東京ミッドタウンの向かいにあるドトール六本木7丁目店にて。3階の喫煙席からは最新のプレイスポットが望めるが、店内には今回の測定で最高値1855(喫煙室内の評価基準の約10倍)を記録したタバコ煙が充満している。(写真撮影:山中登志子)
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2003年5月に健康増進法が施行され、カフェには禁煙席の表示が確かに増えた。しかし、同じフロアで喫煙席がつながっているなど分煙が不完全な店も多い。タバコ煙を避け、安心して過ごせる店はどこなのか。デジタル粉じん計を抱え、六本木にあるカフェ、ファストフード店で計測した。吸わない客にとっての危険度No.1はプロント、働く場として危険なのはドトール、逆に安全度No.1はスターバックスとなった。
【Digest】
◇目が痛むほど高濃度の受動喫煙を体感
◇虚偽表示と言える不完全な禁煙フロア
◇受動喫煙の害に対する危機感のなさ
◇規制値を答えられた会社はゼロ
◇受動喫煙ワーストランキング1位プロント
今回の対象店は、エクセルシオール、スターバックス、ドトール、ファーストキッチン、プロント、マクドナルド、モスバーガー。
五月晴れとなった休日の昼過ぎ、六本木駅を出て東京ミッドタウン方面へ。外苑東通りをはさんで向かいにある「ドトール六本木7丁目店」から、カフェ巡りを開始した。同行者はMyNewsJapan編集者の山中登志子さんで、彼女も私も非喫煙者だ。
各店舗では、まず禁煙席で10分間、続いて喫煙席で30分間、タバコ煙の濃度を測定した。測定に使用したデジタル粉じん計は空気中に浮遊する粉じんの濃度を測定してリアルタイムにデジタル表示できる機器で、法律上もタバコ煙を含む粉じんの測定機器として認められている。
目安として、デジタル表示の数値(cpm)が188を超えれば、健康増進法(努力義務のみで罰則なしの無意味な法律)や労働安全衛生法(職場の浮遊粉じんについて規制しているがタバコは適用事例なし)で規定されている0.15mg/立法メートルの濃度を上回ることになる。
◇目が痛むほど高濃度の受動喫煙を体感
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■六本木カフェ&ファストフード「受動喫煙ランキング」
1位:プロント六本木店
喫煙席から奥の部屋につながる通路には、「こちらより奥、17時まで禁煙席となります」とあるが、通路には何の仕切りもなく、受動喫煙の危険性は喫煙席と全く変わりはない。粉じん濃度のグラフを見ても、禁煙席にいた最初の10分とその後の喫煙席での濃度にほとんど変わりはなく、喫煙室内の評価基準値を超えた状態が続いている。まやかしの禁煙席に誘い込まれた非喫煙者にとっては、最悪の環境だ。
2位:ドトール六本木店
「1Fは全席禁煙」とはいえ、たったの11席。一方で喫煙席は43席と優遇されている。粉じん濃度のグラフからは、3F喫煙席に移ったとたんにすさまじい受動喫煙の被害を受けることがよくわかる。従業員の危険性から見れば、ドトールをワースト1にすべきかもしれない。
3位:ファーストキッチン六本木店
「ご来店の皆さまへ」というお知らせによれば最近になって禁煙席と喫煙席を入れ替えたらしいが、膨大な量のタバコの吸殻を放置している喫煙席はドトールにひけをとらない粉じん濃度で、焼け石に水だ。逆にトイレのあるフロアが喫煙席になったため、非喫煙者も受動喫煙を免れなくなった。

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■ドトール六本木7丁目店 13:40~ 1階の禁煙席はカウンター席のみで11席しかなく、休日の昼時でもあり、ほぼ満員が続いた。デジタル粉じん計のスイッチを入れると、33(cpm)前後の数値で推移する。タバコ煙に影響されていない清浄な空気なら10~30程度の数値なので、禁煙席に関してはタバコ煙の心配はなさそうだ。
10分経ったのでデジタル粉じん計のスイッチを入れたまま喫煙席に移り、測定を続けた。喫煙席は2階と3階にあり、合計43席。禁煙席の約4倍も多い。3階の喫煙席に移るために階段を上ると、2階に上がった時点ですでに異変を感じた。
喉が異様にいがらっぽくなり、咳き込む寸前の感じになる。同行した山中さんも「くらくらする」という。
デジタル粉じん計を見ると、30台だった数値は100前後に上がっていたが、体感濃度はそれ以上だった。
3階の真ん中にあるテーブル席に着くと、目盛は一気に1200台に突入した。回りの客を見回すと、年齢層は高めで、女性のスモーカーが多い。数分で続けて2本吸うようなヘビースモーカーの比率が高い。時刻は午後2時近くになり、食事を終えてタバコを吸うために来店している客が多いのでは、と推測した。
目盛は1400前後まで上がり、喫煙席に座ってから10分後にはタバコ煙が目に沁みてきた。15分後には最大値となる1855を記録。これは健康増進法や労働安全衛生法の規制値0.15mg/立法メートルのほぼ10倍の濃度になる。
労働安全衛生法は、文字通り安全な職場環境を定めたものであるが、この階でテーブルを拭いたりカップやグラスを片付けるアルバイトたちは、明らかに規定以上の浮遊粉じんを吸わされ、間違いなく健康を害している。
フランスは2007年2月からカフェを含む公共の場が全面禁煙となり、従業員が有無を言わさず喫煙者によって殺されることはなくなった。このように、有害物規制では、日本は常にヨーロッパに遅れをとっている。タール色素など発ガン性のある食品添加物しかり、アスベストしかり。
残念ながら、国民の命よりも企業利益や税収を重視するのが日本だ。
20分後には煙のせいで目が痛くなってきた。
また、トイレは3階にしかないため、1階の禁煙席にいたとしても、トイレを利用する場合には3階まで上り、規制値を遥かに超える濃度のタバコ煙を浴びることになる。
30分経ったので測定を終え、1階に降りて店員に換気の状況を聞いたところ、「空気清浄機はなく、空調のためには天窓が開けられるが、今日は外が暑いので開けないようにしている」とのことだった。
■モスバーガー六本木店 14:33~ ドトールでの受動喫煙のダメージが残り、まだ目が痛い状態の中、2階の禁煙席で測定を開始した。席数は33だが、喫煙席(3階35席、4階22席)の6割に満たない。デジタル粉じん計の数値は20台後半で、ドトールの禁煙席より低かった。
10分後に3階の喫煙席に移ったが、両隣の席には客がいなかったこともあり、ドトールよりもタバコ煙の濃度は遥かに低く、徐々に体調も回復してきた。ドトールと比べてテーブルの間隔も広く、観葉植物も置かれている。客の年齢層が高めな点はドトールと同じだが、食事をしている客が多く、タバコも食後の一服程度にとどめている人が多かった。
それでも最大値は603と喫煙室内の評価基準値の3倍以上を記録した。
測定を終えて1階に下り、カウンターの店員に換気について尋ねると、「換気扇は回っているが、空気清浄機はついていない」とのことだった。
■ファーストキッチン六本木店 15:25~ 年齢層は前の2店よりも低めで、2階の禁煙席(50席)は食事をしている客が多く、数値も40台半ばで推移した。
10分後に3階の喫煙席(40席)に移り、窓際にある3つのテーブルのうちの真ん中に座った。禁煙席に比べて客の年齢層が高く、喫煙席全体(40席)での喫煙者は5,6人で推移している。両隣のテーブルでも女性客がタバコを盛んに吸っている。左隣の女性2名の灰皿には10本の吸殻がある。
山中さんの観察では、「タバコを吸っていた女性の肌が汚く、シミがある」とのこと。
エアコンのフィルターも汚く、管理が悪そう。数値は一気に1000台に上がり、モスバーガーでやや回復した目の痛みが、喫煙席に座って10分後には再発した。両隣の客が帰った後、タバコ煙濃度は徐々に低下したが、それでも喫煙室内の評価基準値の3倍を超える600以上の数値が続いた。
また、トイレはドトール六本木7丁目店と同様に喫煙席フロアにしかないため、2階の禁煙席にいたとしても、トイレを利用するたびに高濃度のタバコ煙を浴びることになる。
測定を終え、店員に換気について尋ねると、「換気扇は回っているが、空気清浄機はこれからつける予定」とのことだった。
◇虚偽表示と言える不完全な禁煙フロア
■プロント六本木店 16:18~ 店舗は1階のみで、カウンターは今回のカフェ巡りでは唯一、喫煙席と同じエリアにあり、非喫煙者も注文時の受動喫煙は避けられない。喫煙席数は約40、禁煙席は奥の入り口を通った別室に約18席あるが、通路にはドアなどの仕切りがなく空間は完全につながっているため、喫煙席からのタバコ煙を遮る手立てはない。
また、17:00からはバータイムで全フロアが喫煙席となる。入店時はまだ奥の席は禁煙タイムだった。客層は40代以上が多い。
奥の禁煙席に座ったが、やはり通路からタバコの煙が流入してくるのが感じられた。粉じん計の目盛も最初から喫煙室内の評価基準値の目安となる188を超え、200前後を保っている。禁煙席とは名ばかりで実質的には喫煙席に座らされていることになる。まさに虚偽表示だ。
それでも、数分前までファーストキッチンの喫煙席でより高濃度のタバコ煙の中にいたために、「ここは今までより楽だ」と感じてしまったのだから、タバコ煙への慣れとは恐ろしい
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■六本木カフェ&ファストフード「受動喫煙ランキング」
4位:エクセルシオール六本木店
ドトールの高級志向を狙ったお洒落な店内は一見開放的だが、1階と2階は螺旋階段で空間がつながっているため、1階の禁煙席でも他店の禁煙席の2倍以上のタバコ煙を浴びることになる。
5位:マクドナルド六本木東店
本来は禁煙席の上にすべき喫煙席を禁煙席より下の階とした配置には、喫煙者優先の考えが反映されている。
6位:モスバーガー六本木店
禁煙席での粉じん濃度は低いが、喫煙席数は禁煙席数の約2倍あり、成人の7割が非喫煙者である現状から見ても、喫煙者優遇の姿勢は明らかである。
7位:スターバックス六本木店
一貫して喫煙室内の評価基準を遥かに下回る店内は快適そのもの。「コーヒーの香りを楽しんでもらうために全面禁煙にしている」(お客様相談室)という喫煙者に配慮した発言は止めて、「顧客と従業員の受動喫煙の防止のため」と明言してほしい。

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デジタル粉じん計を操作する筆者。液晶画面にはリアルタイムで粉じん濃度が表示される。
下の表は店内の分煙状態、取材メモ、店員と本社解答の全コメントを測定開始時刻順にまとめた全体評価表。取材メモや測定グラフと担当者のコメントを読み合わせると各社の本音が垣間見える。

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