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ペット禁止マンションで隣人が公然と子犬飼育 一審は全面敗訴も、2審で逆転勝訴

情報提供
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原告の五箇(ごか)秀樹氏(実名、62歳、埼玉県内の建設業会社員)。入居したマンションの規則ではペット飼育禁止となっていたので、断腸の思いで飼っていた犬を置いてきた。それなのに隣人は子犬を公然と飼い、ペット同好会まで組織し、管理組合も漫然と放置していたので、ついに提訴に踏み切り、勝訴した
 ペットを家族の一員として扱う人が増える中、トラブルも多発している。その一つの現場が、マンションだ。原告の五箇(ごか)秀樹氏(実名、62歳)は、もともと動物好きで犬を飼っていたが、05年に引っ越した先のマンションがペット飼育禁止だったため、泣く泣く、ペットを置いてきた。すると、なんと隣人の星野氏(仮名)の部屋から犬の鳴き声が聞こえた。さらにその星野氏は、住民によるペット同好会のトップも務めていた。住民のなかには、ペット禁止だからこそ引っ越してきたのだ、と訴える人もいた。だが管理組合は、星野氏らを漫然と放置。そこで五箇氏は13年3月、星野氏を相手取り、動物飼育禁止と慰謝料40万円を求め、埼玉地裁に提訴した。だが一審では敗訴。そして14年1月の東京高裁の判決で、逆転勝訴した。なぜペット禁止のマンションなのに一審では勝てなかったのか?どうやって逆転勝訴したのか?五箇氏に話を聞いた。(訴状、一審、二審判決文は記事末尾からPDFダウンロード可)
Digest
  • EV内に我慢できないほどの動物臭、親指大の糞、通路で鳴き声
  • ペットアレルギーで引っ越してきた住民も切実な苦情
  • 提訴→さいたま地裁判決で全面敗訴
  • 二審で逆転、「同じ苦労をしている人々にとって一筋に光になれば」

EV内に我慢できないほどの動物臭、親指大の糞、通路で鳴き声

原告への取材や判決文、訴状、答弁書などの裁判資料によると、原告の五箇(ごか)秀樹氏(実名、現62歳、埼玉県内の建設業会社員)は、05年5月、埼玉県内のマンション「グランドシティ大宮」(以下「グランドシティ」)WEST TOWER(W棟)の一室に家族で入居した。

この引っ越しにあたり、五箇氏は長年飼っていたペットの子犬を断腸の思いで手放した。グランドシティの「禁止事項」の一つに「動物を飼育すること」とあったためだ。実際、グランドシティには至るところに、「当マンションは、ペット(動物)の飼育が禁止されています。グランドシティ大宮管理組合法人」という貼り紙がされていた。

こうしてペットと別れた矢先、驚くべきことが発覚した。

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部屋からエレベーターまでの見取り図

画像のように、五箇氏の部屋の玄関ドアは、エレベーターから約16メートル先に位置する。その共用廊下横の壁側の部屋から、なんと犬の鳴き声が聞こえてきたのである。

ペットを飼っているのは星野玲夫氏(仮名、50代)とその妻・真理氏だった。

「なぜ、規則を破ってまで動物を飼育するのか」という思いに五箇氏は駆られた。

また、五箇氏の妻がエレベーターに乗ろうと待っていると、エレベーターから子犬を抱いた星野真理氏が降りてくるのも何度か出くわしたという。それを見た五箇氏の妻は、「長年飼っていたペットを置いてきたことを後悔し、ペット禁止のマンションなのになぜなのか」と疑問を持った。

さらに、五箇家と親交のあるグランドシティの住民・伊佐坂礼子氏(仮名)も、五箇氏の家に行くときに度々犬の鳴き声を聞いたり、W棟1階エントランスホールで星野真理氏が犬を抱いているのを見かけたこともあった。伊佐坂氏も、マンションに引っ越してくる際に、泣く泣く犬を実家に置いて悲しい思いをしたので、平気でルールを破って飼っている星野氏の姿をみて、我慢ならなかったという。

こんなこともあった。12年4月中旬頃、五箇氏が夕方帰宅した時、エレベター前に、親指大の糞が二つ落ちいた。五箇氏はすぐに処理し、管理センターにその事を伝えた。しかし、何の音沙汰もなかった。

さらに同年10月下旬には、五箇氏は朝8時頃散歩から帰り、1階でエレベーターに乗った。すると、我慢できないほどの動物臭がエレベーター内に充満していた。このときも直ぐに管理人に届け出て、消毒、消臭をするよう願い出た。

ペットアレルギーで引っ越してきた住民も切実な苦情

グランドシティの住人の中には、ルールにのっとりペットを飼うのを止めるよう求める声が、常にあった。そのためマンション管理組合には「ペット対策委員会」なるものもある。同委員会が公表した「11年4月14日現在ペット飼育実態対調査結果」によると、以下の数字が明らかになっている。(住民の有効回答率89%)

     
棟名 世帯数 ペット計
W棟 239 18
E棟 219 10 19
S棟 124
合計 582 21 21 42

表の通り、犬猫の数は42匹で、一世帯につき一匹と換算すると、少なくとも全世帯のうち7.2%が飼っていることになる。

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上は、マンション内のペット飼育禁止の貼り紙。下はグランドシティ大宮WEST TOWER(竣工1983年、10階建て、東京建物リサーチ・センターHPより)

このように五箇氏の隣人・星野氏以外にもルール違反をしている者が多々いるわけだが、なかでも星野氏は特異な存在だった。五箇氏によれば、星野氏は、ペットを飼う住民たちを集めて「ペット同好会」をつくり、そこの代表におさまっているという。つまり、主(ぬし)ということになる。そして、管理組合の理事の中枢には、仲良しグループの派閥の面々が長年占め

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マンション管理組合の通常総会の議題と、議事録抜粋。星野氏は赤い箇所。(※星野氏の発言のうち、N棟では規約が変わりペット可になった、とあるが、N棟は別の管理組合が運営している。つまり、N棟はまったく別のルールに基づくマンション。五箇氏や星野氏の住むマンションでは、画像上部の議題の通り、ペット飼育禁止の規約の遵守を徹底することが総会で確認されている)

一審判決文1ページ目(全文はPDFダウンロード可)

二審判決文1ページ目(全文はPDFダウンロード可)

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