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薬剤師(保険薬局編) 「薬局に行くのは何も考えてない子」の厳しい未来

情報提供
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調剤明細書。薬剤料のほかに調剤技術料がつけられ、この保険点数が利益の源泉。1点=10円。
 2014年4月から、2年に1度の薬価および診療・調剤報酬の改定が実施された。今回は、同じタイミングで消費税が5→8%に上がることで、保険薬局にとっては薬の仕入れ値が上がる。売値のほうはもともと非課税で政府が公定価格を決める仕組みのため、保険薬局にとってこの改定は重要なイベントだ。2013年12月に決まった改定率は、薬価・医療材料が、実質0.63%の引き下げだった(市場実勢価との乖離分として1.36%引き下げ、消費税率引き上げに伴う補てんとして0.73%引き上げ)。これは単純に、売上高が0.63%下がる一方、仕入れ額は増税分3%が上がるということで、薬局の利益が圧迫されることを意味する。
Digest
  • 消費増税で事務員1人分の人件費が飛ぶ
  • 美容院と似ている薬局経営
  • 毎晩「祇園」で豪遊していた時代も
  • 薬局薬剤師の報酬水準「タクシー運転手より低い」
  • 薬剤師は飽和するのか?
  • 「薬局に行くのは何も考えてない子」
  • 自販機化する保険薬局
  • 町の相談係、チェック役として
  • “生活保護ビジネス”に疑問感じる訪問医療の1日
  • 薬剤師はオーナー経営者と合うかどうか、が全て
  • オーナー経営者はドクターと合うか、が全て

消費増税で事務員1人分の人件費が飛ぶ

保険薬局に17年前から勤務し、5年前から自身で薬局を経営している40代保険薬局経営者によれば、それなりのインパクトはあるようだ。

「現在、薬価と仕入れ値のいわゆる『薬価差益』は7~8%で、ここから人件費や賃料を引いたものが会社の収益となります。4月の消費税率3%アップで仕入れコストが上がるため、事務員の給料1人分くらいはとられます。粗利は数%で、もはや薬価差益ではほとんど利益は出なくなっていて、薬局経営は『調剤技術料』で持ってるようなもの。しかも、全体的に保険点数は下げられる流れです」

より具体的に、東北地方で現在経営している薬局の収益は、概算で以下のとおりだという。その薬局は、ある整形外科からの処方せんが全体の9割を占め、開局1年目からずっと黒字。1日約50枚を処方し、薬剤師は経営者含め2人体制だ。

月次では約1100枚の処方せんをこなし、1000万円弱の売上。整形外科は単価が低いほうだという(※1割負担の高齢者と3割負担の若年者で患者側の負担額は異なるが、保険点数なので売上額はどちらも同じになる)。

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薬剤師の源泉徴収票。この薬局では、経営者も雇われ薬剤師も同じ金額に設定している

最大のコストは薬の仕入れ代で、月700~800万円(これが2014年4月から3%値上がりする)。差し引き200~300万円ほどが薬価差益となる。

次に大きいのが人件費で、薬剤師2(自分含め)、事務1、パート0.5の、計3.5人で月に計百数十万円ほど。薬局のテナント料が

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メディカルモール募集中。薬剤師が仕掛けているケースが多い

処方せん。これをいかに集めるかは「立地」と「ドクターとの関係」が重要になる。

処方せんも扱うスギ薬局は学生の就職先としても人気が高い

スギ薬局内の処方せん薬コーナー。このスペース内に1500品目をそろえる

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  2016/05/09 00:42
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