在しない支払記録
 コンテストの捏造を裏付ける2つめの物証は、日本文学館が2010年1月20日から12年8月31日までの約2年半の間にコンテストの受賞者に対して払った、賞金の支払い記録である(左記参照).....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



日本文学館の社員が社内の賞罰委員会に申し立てた際の書面。申し立て者への説明で、管理職による「関係者を処分した」との発言があった。
日本文学館に送付した質問状(左)と同社の回答(右)。捏造が事実であると、実質的に認めている。

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自費出版  11:52 04/12 2017
読者プレゼントを水増ししていた秋田書店は消費者庁の処分を受けました。日本文学館も処分されて当然です。
温故知新  22:13 01/07 2015
日本文学館は、2003年7月から2014年3月までは月平均で20~30冊の新刊を発行しています。しかし、2014年8月以降は一桁の発行部数です。相当に経営が苦しくなっているのではないでしょうかね。年末には社屋を移転しています。どういう事情によるのか分かりませんが、HPには何らの告知もありません。