最大労組の団体交渉報告。基本給が40歳で約49万円と異様に高いことが分かる。
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経営危機によって、メインバンクの三井住友銀行から「破たん懸念先」に分類され、銀行から送り込まれた「山田ビジネスコンサルティング」が策定したリストラ策が進行中の光文社。『JJ』『CLASSY』など女性誌が主力の大手出版社だ。大株主にあたる講談社も3期連続赤字と苦しく、巻き添えをくらう可能性がある光文社への債務保証を拒否。光文社は2010年5月期中の大規模リストラを断行しない限り融資をストップされて倒産するという状況にまで追い込まれた。
そこで300人余りの社員のうち、特別早期退職優遇制度で50人のリストラ要員を募集。対象は勤続15年以上で、年齢は、最終的に40歳以上にまで拡大された(当初は編集部門は50歳以上だった)。リストラに応募した「たぬきち」氏がブログでリストラの現場を綴ったことで話題になり、書籍化も決定。初版2万部で新潮社から緊急出版されるという。
今年の4月、対象者全員が1人ずつ呼び出され、総務局長と直属の局長との3者面談が実施され、1人1人に対して、条件面が提示された。40代では、基本割増金が2千万円+特別割増金が18ヶ月分+既存の自己都合退職金×130%。
45歳の「たぬきち」氏が自身のブログで公表した基本給は59万6820円なので、まず特別割増金は1074万円。自己都合退職金は、希望退職の説明を受けた社員によると、「私が提示された金額を在籍年数で割って、たぬきちの在籍年数を掛けると、約2500万円」。よって合計で約5500万円という、破格の“手切れ金”が渡されることになる。
ちなみに日経BPでも同じく50人を目標に昨秋、希望退職者が募集されたが、40歳から特別退職金が最低2千万円(または基本給の36か月分)加算されるだけだった。45歳では、既存の退職金と合わせて4千万円ほどの計算になるから、光文社は破格の厚遇である。
◇経営者がノータリンなんです
果たして、1次で39人、2次で5人の、計44人が応募し、5月末に会社を去った。現在、残る260名体制で再建を目指し奮闘中だが、その雲行きは、かなり怪しい。何しろ、会社を去った人たちのなかには、何と、経理局長と総務局長も含まれているというのだ。
「たぬきちは書いてないけど、会社の実態を一番知ってる人たちが辞めてるんです。経理局長はカネの流れの実態を知っているし、総務局長はリストラ対象者全員に1人ずつ会って、早期退職制度の説明をした人ですから。この会社は潰れる.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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社内で回覧されている非公式文書。業績や講談社との関係について記されている。
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社員総会で発表されたリストラの内容(全光労執行委員会資料より) |
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具体的な条件面。40代は特別加算金がつく。 |
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