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社員も知らないパナソニック-2 「まるごとビジネス」は高いだけ?
津賀新社長。パナで最も多い阪大出身の技術畑を歩み、経営側に回ってからはオート→AVCでリストラを進めた“カットマン”

 今年2月、大坪文雄社長(現会長)が滋賀県草津市にあるAP(アプライアンス)社の本社に、視察に訪れた。「雲の上」の門真本社から、天皇みたいな存在である社長が降りてくるというのは同社にとって重いことで、社員は総出で、日の丸ならぬ“パナソニックの旗”を振って、車が見えなくなるまで見送らないといけない習慣になっている。「あれで風邪ひいた人、絶対いたと思いますよ。寒い日でしたから。『お上』がここまで下りてくるんだから、みんな、その意味は分かっている。黒字化に成功するかは、白物家電を事業領域とするAP次第だ、ということです」(中堅営業)

【Digest】
◇海外で白物を伸ばす計画
◇「カットの次」が見えない
◇ゆっくり変わっていくしかない
◇まだ「対岸の火事」
◇「まるごとビジネス」は価格が高くなるだけ

◇海外で白物を伸ばす計画
 社員にとって気になるのは、会社全体、「パナソニック丸」の浮沈だ。同社が主張する戦略をごく単純に言うと、短期的には、アジア・中国を中心に海外で白物家電をたくさん売り伸ばし、中長期的には「まるごとビジネス」で家まるごとパナ製品にしてセット売りで売上増を目指す、というものである。

 パナソニックは5月23日、2012年度の事業戦略を発表し、世界市場での消費者向け家電事業で、エアコンや冷蔵庫などの「白物家電」の販売比率(金額ベース)が、テレビや録画機などのAV(音響・映像)機器を初めて上回る、との見通しを示した。

 テレビの販売不振を受け、AV機器の販売構成比を前年度比4ポイント減の47%とし、一方で好調な白物家電を3ポイント増の52%に引き上げる(※白物とは冷蔵庫や洗濯機、掃除機、炊飯器などの伝統的な生活家電のことを指す。一方、テレビやDVDなどは「黒物」)。

 消費者向け家電売上高2兆3850億円のうち、白物が1兆2460億円と5割を超え、AV家電との地位を逆転させる計画だ。セグメント別見通しでは、AVC社が1%増と微増で、アプライアンス社の売上高が6%成長することになっている。

 「白物家電は、現在の国内55:海外45の比率を逆転させろ、と上から言われており、弱点である海外を強化中です。各分野で、たとえば5年後に海外400~500億とか大きな目標だけは上から与えられていますが、まだこれからです」(AP社中堅営業)

 頻繁に飛ぶヨーロッパなど長距離の出張も、全員エコノミークラスで、「欲しがりません、勝つまでは」といった臨戦態勢が続く。「TLでも、その上のGM(50~60人の組織のトップにあたる上級管理職)でも、皆エコノミークラスです。皆で痛みを分かち合う会社ですから…」(同)

 儲け頭のAP社でさえ、BU長(事業部長クラス)以外はビジネスクラスで出張できないというのだから過労死しかねないが、新社長は“コストカッター”に代わったばかり。業績が回復するまで、厳しい日々が続きそうである。

◇「カットの次」が見えない
 2012年度の計画を遂行する新社長・津賀一宏氏は、プラズマパネル工場の休止を取締役会で進言した人物とされ、同氏がまだオート社にいた頃には、45歳以上を対象にしたリストラも主導。社内でも「カットマン」としての期待度は高い。

 社内では、早くも「うちの投資案件は通してくれなさそうだ」「なんとか工面しなきゃ」といった言葉が飛び交い、戦々恐々だという。47歳で役員就任、55歳で史上最年少での社長就任とあって、「パナの島耕作」などという声もある。

 問題は、コストカットよりも難しい売上増のほうだ。初期の中村改革のように、カットだけで一時的に黒字化することはそう難しくないが、2~3年後の継続的な復活がない。カルロス・ゴーンになるには、売上増につながるビジネスモデルを並行して作らないといけない。

上:2011年度セグメント別実績。中:2012年度年間見通し。下:同地域別見通し。パナソニック決算概要資料(2012年5月11日)より
 売上増は、もはやグローバル化を前提に考えるほかない時代になった。常に作るべきものが明確で、国内市場が成長していた時代は「マネシタ電器」でよかったが、グローバル化時代にはコスト競争力が追い付かない。実際、巨額の営業赤字を計上したAVC社(薄型TV等)、エナジー社(太陽電池等)、デバイス社(半導体等)は、ともに韓国・中国企業との競争が激しい分野だった。

 ところが、新社長に交代し心機一転を図るはずのパナが発表した2012年度の見通しは、すべての分野で前年比増、地域別でも各地で前年比増という、右肩上がりの時代と変わらぬ、何の戦略性も見出だせないものだった。

 「選択と集中」はなく、せいぜいAPに6%成長を期す、といった程度だが、赤字の元凶AVCにも成長を期している。まるで日本の省庁別予算配分のごとく「前年比」が幅をきかす。“ミニ日本政府”である。

 直近の2011年度に世界5地域すべて(日米欧中アジア)で前年度割れしたにもかかわらず、全地域で前年増というのも、いかにも現実的でない。特にユーロ危機で緊縮財政が見込まれる欧州で日本国内と同様の売上高2%増を果たす計画は、どういったロジックから出てくるのか。「前年実績+α」という単なる営業努力目標にしか見えず、コミットメントの弱さがにじみ出ている。

◇ゆっくり変わっていくしかない
 こうした「選択と集中」の甘さは、多くの社員も指摘するところだが、一様に、アンビバレントな思いを吐露するのも印象的だった。

 「海外なら、いける事業にどんどん投資しますが、日本でそれをやろうとすると、電機連合加盟の労組が黙っていない。その圧力は、社内にいて、強く感じます.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



2012年度の賞与決定額を伝える労政レポート。2011年度が過去最悪の赤字ながら、ボーナスはしっかり。
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ヤマダ電機のスマートハウス。太陽光発電、蓄電池、HEMS、オール電化…

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