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関東で増え続ける鉄道自殺者の職業は?動機は? 警察庁はデータを不開示、内閣府も追認

情報提供
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JR京浜東北線・神田駅での人身事故処理の様子。発生場所であるが、電光掲示板には「神田駅での人身事故の~」と表示されている。
 英雄的な救出劇や踏切での高齢者の人身事故が大きく報道される裏側で、関東の鉄道自殺は増加傾向で、昨年は376人と、毎日1人が列車に飛び込んでいる計算だ。その自殺者の年齢、性別、職業、動機を分析できるデータは警察庁が持っているが、開示請求すると、個人情報を理由に分析に必要な箇所はすべてスミ塗り。一方で警察庁は、個人特定が可能な自殺者の情報も自ら公表している。この矛盾を指摘して異議を申立てた筆者に対し、内閣府の審査機関は矛盾を一切無視し、警察庁の主張を追認する決定を下した。データが開示されれば対策につながるはずだが、国民は分析用データを見ることすらできず、対策も進んでいない。鉄道自殺の現状と警察庁・政府の対応を報告する。(審査機関の答申、警察庁の主張は記事末尾からダウンロード可)

参考サイト:鉄道人身事故マップ

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鉄道人身事故の発生件数の推移。折れ線グラフは自殺。国交省のデータをもとに2002〜12年度分を集計した。

 国土交通省のデータによれば、国内の鉄道自殺は毎年500〜600件台で推移している。最多だったのはリーマンショック翌年にあたる09年度の677件だが、07年度以降は、11年度を除いて600件台が続いている。傾向としては横ばいだ。

 さらに細かく地域別で見ると、近畿は年間90〜100件で横ばい、関東を除くその他の地域では減少傾向が見られるが、関東だけは増加傾向となっていた。

 その関東の鉄道自殺は、02〜06年度は200件台だったが、リーマンショック前年の07年度に329件になり、以降、345件(08年度)、380件(09年度)、324件(10年度)、364件(11年度)、376件(12年度)と推移した。10年度には一旦減少したものの、昨年度はピークだった09年度に匹敵するところまで戻り、毎日1人が鉄道自殺(未遂含む)している。

 自殺以外の原因も含めた人身事故全体として見ると、関東では、02〜06年度は年間300〜400件台だったが、07年度に499件となり、以後は536件(08年度)、577件(09年度)、546件(10年度)、601件(11年度)、625件(12年度)と伸びている。

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鉄道人身事故の路線別ランキング(関東)。東京から千葉、埼玉、神奈川に向かう主要路線の年度別推移に注目。

◇横須賀線、総武本線、京王線… 短期間に多発する路線も
 自殺かどうかわからないが、最近は同じ路線で人身事故が続き、それが落ち着くと今度は別の場所で続発する状況が起きている。発生件数の最多記録を更新しそうな路線もある。

 直近では11月23日から28日、京王線で4件の人身事故が立て続けに起こり、男性1人と女性3人が死亡した。発生場所は順に、中河原駅(23日朝)、多磨霊園駅〜東府中駅間(23日夜)、柴崎駅(26日)中河原駅〜分倍河原駅間(28日)。柴崎駅を除けば3カ所とも東京都府中市、東京競馬場を中心に半径約2キロの範囲内に集中している。

 鉄道会社の発表や報道などから筆者がまとめたところ、京王線での人身事故は、今年4月から11月29日までの8カ月間で15件起きている。筆者が把握していない軽微な接触事故や、これからの忘新年会シーズンを考慮すれば、2002年度以降で最多だった19件(昨年度)を上回るのは確実だ。

 その前はJR横須賀線だった。同路線の人身事故は4月以降の同じ時期に12件起きていることを筆者は把握しているが、うち4件が11月に集中した。しかも4件中3件が大船駅〜北鎌倉駅〜鎌倉駅間という連続した区間で起き、男性3人が死亡している。1件は西大井駅だ。同路線で02年度以降の最多だった16件(09年度と11年度)より多くなるだろう。神奈川方面ではJR横浜線も、4月下旬から5月末までに5件起きている。

 横須賀線の多発時期の前後に続いたのがJR総武本線だ。11月だけで4件という状況で、うち3件は九十九里浜沿いの日向駅〜成東駅間、横芝駅〜飯倉駅間、旭駅〜飯岡駅間で発生、男性1人と女性2人が死亡した。千葉駅に近い都賀駅〜四街道駅間では男性が成田エクスプレスに跳ねられ死亡している。4月から11月29日までの発生件数は7件で、同路線で最多だった年間10件(03年度)を届く勢いがある。

 もう1つ見ておきたいのは千葉以西のJR総武線だ。上記の路線と異なり集中する時期はないが、今年度は11月29日までに、各駅停車と快速で計21件発生している。新小岩駅で自殺が多発し始めた11年度の計27件に迫るペースだ。

 東京から千葉、埼玉、神奈川方面に向かう路線で、07年度以降、異常事態が続いているようなのだ。

 これに、茨城、栃木、群馬、山梨を加えた関東エリアの人身事故を原因別で集計すると、異常事態の正体が、自殺であることがわかった。

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鉄道人身事故の場所別ランキング。件数は02〜12年度の累計。

◇JR国立駅は人身事故のすべてが自殺だった
 関東で起きる人身事故の6割は自殺だ。昨年度の人身事故625件の内訳は、

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警察庁の「自殺統計原票」の様式。詳細な分類ができるようになっている。場所の分類には駅構内、鉄道線路もある。

該当者1名を自ら公表する警察庁。画像は「平成21年中における自殺の概要資料」。

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kiyo_hiko2013/12/14 20:45

死ぬほどの覚悟があるならなんだってできる。だからまず口座を晒してそれでも入金が皆無だったときに初めて鬱だ氏のうと

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読者コメント

遺族2015/01/12 09:25
まさ2013/11/30 20:52
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