ホテルマン：見栄、プライド、プレゼント

私は、地元・新潟のビジネスホテルに23歳で就職、26歳でインターコンチネンタルホテルに転職し、2004年（28歳）に同グループで中国・内陸部の湖北省・武漢市にある「ホリディイン武漢」に赴任。現在は北京にある香港資本のホテルに転職して、シニアセールスマネージャーを務めています。

中国語は実践で覚えました。中国に来て7年目になりますが、バブルってこうなんだな、と。日々、変化を感じるんです。オリンピック前には、どんどんビルやマンションができるし、いい車乗ってる人も明らかに増えてきた。ベンツやＢＭＷだけでなく、ベントレーやジャガー、レクサスと多様化している。黒塗りが好きですね、中国人は見栄っぱりだから。

企業で働くうえでは、プレゼントが重要だと感じます。いま上司が中国人女性ですが、日本に帰ったら必ず買って帰ります。上司から言われたものはもちろんマストで、言われなくてもあげる。資生堂の『クレ・ド・ポー ボーテ』とか、LANVINのストッキングとか、ファンケルのサプリとか。プライドが高いから、上司を尊重していることを具体的に示さないといけないんです。

僕は日本企業の法人担当として、月１千室を埋めるノルマを課されています。１泊平均１千元（※１元＝約１２円）くらいなので、おおよそ1千元×１千室×12ヶ月＝１２００万元（1億5千万円弱）の売上が、年間ノルマです。日本企業は、プライドが高いけどケチ、という傾向がある。１泊４ケタ＝1000元（1万2千円）を超えると高い、と言われます。トヨタ、日産、丸紅、シャープ…。もっと予算あるはずなんですが、コストカットが厳しいようで。

その他に、こっちの人は6月に粽（ちまき）を食べ、9月に月餅（菓子の一種）を食べる習慣があるので、うちのホテル製の商品を企業向けに売るノルマも課されます。交渉相手が中国人だと、一緒にお酒飲んで酔っ払うと契約、しかも「白酒」というアルコール度数50度の、泡盛のロックみたいな強い酒を「乾杯」で一気飲みが習慣なので、けっこうキツいですね。

モーターショーでトヨタ自動車の豊田章男社長がくれば、日本人である僕がケアするし、大企業の重役の付き添いも多い。ホンダの伊東社長や日産のゴーン会長に会えるのは役得ですね。やりがいもある。

営業の給料は、現地採用の新人だと月3000～4000元からスタートで、実績と上司の評価次第では、2年目で副経理（アシスタントマネージャー）になる人もいます。人事評価は、「総監」（部長）が１～５段階で評価を下します。

フロントの20代社員は月収800元～5000元とずいぶん幅がありますね。食費は日本の１０分の１の感覚なのでやっていけるんです。シニアセールスマネージャーである僕の現在の給料は