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聖なるものと俗なるものが見事に同居するバラナシ
見上げれば、野良猿が一匹、二匹、三匹…

 早朝、「ガサガサッ」という音がベランダから聞こえてきて、びっくりして目が覚めた。泥棒か?と思ったが、ここは5階だ。すりガラスに映った影の大きさから、猿だということが分かった。野良猿に起こされるとは、なかなかインドらしくて悪くない。なぜベランダに金網がついているのだろう?と思っていたが、これは猿対策なのだ、とやっと分かった。人間は無理でも猿は5階くらいまで平気で登ってこれるので、金品はとられずとも、部屋を荒らされてしまうわけだ。

【Digest】
◇猿、牛、犬、ヤギ、人…
◇チャチい映画のセット
◇人がいないホスピス
◇宗教を利用した商売

 そういえば昨晩、寝ようとしたら、壁からもガサゴソっと動きだす物体が目に留まっていた。真っ白なヤモリが蛍光灯のすぐ上にいたのである。しばらく眺めていると、蛍光灯の配線口に入って行った。どうやらそこから出てきたらしい。そのヤモリは、翌朝もまだ、同じ場所に鎮座し、じっとしていた。別の場所では、アリが昨晩から変わらず、壁に行列を作っていた。

 バラナシでは、ぜひガンガー(ガンジス河)ビューの部屋に泊まりたかったので、ゲストハウスの5階を予約した(1泊1500ルピー)。川沿いの旧市街は、歴史ある聖地として残す必要性から再開発できないらしく、古い建物が昔のまま密集して残っている。場所の便利さを考えると、郊外の大型ホテルよりも古いゲストハウスが上だった。

バラナシの旧市街とガンジス河
 ガンガービューは予想以上にすばらしかった。下の生活も、洗濯物を干していたり、子供たちが遊んでたり…と見えてしまう。建物は長屋のように一体型で、ブロックを積み重ねたような、旧市街ならではの建築。

 イランもそうだったが、この「隣の家との間が壁1枚だけ」という造りは、隙間がないだけ合理的と言える一方、塀による仕切りがないわけで、老朽化で改築する際など大変そうだ。屋上に鉄条網を作って侵入を防いでいるところもあるが、泥棒が簡単に上から入れてしまうなど防犯上は問題が多そうだった。

◇猿、牛、犬、ヤギ、人…
 バラナシの旧市街は、ほとんど迷路、迷宮である。密集した建物の間を縫って、目印もなく、似たような路地が続く。

 人がすれ違うのがやっとの幅なのに、のしのしと時々、牛が歩いてくるからすごい。首輪がついていない牛もけっこういて、これが野良牛というやつなのだろう。どうして野良牛が生きていけるのか不思議だったが、現地に来てよくわかった。生ゴミがいたるところに散乱しているから、食べ物に困らないのである。牛がゴミためを漁っている。

そして子供が降りてきてくれた

 

 道に迷って上を見上げると、猿が2匹、3匹、4匹…といて、悠々と建物の間を渡っている。そして、2階から声をかけてくる子供たち。「ウェイト、ウェイト」と言うから、何をしたいのかと思ったら、写真をとれ、という。兄弟なのだろうか。いい感じに観光客ずれしている。

 猿がいて、牛がいて、犬がいて、ヤギがいて、人がいる。あらゆる生物の糞が下に散乱し、そこを沢山の人が歩いていく。踏むのを避けるのは、ほとんど不可能である。雨も降らないから、流れていくこともない。なかなかの原始的な世界だ。

 バラナシは聖地ということで、もっと厳かな感じのする場かと思っていたのだが、とにかく賑やかで渋滞していて、とてつもなく人だらけの「ごちゃまぜ」な場所だった。もっともインドらしいところと言えるかもしれない。

◇チャチい映画のセット
塔の尖端が飛ばされて河口に放置されたままにしてるあたりもインドらしい
 ガンガー(ガンジス河)に出た第一印象は、チャチい映画のセットをかき集めた感じと、古い歴史から来る風格のようなものが入り乱れたものだった。

 「ボートに乗らないか」と言ってくるおじさんが沢山いる。そのなかの1人、若めの男のボートに乗った。1時間300ルピーだという。おそらく相場はもっと安いのだが、話してみると、英語でコミュニケーションできるし、単なるボート漕ぎではなくガイドとしても悪くなさそうだった。

 この男、32歳で、名をマダーン(Maddan)と名乗った。

 8年前からこの近くに住み、1ヶ月8千ルピーの借家住まいだったが、今は15キロ離れた対岸の街に家を買って住んでいるそうだ。バラナシのフリースタイルで優勝したこともある水泳選手で、今でもボランティアで貧しい人にガンガーで水泳教室を開くことがあるという。

 川に出て、有名な「マニカルニガート」という火葬場前にくると、「あそこに友人がいて、案内してくれる。カネはいらない。いくばくかのお布施があればいい。どうする?」と言うので、案内してもらうことにした。

 その友人は、50歳くらいのヒゲのオヤジだった。「この仕事は、私のカルマとしてやってる。火葬場とホスピスを案内するんだ。ここで焼かれると天国に行けるから、ファミリーもハッピーだ。他の人が見守るのもハッピー。写真はノーだ」

 ふむ、カルマねぇ。そして、シヴァ神の時代から、一度も火を消したことがないという灯し火?などの説明を受ける。これ、雨が降ったら消えちゃうんじゃないかと思ったが、オリンピックの火のように、そういう神話が重要なのだろう。

 まさに火葬の真っ最中のところへ。足と頭がとびでている。人体の火葬をリアルに見たのははじめてだ。ヒンズー教は、ずいぶんとオープンな火葬をするものである。その周りを、牛が5頭、6頭と座って、見守っている。鎖につながれているわけでもないのに不思議である。じっと火葬を見つめる牛の恍惚な表情が印象的だ。

 まるで牛に意志があって人間の最期を見守っているかのように見える。確かに火に向かって、一心に見つめ続けては、死体からあがる煙の匂いを嗅いでいる。これは、確かに不思議な光景だった。

この沐浴所にも野良牛がうろついており、台地の上から死体を焼く煙が流れてくると、口を開け、眼をさらに細め、首を前に突き出して恍惚とした表情で匂いを嗅ぐのだった。私は、一日中、死体焼場にいて、焼かれたり、流されたりする死体を眺め続けた。
--『深夜特急3―インド・ネパール―』より
 この風景は、まったくその通りでビックリした。30年前から変わらぬ風景なのである。

◇人がいないホスピス
 ヒンズー教徒は、墓をもたないので、焼いて遺灰をガンガーに撒く。すると、輪廻から解脱できると信じている。

「薪は1本200ドルする」は、お布施をさせるための、かなり無理のある嘘っぽい説明だった
 「一体焼くのに、3時間かかる。20キロの薪1本が200ドルするが、10本必要だ。この薪は特別な材質で、遠いところから、オイリーで強力に燃やせるものを運んでくる」

 火葬場の裏手は薪だらけで、薪を割っている人がいる。

 ヒゲのオヤジが言う。「ホスピスを知っているか。貧乏な人でもここで最期を迎えられるのは、みんなが寄付するからだ。寄付することで、寄付した人も天国に行ける。私はそういう人をホスピスに連れてくる仕事をしているんだ」

 だから寄付をしろ、という訳である。まあ、寄付だから勿論、気持ちだけだ。私はヒンズー教徒でもないし、既に牛肉も食べまくりだ。

 お布施をすれば天国へ行けるとか、ガンガーで沐浴すれば輪廻から解脱できるとか、そのような都合のよい世界があるわけなかろう。私はむしろ、神がいるなら、そのような安易な人間は地獄へ落とすと思う。

 マニカルニガートに併設されたホスピスは、ガラガラだった。そして入口に、2人だけおばあさんが座って、手を差し出して祈っている。

--あれ?ホスピスってひとけがないけど。何人入っているの?

 「68人いる。今はテンプルにいるんだ」

 あやしい。これなら3人がグルになれば詐欺が可能だ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



カンガーで祈る人たち

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