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本物のビールはヱビス、モルツなど5%だけ 「まじりっけなし」の嘘
09:33 08/28 2006
 
左:「スーパードライ」
右:「一番搾り」


 本場・ドイツでは、原料が麦芽とホップ以外のものは、ビールではない。一方、日本は屑米、とうもろこし、コーンスターチなど様々な「副原料」の添加を許し、日本人好みの商品が続々、発売されてきた。さらに、マスコミが示し合わせたように「第3のビール」と持ち上げ販促協力する擬似飲料まで含めると、本場基準でビールと呼べるものは、ヱビス(サッポロ)、モルツ(サントリー)など数えるほどしかなく、数量ベースでは、なんと全体の5%程度しかないことが分かった。

◇米・コーン・スターチが定番副原料
 ビールの銘柄別シェアは、高い順に「スーパードライ」「一番搾り」「ラガー」「黒ラベル」。居酒屋などでビールを頼むと、これらしか選択肢がないことも多い。この4大銘柄には共通点がある。ともに、麦芽とホップのほかに、米・コーン(とうもろこし)・スターチ(澱粉)の3種類が添加されているのだ。

「まじりっけなし」をウリにする一番搾り(キリンWEBサイトより)
 しかし、キリン一番搾りは「まじりっけなしのうまさ」と売り出し、アサヒスーパードライは「本物のうまさ」と宣伝してきたのはご存知のとおり。何を持ってまじりっけがないと言い、何を持って本物だというのか。

 私は2年ほど前、単行本『この酒が飲みたい』(コモンズ)の編集を進めるなかで、ビールの原料について専門家に話を聞いた。

 ドイツでは、1516年4月23日以来、ずっと原料は麦芽とホップを守り続けている。バイエルン地方で「ビールは、大麦麦芽・ホップ・水のみを原料とする」と定め、1556年にはそれに「酵母」が加えられた。

 その後ドイツ全域で1906年に「ドイツ純粋令」が出された。EC統合時に「他国に対する非関税障壁である」と問題となり1987年に効力を失ったが、ドイツ国内では今でも、この法律を守ったビール造りが続けられている。

 ノルウェーも、ドイツバイエルン地方の影響を強く受け、現在も麦芽100%ビール。ギリシアもドイツの影響を受けて最近まで「純粋令」があった。ベルギーでは、ドイツやチェコのように良質なホップがとれなかったため、ハーブ、スパイス、フルーツを使用した醸造法が発達した。

 香辛料、果実、香草ではなく、ビールにこんなに多くの副原料を許しているのは、日本くらいと言われている。だが、それが主流となり、日本では街中で、こういった副原料入りビールしか選べないことが多い。本物を飲めないのだ。

 逆に考えれば分かりやすい。米を原料とした日本伝統の飲み物である日本酒が、日本酒という名称のまま、ドイツ国内で澱粉やコーン、麦芽入りで、「本物」「まじりっけなし」との触れ込みで売られているようなものだ。(注1)

◇日本独自の定義
 日本には「純粋令」のような酒造法はなく、ビールは税制でしか管理されていない。酒税法の第3条第7号で、ビールは、次のように定められている。
(1)麦芽、ホップ、及び水を原料として発酵させたもの。
(2)その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。ただし、その重量の合計が麦芽の重量の10分の5を超えないものに限る。

 つまり、「麦芽・ホップ比率」が3分の2以上入っていれば、残りの3分の1以下までならば「政令で定める物品」を使用してもよく、これを超えて使うと、「発泡酒」扱いになる。政令で定める物品とは、「米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類又は大蔵省令で定める苦味料若しくは着色料」となっており、業界では「副原料」と呼ばれる。

 もともとビールは日本古来の飲み物ではないため、本来の原料である麦芽とホップも、ほぼ100%を海外に依存している。アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー各社に、原料がその「麦芽とホップ」だけの国産ビールの銘柄を聞くと、下記の通りであった。

■キリン:「チルドビール」(4銘柄)、「ハートランド」
■アサヒ:「スーパーモルト」(8月中旬に製造中止)、「プライムタイム」(6月新発売)
■サッポロ:「ヱビスビール」、「ヱビス〈黒〉」、「畑から百三十年」(8月30日から期間限定販売)
■サントリー:「モルツ」、「ザ・プレミアムモルツ」

◇ビール内でシェア1割、全体では5.4%だけ
 販売数量は、各社とも「主要銘柄しか公表していない」。そこで、主要銘柄の数量が載っている「酒販ニュース」(2006年7月21日)掲載の、「平成18年上半期の各社主要製品販売数量」と「平成18年上半期の各社別ビール・発泡酒課税数量」を元に、シェアを計算した。

原料が麦芽とホップだけのビールは、下記3銘柄だけ。
■サッポロ:ヱビス合計388万ケース(※1ケース=大瓶20本)
  大瓶=633mlで計算し、20本×388万ケース×633ml=49,120キロリットル
■サントリー:モルツ合計687万ケース=86,974キロリットル
■サントリー:ザ・プレミアムモルツ合計188万ケース=23,800キロリットル

 3銘柄計で、159,895キロリットルとなった。

 分母のほうは、大手5社(アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオン)の総課税数量だ。
■ビール=1,588,953キロリットル
■ビール+発泡酒+新分野(第3のビールなど)=2,929,091キロリットル

2006年上半期の主要銘柄販売数量(酒販ニュース7月21日号より)
 

 

 

 結果、ビールの中での「麦芽・ホップ100%ビール」の割合は、10.0%。「ビール+発泡酒+第3のビール」の中での「麦芽・ホップ100%ビール」の割合は、5.4%だった。

 これに、販売数非開示のチルドビールシリーズ(キリン)、ハートランド(キリン)、スーパーモルト(アサヒ)を加えると若干%が上がるが、数%に過ぎない。地ビールは麦芽とホップだけのものが大半だが、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



放送中のキリン・チルドビールシリーズCMより

 

 

 

記者コメント
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通りすがり  15:33 09/04 2009
ビール純粋令には小麦ビールを貴族の専売にする為の裏の目的があったと聞いたことがあります。
本物  23:02 10/21 2008
そして伝統製法を重んじる本当の職人は、亜硫酸を使わないワインや発色剤を使わないハムも本物ではないと言っていますね。
一番絞り大好き  23:47 05/30 2008
ビールっていろんな種類(製法)があるんですよ。ピルスナーだけがビールじゃない!!比較対照をピルスナーに絞った上で、さらに原料の純度で比較ってのは、全くナンセンスですね。

それに、日本は亜熱帯気候。ドイツと同じ濃厚なビールは合わないとおもいますよ。

発想が単純すぎ。
電波?  03:47 05/26 2008
すごい記事だなと思ったら、週刊金曜日の人だったのですね。納得。
副原料  04:00 06/13 2007
4大ビール会社が副原料を使う目的はただ一つ。原料原価を下げるためだけです。旨いビールを作るためでは無く、いかにそれらしくごまかすか。だから、副原料は全て最低価格の粗悪品です。
ハートランド最高3  16:37 06/06 2007
私はギネスが一番!
副原料は悪では無い  22:09 04/30 2007
じゃあベルギービールはまじりっけ有りの邪道なんですね?純粋令を絶対視してビールの基準に据えると、そういうおかしな話しになってしまいます。純粋令に学ぶことは決して少なくないですが、絶対視するのは議論の出発点として誤っています。新しい美味いビールを創造する方向に使うのであれば、副原料自体は無問題です。副原料は悪でも罪でもないのです。