My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

オープンハウス大卒新入社員が3年目に急死、元同僚らが証言 死因は「過労」「罵声と長時間労働、私も自殺を考えた」

情報提供
ReportsIMG_J20210916223123.JPG
東京駅前「丸ビル」12,13階に入居するオープンハウス(OH)とオープンハウスデベロップメント(OHD)。両者は一体的に人事運用され、初任給なども同じ。OHの新入社員がOHDに出向となることもある。
 東証一部上場の不動産大手「株式会社オープンハウス」(東京都千代田区、荒井正昭社長)は、その主要子会社である「株式会社オープンハウス・ディベロップメント」(福岡良介社長、OHD)と、一体的に同じ人事処遇体系で運営しており、この中核2社には2021年4月時点で1100人強ずつが所属する。2019年6月、OHDに所属する入社2年あまりの大学新卒入社社員(男性、享年24)が突然、病死する事件が起きた。遺族の話によれば、男性はマンション販売の営業を担当しており、連日、長時間勤務をしていた。亡くなった男性と同じ職場で働いていた元社員は、社員を人間扱いしない過酷な労働環境だったとして、過労死の可能性を指摘する。「契約が取れないと上司から罵声を浴び、延々とサービス残業をさせられる。労働時間は毎日13~14時間。しばしば休日も返上して働く。私自身、自殺を考えるまで追い詰められました。亡くなったのは過労が原因だと思う」――。業績急上昇中の有名大企業で何が起きているのか。
Digest
  • 「気づいてやれなかった」と悔む遺族
  • 「過労死してもおかしくない」元社員
  • 笑顔のない職場
  • 軽く月100時間超の残業「達成するまで帰ってくるな」
  • 人格否定で精神的ダメージ 
  • 「自爆営業」で自縄自縛か

匿名の取材協力者を募集中です。現役社員、元社員のかた、ご協力お願いいたします。取材源秘匿。→情報提供コーナーはこちら

「気づいてやれなかった」と悔む遺族

「毎日帰宅は深夜12時。過労で疲れていたのでしょうが、本人はそんなそぶりは見せなかった。気づいてやれなかったのが悔しい…」

24歳で急逝した株式会社オープンハウス・ディベロップメント(OHD)社員Aさんの父親は、息子を失った無念の胸中について、電話口でそう語った。Aさんが大学を卒業し、OHD社に入社したのは2017年4月。それからわずか2年あまり後の19年6月、Aさんは病気で急死した。

健康だった若者がなぜ――遺族の頭に浮かんだのは、ただひとつ。「過労死」だ。早朝から深夜まで、ときに休日返上で長時間労働をしてきたのを見てきたからだ。

遺族は、弁護士に委任してOHD社に対して情報開示を求めるなど、真相解明のための作業に取り掛かった。いまのところ、同社が「過労死」を認めるには至っておらず、究明作業は遅々として進んでいない模様だ。

オープンハウスの劣悪な労働実態について取材を進めるなか、元同僚を含む複数のOHD元社員らから、続々と貴重な情報が寄せられた。

「人格を否定する激しい罵声を浴びせられる」

「月100時間を越す残業が常態化している」

「過労死してもおかしくない」

「睡眠時間は4時間半」

――彼らが異口同音に言うのは、同社(オープンハウス=OH社とオープンハウスディベロップメント=OHD社)の劣悪な労働環境だ。本稿では、それらのなかから、Aさんを直接知る元社員Bさんの証言を中心に紹介する。

ReportsIMG_I20210917013414.jpg
新卒入社後、3年めで突然死した社員と同じ職場にいたことがある元社員Bさんと、当時の名刺。月間軽く100時間を超す長時間労働と人格否定の暴言を浴びせられるといった精神的な重圧で、入社数カ月で体調を崩し、一時は自殺が頭をよぎるほど精神が衰弱したという。

「過労死してもおかしくない」元社員

「(死因は)過労じゃないでしょうか」

OHD元社員の女性Bさん(30歳代)は開口一番、そう漏らした。「マンション開発営業部」というマンション販売営業の担当部署で、Aさんと数カ月間、いっしょだったという。

会社の関係者からAさんの訃報を聞いたのは、Bさんが退職した後のことだ。元気な若者だったので、まさかと驚いた。亡くなった原因は、その連絡をくれた社員もよく知らない様子だった。箝口令が敷かれているのではと感じたが、Bさんの頭にはある言葉が浮かんだ。

「過労死」である。

職場環境があまりに劣悪で、Bさん自身、過労死や過労自殺といった命の危険を感じていたからだ。そのBさんよりも、Aさんはさらに無理して働いていたように見えたという。

「がんばる人でした。入社して3~4ヶ月間ほど契約が取れなくて、上司にすごい(きつく)言われていました。朝7時半に出社して、夜は9時10時までやっていた。週1回の休みを返上してやっていた。だいじょうぶ?と尋ねたら、だいじょうぶだ

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り4,640字/全文5,972字

オープンハウス・ディベロップメントが販売するマンションの、現在の建築現場(東京都武蔵野市)。

オープンハウス社(上)とオープンハウス・ディベロップメント社(下)の事業所一覧別人員配置表。人数比は、ほぼ1:1。ざっと3分の1が管理職扱いになっており、「残業代を払わないための名ばかり管理職だ」との声がある。

公式サイトで「オープンハウスに入社した新卒社員が驚くことの一つが、入社2、3年目という若手社員の多くが結婚し、既にマイホームを取得していることである。」と、なぜか入社2~3年めで数千万円のローンを背負って自社物件を買うことが成功の証であるかのように語られている。亡くなったAさんも自社物件を買っていた。

オープンハウス・ディベロップメントの新築マンション販売用の事務所。契約がとれないと容赦なく罵声を浴びせられ長時間労働を余儀なくされる社風だと元社員は証言する。(写真は武蔵野市吉祥寺、本文とは直接関係ありません)

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

文中「ティッシュ」は「チラシ」の誤りでした。お詫びして訂正いたします(2021年9月20日本文訂正済み)。
取材協力者を募集中→オープンハウス。取材源秘匿厳守します。
本文:全約5900字のうち約4700字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)