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顔面殴打、襟首つかみシャツ破る、30キロ超を徒歩で帰社命令――大東建託「猛烈パワハラ支店長」の甘すぎる処分に部下ら憤慨 

情報提供
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高松支店長のO氏に暴行を受け、シャツを大きく引き裂かれたK建築営業課長。のどの傷(左下写真中央の変色部分)はO氏の手の爪が食い込んでできたものとみられる。(社員有志提供)
 大東建託株式会社(東証一部上場、本社東京都港区・熊切直美社長)の徳島支店と高松支店に在籍していた男性支店長(現在は岡山東支店課長)が、部下の顔面を殴打する、襟首をつかんで突き飛ばしてシャツを破る、30キロ以上ある道のりを徒歩で帰社させる――など、犯罪に問われてもおかしくないパワーハラスメント(パワハラ=地位を利用した部下に対する権利侵害)を繰り返していたことが、複数の部下らの証言で明らかになった。部下数十人の連名で、調査と厳正な処分を求める嘆願書を社長宛に出したが、近隣支店の課長へと「降格」しただけの大甘処分で終わった。高松支店長時代には、中国銀行への融資申し込みをめぐる不正で部下2人が解雇される事件も発生。監督責任は重大だが、この不正についての責任は問われていない模様だ。「とんでもない支店長で、解雇されて当然。会社はなぜこんな人物を擁護するのか」との不満が社員の間で広がっている。
Digest
  • 「国道30キロ超を徒歩で帰社しろ」事件
  • バス乗車地点まで連れ戻して再度走らせた
  • Yシャツ引き裂き事件
  • 「顔に拳型の青アザができていた」
  • 「あんなボンクラ殺したらええやん」
  • 中国銀行の融資申し込みめぐる不正 

「国道30キロ超を徒歩で帰社しろ」事件

暴言、殴る、蹴る、土下座の強要――乱暴狼藉の数々が問題視されているのは、2018年夏まで高松支店長の座に就いていた男性、O氏だ。会社からパワハラ行為をとがめられて岡山東支店の建築営業課長へと一段階降格になったものの、被害に遭ったり、被害をまじかにみてきた部下社員らは、「甘すぎる。解雇すべきだ」と納得できない様子だ。

O氏はもともと徳島支店長で、昨年4月に高松支店長に異動した。この異動をはさんだ昨年3月~7月の3ヶ月間だけでも、80件ちかい「パワハラ」のクレームが、両支店の部下から上がっている。目を引くのは異動直前、3月24日(土曜日)に徳島支店で起きた事件だ。

複数の社員の証言によれば、事件はこの日の昼から起きた。同支店の建築営業課長Y氏と「担当」と呼ばれる部下ら数人が、車に乗って徳島県西部の顧客方に向かっていた。顧客が会社を設立し、その祝賀会に招かれたのだ。吉野川沿いに数十キロほどさかのぼったあたりで、支店にいたO支店長からY課長の電話に連絡が入った。

電話口のO支店長は憤然とした様子で、「何をしているのか」とただした。Y課長は「顧客のところに向かっている」とありのままを説明した。これに対してO支店長は「そんな話は聞いていない」と言って気分を害し、こう命令したという。

――Y課長はすぐに車を降りて、徳島支店(徳島市東大工町3丁目)まで走って帰ってこい。

用意周到なことには、O支店長は別の部下に対して、携帯電話のGPS機能を使って20分おきにY課長の移動状況を見張るよう命令した。乗り物を使わせないためである。

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徳島支店のY建築営業課長がO支店長の命令により、徒歩で帰社をはじめた付近。乗り物を使っていないか20分おきにGPSで監視されたという。徳島県山川町の国道192号線。

バス乗車地点まで連れ戻して再度走らせた

Y課長はO支店長の言いなりに車を降り、国道192号線を、とぼとぼと走りはじめた。降りた場所は徳島県山川町付近。時刻は午後1時半ごろだった。

徳島支店までの距離は、地図上で30キロ以上ある。はかりかたでは40キロ近くになる。1時間に4キロのペースとしてざっと8~10時間だ。スーツに革靴。加えてY課長は太った体型で、走るのは得意ではない。

理不尽で非常識、違法な命令だ。にもかかわらずY課長が従ったのは、日常的にO支店長から暴力や恫喝を受けており、おびえていたからだ、と部下たちはみている。

日が暮れて、どうにかY課長は支店にたどり着いた。待っていたのはO支店長の尋問だった。徒歩で帰ったにしては早すぎる、と不信の念を抱き、乗り物を使ったのではないかと追及したのだ。厳しい追及にY課長はたまらず「バスに乗りました」と「自白」した。こうしてさらに仕置きが続く。

O支店長は部下に命じて、バスに乗った吉野川町鴨島という場所まで車でY課長を連れて行き、あらためて20キロ以上の行程を歩かせた。ほうほうの体でY課長が支店にたどり着いたは、午後11時。当時支店にいた目撃者によれば、スーツはぼろぼろ、靴もぼろぼろで、疲労困憊していたという。

つかれきった部下を前にして、なおも仕置きは終わらない。O支店長はY課長にあらたな課題を命じた。

「支店に残って、翌日までに顛末書100枚書け」

それも、近所に住む支店員に監視を命じる念の入れようだった。虐待をよろこぶかのような病的なものを感じる。

Y課長は徹夜で朝7時までかかって50枚を書き、翌日曜日も引き続き支店で書き続けて100枚を仕上げた。それを手にしたO支店長は、こんどはY課長に対して「シュレッダーにかけろ」と命じた。

 「パワーハラスメントの証拠隠滅をはかったのだろう。O支店長はずる賢い」

当時の状況を知る社員が言う。

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大東建託徳島支店。30キロ以上の道のりを歩いて帰るよう命じられたY課長は、10キロあまり歩いた後にバスで帰社した。それをO支店長はとがめ、バスに乗車した付近まで送らせて、あらためて歩かせた。帰社したのは夜11時。さらにそこから反省文100枚を徹夜で書かされたという。

Yシャツ引き裂き事件

この事件だけでも十分、懲戒解雇に値するだろう。しかしO氏の支店長としての地位は揺るがない。そして、1週間後に高松支店に異動し、あらたな事件を起こす。被害者は、Kという建築営業課長だった。

最初の事件発生は、4月13日午前8時50分。高松支店で、朝礼がはじまる直前だった。現場にいた建築営業社員が証言する。

「O支店長は、K課長を連れて会議室に入り、戸をしめました。とたんに怒鳴り声がしました。そして、ダダダダとものすごい物音がした」

当時支店内にはほぼ全員の40~50人がおり、みな、この状況を目撃したという。K課長がなぜ叱責されているかは、直前のやり取りから推察できた。近く契約を予定していた顧客の「進捗状況」(計画見通し)について、K課長は必要があったために変更した。そのことをO支店長は激しくとがめていたという。会議室に連れ込んだのは、このやり取りの直後だった。

朝礼がはじまったが、会議室から2人が出てくる様子はなかった。支店長に用事があった社員のひとりが戸を開けると、「空気を読め」とO支店長が怒鳴った。朝礼は支店長とK課長抜きで終わり、建築営業社員らは外回りの仕事に出て行った。それでも会議室の戸はあかない。昼食時間がすぎて1時間、午後1時になってようやく戸は開いた。詰問は4時間に及んだ。

会議室から出てきたK課長の姿を見て、支店にいた社員らは驚いた。ワイシャツの襟元が10センチほど裂けていたからだ。のど元をよくみると、爪でできたらしい傷もあった。

O支店長に発覚しないようひそかに証拠集めと事情聴取を行った支店員のひとりが言う。

「会議室に入ったとたん、O支店長はK課長のYシャツののど元を片手でつかみ、突き飛ばした

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目にあまる暴力と暴言、理不尽な振る舞いで、「解雇すべきだ」と数十人の部下らが口をそろえる元徳島支店長、高松支店長のO氏。(社員有志提供)

O氏が別人を代表者にして設立した会社法人。社内規則に反して、事実上自分の会社をつかって大東建託とアパート建築・一括借り上げの契約を交わし、副収入を得ていると噂されている。契約内容も一般の顧客と比べて有利にしているともいわれる。(株式会社EIGHTの定款。モザイク部分にはO氏の氏名が記載されている)

高松支店の入居するマンション。Y課長はO支店長の命令で一晩中アパート建設用の土地探しをさせられ、その様子を一時間おきに監視するようマンションに住む別の課長に命じたという。

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書籍読者2019/02/24 15:30会員
コメ2019/02/09 11:02
2019/01/27 00:09
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記者からの追加情報

【追記アリ】(2019年1月26日)
※解雇処分になったのは1人、という情報もある。全国規模の内部調査が行われ、同様の不正が多数発覚している模様だ。(三宅勝久)
本文:全約6500字のうち約4100字が
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