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「敷地内禁煙」なのに喫煙所を設置するスモーカー校長 教育委・文科省も黙認

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福岡の梅林中学校の校門前。福岡市では公立学校は敷地内禁煙となっているが、その表示はなく、「校舎内禁煙」、としか表示していない。
 2002年の健康増進法の制定以来、学校の敷地内禁煙への取り組みは全国に広まり、2005年に実施された文部科学省の調査では約45%にまで達しているが、喫煙者からの要望を受け特例措置ができるなど、揺り戻しの動きもあるという。間接喫煙の害に加え、学校内での教師の喫煙は教育上、好ましくない。2年前から敷地内禁煙が実施されている福岡市の公立中学で、運動会の際に敷地内に喫煙所を設けられた、という保護者から、実状を聞いた。
Digest
  • 敷地内禁煙のはずが2箇所に喫煙所
  • 敷地内禁煙に逆行した特例措置とは
  • 今後も喫煙所を設けると断言した校長
  • 原則論を唱えるばかりの文部科学省
 応武二郎さん(仮名・43歳)は、福岡市立梅林中学校に在学する子どもを持つ会社員だが、6月3日(日)に行われた運動会に参加した際、学校側が敷地内に喫煙所を設けていたことに驚いたという。福岡市では2005年度から公立学校の敷地内が全面禁煙になっているはずだからだ。

敷地内禁煙のはずが2箇所に喫煙所

応武「喫煙所は、1つは正面入り口で校門からグラウンドに通じる途中、もう1つは校舎に沿って反対側の体育館側で、子どもが使うように指導されたトイレがある方にありました。トイレに行くためには必ず喫煙所の前を通らなければなりません。喫煙所では常に、男女を問わず10人くらいがタバコを吸っていました。運動会の時の服装なので、保護者か先生かはわかりませんが。

 百歩譲って喫煙所を設ける必要があったとしても、子どもたちが受動喫煙を受けるようなところに作るのは許せないと思いました」
 その件の説明を求めるために、応武さんは6月下旬に梅林中学校に電話をかけ、田村茂校長(59歳)と約10分間話をした。
応武「在学中の子どもへの影響を考えて、梅林中学の保護者とだけ名乗りました。校長には、福岡市内の学校ではすでに敷地内禁煙になっているのに、なぜ喫煙所を設けたのかを尋ねました。

 田村校長は、学校の催しの際に敷地の外に出て喫煙する姿がみっともないというのと、近隣の家屋に迷惑がかかるからということを理由にあげていました。ところが、梅林中学というのは校門を出たところは大きなオープンスペースで、民家はありません。誰かの迷惑になる、というのはひじょうにおかしな理由です。

 また、校長が言うには、喫煙所は地域住民との話し合いのもとで作った、とのことだったので、地域住民とはどういう住民なんですか?と聞いたところ、『いやあ、近所の人です』と答えた。結局、一部の人との話し合いの中で、校長がそう言うのならそうしましょうか、となったのではないか。

 自らもヘビースモーカーを自認する校長が、自分に都合が良いように話し合いを持っていったとしか思えません。要するに、校長がはっきりと、敷地内は禁煙です、これは市からも教育委員会からも言われていることなんです、と言えばすむわけなんですよ。

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(上)梅林中学の校門前には民家もなく、校長に言うような近隣住民に迷惑がかかるとは思えない。
(下)福岡市HPの教育委員会の答弁
 そのことを校長に話しても、『受動喫煙なんて、そんなことはありえない』とつっぱねられました。『喫煙者にとっては喫煙するのは権利であり、学校としては、来賓が喫煙する場所を提供しなければいけない』と言っていました」

 納得できる答えが得られなかった応武さんは、福岡市の教育委員会に電話をかけ、校長への指導を訴えたが、担当者は「直接指導します」と答えたものの、その後の経過についての連絡はないままだという。
応武「中学生というのは一番タバコに対して興味を持ち、吸い始めるのが多い年齢だと思います。その時期に一番目につくところでタバコを吸う姿を見せる、まして、敷地内禁煙だという規則を曲げて吸っている姿を見せるというのは、教育上よろしくない。じゃあ、校則だって守らなくていい、と生徒は思ってしまう。そういう教育的配慮にも欠けています」
 一方で、筆者が福岡市内にある別の中学校の職員から聞いた話では、校長(非喫煙者)が敷地内での禁煙を徹底して通知しているために、運動会などでも保護者も含めて敷地内禁煙が守られているという。

 学校の敷地内禁煙を通達しているはずの福岡市だが、その取り組みに逆行した動きがなぜ出てきたのか。市の教育委員会が、喫煙所を設けることができる裁量権を本当に校長に与えているのか。与えたとすればいつからなのか。

敷地内禁煙に逆行した特例措置とは

 福岡市教育委員会学務部健康教育課(092-711-4642)に電話して、担当のハラダさん(女性)に話を聞いた。ハラダさんは6月下旬に梅林中学の件で保護者からの電話を受けたことを認め、敷地内全面禁煙の方針が変わった経緯を以下のように説明した。

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福岡市内の小学校の校門には、敷地内禁煙の表示がされている。
 福岡市では2005年度から公立学校の敷地内禁煙を実施したが、2006年度に地域と学校にアンケートをとり、意見を聞いた結果、学校行事と地域行事に関しては、地域住民と話し合いをした上で、学校の敷地内で喫煙させてほしいなどの苦情が多い場合には、特例として、迷惑にならない場所に喫煙所を設置するなどの特例措置を設けることになり、2007年4月1日より実施したという。
--保護者の方によれば、田村校長は「校長権限でやったことだ」と答えたそうですが?

ハラダ「これは福岡市全体のルールで、校長の裁量というよりも、地域の方やPTAとの協議の上で、みんなが納得した場合ということです。電話をいただいた保護者の方にもそのような説明をして、その話は終わっています」

--福岡市立の他の中学校職員の方からも聞いたのですが、その中学では、運動会などでも敷地内禁煙を徹底しているとのことです。この違いをどう考えますか?

ハラダ「それはそれでよろしいと思います

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文部科学省が2003年4月30日付で各都道府県の教育委員会に送った通知「受動喫煙防止対策及び喫煙防止教育の推進について」

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