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「今日のヒットチャートは若者文化ではなく、音楽利権文化だ」穂口雄右氏
(左上)ザ・ピーナッツ、 (右上)フォーククルセイダーズ、(左下)キャンディーズ、(右下)AKB48。

 


 CDの売りが上げが激減して崖っぷちに立たされているレコード業界であるが、その背景には、レコード会社がTV局や大手広告代理店と提携して、プロのボーカリストとは程遠いアイドルを作ってきた事情がある。著作権使用料は「作詞・作曲家」と「音楽出版社」で折半されるが、フジメディアホールディングス傘下の「フジパシフィック音楽出版」を筆頭に、テレビ局が音楽出版社を保有できてしまうことから、自らに著作権料を入れたいがために公共性ある電波を過剰に使って放送する、という歪んだ構図が生まれた。こうした利権構造を構築したのは、若者ではなく秋元康氏らの世代である。「今日のヒットチャートは若者文化ではない。音楽利権文化と言っても過言ではない」と話し、レコード会社31社と戦う作曲家の穂口雄右氏に、詳細に語って貰った。

【Digest】
◇舞台裏には初老の旧世代
◇一時的なスターはつくれる
◇プロの条件とは、厳しさとは
◇音楽関係者の収入源
◇音楽業界に電通の影
◇テレビとの最初のタイアップ
◇TBSと筒美京平
◇フジTVと和製フォークブーム
◇日本テレビと阿久悠
◇フジテレビと秋元康
◇テレビ東京でさえも・・・
◇テレビを超えるジャニーズパワー
◇テレビCMとエイベックス
◇テレビ局系列が著作権を独占
◇K-POPとテレビ局
◇AKB48・電通・読売
◇デジタル技術と個性の喪失
◇音楽が響く世の中
◇自由な精神が可能性を育む

→前回記事はこちら:「TUBEFIRE」著作権問題 レコード31社に2億3千万円請求されたミュージックゲート・穂口雄右氏に聞く

作曲家の穂口雄右氏。代表作は、キャンディーズの「春一番」、「微笑がえし」など。

 2011年度の日本レコード大賞は、AKB48のフライングゲットに決った。10代の人気を集めているアイドルグループは、結成から7年目にして歌謡界の頂点に立ったのである。

 AKB48の活躍は華々しく、歌謡界だけではなくて、「広告塔」としても大活躍している。人気があるからCDが売れる。CDが売れるから知名度があがり、CM出演の需要がアップする。

 レコード会社と広告代理店にとってAKB48は、まさに稼ぎ頭である。

◇舞台裏には初老の旧世代
 2011年度計上オリコンCD初動売上げ年間ランキングでは、AKB48が1位から5位を独占した。
順位 歌手名 タイトル名 初動枚数
AKB48 フライングゲット 1,354,492枚
AKB48 Everyday、カチューシャ 1,333,969枚
AKB48 風は吹いている 1,300,482枚
AKB48 上からマリコ 1,198,864枚
AKB48 桜の木になろう 942,479枚
Lotus 541,424枚
迷宮ラブソング 530,469枚
SKE48 オキドキ 382,802枚
SKE48 パレオはエメラルド 378,747枚
10 Kis-My-Ft2 Everybody Go 315,781枚

 ランクインしているCDはいずれもグループで音楽活動をしている人々のCDである。これらのグループは、テレビの出演がずば抜けて多い。特にAKB48にいたっては、テレビだけではなくて、新聞や雑誌でも大々的に「PR」されている。

読売新聞のPRに大活躍するAKB48。2009年6月26日付け読売朝刊の広告。

 たとえば読売新聞社は、発刊135周年の記念広告(2009/6/22~28)にAKB48を登場させ、読売巨人軍のPRにもAKB48が登場する。

―――最近のボーカリストの人気と実力は一致していますか? 作曲家はどのような視点でボーカリストを評価するのでしょうか?

穂口―――
 これは60台半ばの老人がコメントするテーマではありません。したがってこれから述べることは、2011年のオリコンランキングトップ10を見たわたしの最初の印象と言うほうが適切でしょう。なにしろ10年前から日本のテレビを見ていない私にとって、ネットのニュースで名前だけ知っていたグループですから。

 この機会に日本の音楽事情についてほんの少し調べてみました。その結果、ランキングの序列は彼らの音楽そのものの評価から生じた結果とはいえないことが分かりました。また、このランキングが日本の若者文化を反映しているわけでもありません。

 もちろん、ステージで踊り歌っているアイドルは若者で、彼らなりに賢明に努力している姿を見て、半世紀前の自分達と同じ一途な気持ちを感じました。

 しかしながらその舞台裏では、半世紀前の活気ある若者文化とは正反対の現象が垣間見えます。若者たちが自分たちの力で道を切り開いてきた20世紀半ばまでは、音楽文化は若者が創ってきました。しかし21世紀のヒットチャートを企画しているのは若者たちではありません。流行の舞台裏には50才を過ぎた企画者がいて、彼らを取り巻く利権ピラミッドが全てをコントロールしているように見えます。

 仮にPRやテレビ出演など、純粋な音楽とは別の要素がランキングに大きく影響するのであれば、現在のビジネスモデルそのものを見直す必要がある。それが音楽文化を育むための基本である。アイドルづくりを優先したビジネスモデルはどのよな歴史を経て構築され、どこに問題があるのだろうか?

◇一時的なスターはつくれる
穂口―――
 2011年のランキングを題材にしてボーカリストを語ることには抵抗があります。今のところの彼らの位置づけはアイドルタレントであって、ボーカリストと呼ばれるまでには時間が必要でしょう。しかしながら評価を軽々に語ることはできません。これからの努力しだいで、子供向けのアイドルが一流のボーカリストに成長する可能性もありますし、是非とも将来に向かって努力を重ねて欲しいと思います。

 作曲家にとってボーカリストは、自分の分身とも言える大切な存在であると同時に、愛情と尊敬の対象です。また、第三者的にリスナーとして愛聴するボーカリストも最大級の感謝の対象です。

 次元を上げて本当のボーカリストについて考えたとき、最近に限らず、昔から人気と実力は一致しません。例えば、世界的かつ歴史的な大スターのエルビス・プレスリーでさえ自身の実力の無さに悩んでいたそうです。確かに1950年代の若者を熱狂させた彼のロックンロールは最高ですが、エルビスの中でも後期の歌を今聞くと彼のコンプレックスも理解出来ます。一方、同時代のボーカリストのレイ・チャールズには不滅の実力を感じます。

米国・ジョージア州出身のレイ・チャールズ・ロビンソン。
 作曲家によるボーカリストの評価は、個々の作曲家によって違うので一概には言えません。しかし個人的な考えを言えば、やはり時代を超えるボーカリストか否かが重要です。一時的な人気は、作品力、宣伝力、営業力、企画力などを駆使する事で他力的に作り出せますが、何十年間も鮮度を失わない音楽を提供するためには、当然、時代を超える実力が必要です。

◇プロの条件とは、厳しさとは
穂口―――
 もちろん多くの作曲家は、ボーカリストが時代を超えるための要素を理解しています。しかしながら、作曲家が理想とする完成度を達成するためには、必要な要素をボーカリストに理解してもらう事からはじめて、一般の予想を超えた長期間のトレーニングが必要なことから、今日の日本はもちろん世界でも、商業主義的な制作の現場で理想を実現することはほとんど不可能です。

 例えば、今では時代を超えた完成度の高いサウンドで、世界中の音楽ファンから尊敬されているスティーリー・ダンでさえ、1980年リリースのアルバム「ガウチョ」が1億円を超える制作予算となったことで、その後のリリースが難しくなった歴史があります。

 また、時代を超えたボーカリストの代表と云えばフランク・シナトラですが、シナトラが若い頃にはトミー・ドーシー・オーケストラの専属ボーカリストとしての活動を通して、トミー・ドーシーやジャック・ティーガーデンのトローンボーン奏法的歌唱法(肺活量を必要とする)や正確な音程、心地よいアクセントなどを修得したと云われています。

穂口氏が作成した著作権料配分の内訳。
◇音楽関係者の収入源

 音楽関係者の収入源となっているのは、著作権料と原盤権収入だ。著作権料というのは、楽曲が使用されたときに発生する料金で、右表・著作権分配の内訳(穂口氏作成)のようになっている。

 著作権料に関する処理は、日本音楽著作権協会(JASRAC)が代行している。音楽の利用者に対して録音したり演奏する許可を与え、それにより発生する著作権料を権利者に分配するなどの管理を行う。

 著作権料の総額はCD定価の6%である。たとえば3000円のCDの場合は180円が著作権料になる。この180円がJASRACが定めた分配率に応じて、さまざまな音楽関係者に分配される。

 一般的な契約では、著作権料の配分率が最も大きいのは音楽出版社で、全体の50%を占める。残りの50%を作詞家と作曲家が、25%ずつ二分する。金額にすると、音楽出版社が6.04円。作詞家と作曲家が3.02円である。

 ところが最近は、作詞家と作曲家の取り分にマネージメント会社が割り込んで来て、表に示すように作詞家と作曲家へ支払われる著作権料がさらに少なくなるケースもある。

 音楽関係者にとって著作権収入と並ぶもうひとつの収入源は、CDなどの原盤権収入である。配分率は、CDの卸価格の10%から25%の間。歌手が所属する芸能事務所や、レコード会社、音楽出版社等に入るが、力関係により変動する。

 全体として音楽出版に有利な配分になっている。しかし、配分率の優位性だけで莫大な利益を上げているわけではない。

◇音楽業界に電通の影
穂口―――
 現行制度で長年の恩恵を受けていたのは、テレビ局とテレビ局の子会社である音楽出版社でした。近年インターネットの普及によってテレビ局の影響力は徐々に弱まっていますが、それでもなおテレビは強い影響力を持続しています。

 テレビ局系の音楽出版社は、販売を促進するための後ろ盾としてテレビの影響力があるので、高い割合で著作権料や原盤権料を獲得する傾向があります。

 しかも、テレビ局系の音楽出版社が音楽著作権を持つということは、みずからが権利をもつ楽曲については、放送局が著作権使用料を半額で利用出来ることを意味します。

 また、同じことが広告代理店についても言えます。広告代理店は著作権を持つことで、大量にオンエアーするCMのための音楽使用料を実質的に圧縮できます。

 すでに述べたように著作権料の50%は音楽出版へ支払われ、残りの50%は作詞家・作曲家らへ支払われる。しかし、音楽出版社が放送局のグループ会社である場合、著作権料はグループ内を移動するだけにすぎない。そうするとグループ全体が負担するのは、著作権料のうち作詞家と作曲家らに支払われる50%だけということになる。
穂口―――
 したがって、テレビ局や広告代理店は自社系列の音楽出版社が著作権を持つ楽曲の放送回数を恣意的に増やすことで楽曲を「宣伝」し、CDなどの売り上げを伸ばし、自社の著作権収入などを増やすことができます。権利保有作品がヒットする確率も高くなるのです。

 つまり必ずしも音楽の質そのものがヒットを生み出す条件とは限らず、ある楽曲を繰り返しオンエアーすることで、「流行」を生み出す側面があるというのである。それゆえにテレビがビジネスモデルの中に組み込まれているのだ。
穂口―――
 1970年代の前半までは音楽のヒットは作品の質によってもたらされると考えられていました。当時はプロの作詞家と作曲家の楽曲を、プロの編曲家がアレンジして、プロの歌手が歌うことがヒットの前提でした。シングルを決定するプロセスも作曲家の意見によって方向性が決まりました。

 ところが1970年代の後半に入って、テレビ局は音楽のヒットをテレビによる大量オンエアーで作り出せることに気付きました。

 テレビを使えば、アマチュアが作った楽曲を簡単なアレンジでオンエアーしてもヒットしました。ほぼ素人のアイドルに簡単な楽曲を歌わせてオンエアーしても、ヒットしました。これならわざわざプロに頭を下げて出演を依頼する必要もありません。なにしろ相手は素人ですから、音楽著作権の取得も簡単です。

 テレビを使ってシステムマチックにヒットを作りだすプロセスでは、プロの作曲家の意見は必要ありません。パターン化した音楽とビジュアルとオンエアーが揃えばヒット曲を作れます。冒険や改革は音楽ビジネスの障害と見られるようになったのです。

 そして、自分たちの力に気付いたテレビ局は、自分が音楽著作権を持つ事で、自らの力で作り出したヒットから莫大な収入を得る仕組みにも気付いたのです。そして80年代からは、ヒットさせるもさせないもテレビ次第という状態になりました。つまり、自分たちの取り分が多い音楽を優先的に放送して、取り分の少ない音楽の放送回数を少なくすることで、音楽の流行を自在に操れる状況が生まれたのです。

 この問題は、今から30年以上も前に、当時参議院議員だった野末陳平氏が国会で取り上げましたが、当時はテレビ局系音楽出版社もスタートしたばかりで、その影響力も小さかったため、テレビ局系音楽出版社の問題点に他の誰もが気付かないまま放置された経緯があります。

 このようにテレビが音楽の普及に貢献したことは言うまでもない。しかし、それが莫大な利益を生む道具であることが明らかになってくると、音楽文化を広げるための道具というよりも、ヒット曲を生み出す道具としての側面が浮上してきたのである。その結果、文化としての音楽は背後に押しやられた。そして音楽離れが始まり、レコード業界は不況に陥ったのである。

 1998年のレコード生産金額は4924億円。しかし、2010年には、1874億円にまで減少した。減少率は実に62%にもなる。

 一方、音楽配信の売り上げも低落傾向にある。これに頼みの綱だったテレビ離れが拍車をかけた。

◇テレビとの最初のタイアップ
 テレビと運命を共にしてきた音楽業界はこの半世紀、どのような変遷をたどってきたのだろうか。結論を先に言えば、テレビ局相互の音楽著作権を巡る競争の歴史だった。いわゆる著作権利権である。

 巨大な著作権利権が完成するまでには長い歴史がある。そして各々のターニングポイントで、後に著名となる作曲家や作詞家が登場する。もちろん、次に紹介する幾つかの例は突出した例であり、その他の方法でヒットを生み出した作家や音楽制作会社もある。また、これらのケースは互いに影響しながら徐々に主役が入れ替わってきたし、変化が急激な場合も変化に気付かない場合もあった。

穂口―――
 テレビの力を最初に発見したのは渡辺プロダクションの創業者である故渡辺晋社長です。渡辺氏は自らも一流のジャズベーシストであったことから、テレビの力を活用して日本の音楽を改革しようと考えていました。その渡辺氏の志に一人のテレビディレクターが共鳴したのです。それは、当時ザ・ヒットパレードを担当していたフジテレビのディレクター、後にドラゴンクエストで世界的になる作曲家のすぎやまこういち氏です.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



『読売KODONO新聞』でも、毎月第4週に「AKB48日記」を連載している。
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