最近、『学生キャリア新聞』(7/1発売)の取材を受けた。不況下での就職をどう考えればよいか、といった内容が中心だ。「100年に一度の不況」と言われ、就職活動に不安を抱える人も多いだろう。短期的に考えるのではなく「5年スパン」「30歳までに」といった視点を持つことが重要だ。新卒が絞られる氷河期世代は、中途になると学歴が関係ない世界になるため、特に学歴に不安のある人にとっては、むしろチャンスが増える。ポイントは下記2点である。
①大企業ほど人口ピラミッド修復のために景気回復後に穴埋めする
これは過去15年ほどを検証すれば明らかで、今後も歴史は繰り返す。私は取材の際、必ず中途採用の動向(全体に占める比率、どの層をとっているか)を聞いているが、大企業が中途で採るのは「40歳未満の足りない層」と相場が決まっており、その際には、新卒に比べ圧倒的に学歴軽視となり、職歴重視となる。
花王は98年にフロッピー事業を撤退し人が余ったため、99、2000年と2年連続で新卒の技術系採用をゼロにし、文系も若干名に減らした(97年は理系80人弱、文系40人弱、バブル期は技術系だけで200人)。技術系は院卒が大半だから、現在32~35歳の層が極めて薄く、中途採用はそこに集中しているという。
日産自動車は、2003年と2004年に、なんと600人ずつ計画的に中途採用を行い、2005年からはほとんど採っていない。「自分が入った月は、同期の中途が50人でした。30代前半~中盤は『採らなかった+採った人も辞めた』ので、その補給だと聞いています」(中途入社の中堅社員)
日産は業績が悪化した90年代半ば、新卒採用を抑えた。新卒採用を再開したのは99年から。よって30代後半のチームリーダークラスと、最近新卒で入社した若い人の間に大きな年齢層の穴があり、そこを埋めるための大量中途採用を行ったのである。「私くらい(30代前半)の年齢層は、中途ばかりです」(同)
日産の中途採用組はMCS(ミッドキャリアスタッフ)と呼ばれ、社内で一定勢力を持ち、差別もないという。「2004年10月に80人が入社しましたが、数人の新卒を除いて全て中途でした。今の部署は中途のほうが多いです」(別の中途入社の社員)
どこから来るのかというと「100人くらいの会社から来ている人もいました。やはりカーメーカーからくる人が多いですが、異業種もいます」(同)
技術系なら、エンジンの専業メーカー、営業系ならサプライヤー(部品メーカー)の営業など、やはり関係業界が多いようだ。
丸紅は昨今、中途を年40人ほど採っているが「中途で入ってくる人は、カムバック組、ロスジェネ組が多い」(若手社員)。カムバック組というのは、不況期に待遇があまりに悪くなりいったんは転職した人が、好況になって呼び戻されるケース。ロスジェネ組というのは、氷河期で採用を絞っていた時期に新卒で枠がなかった世代が、景気回復して必要になったために中途採用されるケース。
注目すべきは、ロスジェネ組だ。「ロスジェネの94~2004入社が少ない。特に97~2003は、ほんとにいない。30人ずつ採用して残ってるのが20人とか。だから、各部が少ないパイをとりあってる状態」(同)
したがって会社は積極的にロスジェネ組を中途でとろうとする。中途入社した中堅社員に、丸紅への“リベンジ転職”で成功しているタイプを聞くと、以下のような答えだった。「若くて海外経験していたり、メーカーで中国駐在.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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周辺の魅力に惑わされるな |
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外的評価に惑わされるな |
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