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10年後に食える仕事-5 「ジャパンプレミアム」――日本人らしさで生き抜く

情報提供
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 意外に置き換わりにくいのが、日本人メリットを活かせる技能集約的な職業である右下のエリアだ。日本人メリットが最大限に生きることから「ジャパンプレミアム」と命名する。中心となるのは、日本人ならではの高いサービス精神や、組織構成員としての高いチームワーク力が活きる職業、また、日本人同士であるがゆえの深い信用とコミュニケーションのしやすさを活かしての、単価の高い商品を扱う営業や管理業、そして、日本の独自カルチャーに深く関連した職業である。やりようによっては海外展開も可能だ。
Digest
  • サービス力は日本人の強み
  • サービス力が強みになる職業
  • チームワーク力は輸出競争力がある
  • 日本人への接客要員として
  • 同じ民族としての信用が生きる職業
  • 日本文化業

このエリアには、地場の人的ネットワークが活きる仕事(保険セールスや人材紹介など)をはじめ、ヒトや土地・建物に関わる仕事が多い。これは「カネ」「情報」「モノ」が国境を越えやすいのに対し、「ヒト」と「土地」は、国境を越えにくいからである。

サービス力は日本人の強み

今後、グローバルで労働力の主要な供給元となるインド人・中国人は、いずれもミスをしても謝ることを了としない国民性を持ち、サービス業が未発達で、本質的に不得手である。これは私が今年(2011年)、4週間ずつ現地にて取材したなかでも実感した。

中国に進出した日本の大手生命保険の合弁会社を訪れ、話を聞いたときのことだ。「昨年、こちらに赴任してきて驚いたのは、中国ではサービスを提供する側がエラい、というカルチャーだということ。銀行もそうなのですが、共産党組織で教育を担当していたような人がトップに就いていて、売る側のほうがエラいのです」(40代部長)。だから、日本の保険外交員が行うような営業サービス活動は理解されず、中国人社員が全員辞めてしまったので、日本滞在歴6年と8年の中国人社員を新たに採用し、出直し中なのだという。

北京に来て5年目だという大手メーカーの現地法人勤務の女性は「久しぶりに日本に帰って、コンビニで両手でお釣りを返されたら握り返したくなった」と日中のサービス内容の違いを語っていた。確かに街中の店舗でのサービスレベルも、教育を受けているはずの欧米ブランドショップの店員でさえ低レベルで、これは経済発展の段階とは別次元の、カルチャーの問題と思われた。

インドはカースト制が残っており、それぞれのカーストが担うべきサービスを提供するのは当然、というカルチャーである。デリー近郊のグルガオンでは、外観がインド式で立派な『トライデント』に滞在したのであるが、ホテル側のミスでロビーで1時間待たされた際に詫びの一言もなかったので、「私が浪費した時間の分を返せ」と割引きさせたことがあった。一応、5つ星ホテルである。これがインド式だ。「インド人は徹底的にドライに交渉し、一歩も引かない。『言わない者負け』のカルチャーなんです」(現地滞在2年の日本人談)を、私も実践したのである。ミスをしたら一歩引いて礼を尽くすといった日本的なサービスの姿勢など、微塵もないのだ。

中国のホテルは、もっとひどかった。宿泊中に上の部屋で改修工事が始まったり(文句を言われたら対応すればよい、というスタンスだった)、シンナー臭が部屋に充満したり(外壁を定期的に塗装しているが、いつもの『お知らせ』のレターを忘れたという)、「don’t disturb」のボタンを押して外出しているのに勝手に入室して掃除されたり(サービスの運用がマニュアル化されておらず、適当だった)。

いずれも高級ホテルだったので、問題点を指摘してあげて、宿泊料金はもちろん払わなかったが(日本人は往々にして泣き寝入りするが、そこがホテル側の狙いである)、こちらは締め切りに追われつつ、ビジネスで行っているのだ。部屋の変更などで時間をとられ、あやうく連載原稿と単発原稿を落としそうになった。日本では中級以下のホテルであっても、まずお目にかかれないサービスレベルの低さである。

こうした共産党支配やカースト制度といった歴史に根付く両国人のカルチャーは、一朝一夕には変わりようがない。今考えれば、インドは悠久の時間が流れ、客を待たせることに罪悪感がないのかもしれないし、中国は「差不多(だいたい同じ)」で何事もいい加減でよしとする国民性なのだろうが、いずれも高付加価値のサービス職としては失格で、向いていない。

サービス力が強みになる職業

具体的には、日本の、航空会社のCA(キャビンアテンダント)やホテルマン、旅館の女将といったサービス業の職種は、グローバルで高く評価される潜在的な力を持っている

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mars2012/03/14 14:05
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