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社員も知らないパナソニック-1 創業4代目がぶつかる“国内弁慶企業”の壁
B 不良企業予備軍
(仕事3.0、生活3.0、対価2.8)

 2011年4月、パナソニックに「松下」「中村」という見慣れた苗字の新入社員が入社し、ともに同社の顔とも言えるコンシューママーケティング部門に配属となった。かたや松下幸之助のひ孫、つまり松下正幸副会長の長男で創業家4代目にあたる、松下幸義君(SFC卒)。かたや赤字転落後の2003年にV字回復を遂げ『中興の祖』とも言われかけた実力者・中村邦夫会長の姪、中村奈央さん(同志社大卒)である。

【Digest】
◇“超極太”のコネ入社
◇“内弁慶人間”の暴走
◇4代目はTOEIC550点未満で再試験
◇「外国人が8割」ブランディングに利用されるマスコミ
◇「コミュニケーション力重視」理系の採用と配属
◇「海外志向とのギャップ大きい」文系の採用と配属
◇海外赴任は生産管理くらい:理系の仕事内容
◇海外は30歳前後から:文系の仕事内容
◇社内公募「Eチャレンジ」は機能せず、離職率は低い

社員によると、松下君は「創業者・幸之助に似た感じの細顔」

◇“超極太”のコネ入社
 「就活自殺」も発生するほどの厳しい就職戦線を勝ち抜いて日本一の家電メーカーへの入社を果たしたはずの文系同期70人。そのなかで、ともに“超極太”のコネ入社で浮いた存在とも言える2人は、入社したその月に早速、facebook上で友人となっている(右記)。

 パナはこの2011年入社から、新卒採用の方針をがらりと変えた。これは、社内で権力を一手に握る当時の中村会長(2012年6月に取締役退任し、相談役に)の鶴の一声によるものだった、と言われている。中村の“部下”、大坪社長(当時)はこう書いている。

 徹底したグローバル化は人材採用でも進めます。来年度は1390人を採用する計画ですが、このうち「グローバル採用」枠を1100人としました。日本国内の新卒採用は290人に厳選し、なおかつ国籍を問わず海外から留学している人たちを積極的に採用します。今年度は1250人採用しましたが、内訳はグローバル採用が750人、国内新卒は500人。人材採用の面でも、来年度からグローバル化への対応をドラスティックに進めることになります。
――『わが「打倒サムスン」の秘策』(文藝春秋2010年7月号)

 海外採用を5割増の1100人とする一方で、国内採用は前年比4割も減らす方針を表明したのである。裏でちゃっかり自分の血を引く子息だけは入れているあたりが、一見ドライな改革家に見えて息子に地盤を継がせた小泉元首相のようでもある。

 中村は12年間に及ぶ長期政権のなか、松下通信工業、九州松下電器、松下電工、三洋電機などを次々と完全子会社化し規模の拡大を図ったものの、プラズマTVの決定的な敗北などで晩節を汚し、2012年3月期は7721億円という過去最悪の赤字に転落させた。

 これだけ統合&リストラを進めたにもかかわらず、市場の評価である時価総額は、就任当時の6兆円余りに比べ、5分の1にまで激減した(退任となるこの6月には株価が遂に一時500円割れし、約1兆2千億円に)。権勢をふるうだけふるったものの、結果で評価されるべき経営者としては、完全な落第者であった。

株価(円) 株式総数(千株) 時価総額(千円)
2000年3月末 3,070 2,062,671 6,332,399,970
2012年3月末 761 2,453,053 1,866,773,333

 この目を覆うばかりの成績に対し、パナソニックは2012年度の役員報酬として、中村邦夫(現相談役)に1億3300万円、大坪文雄(現会長)に1億1300万円の役員報酬を支払うことを決めた。何に対する報酬なのか理解が難しいが、これがトップが身を持って示したパナソニック流“成果主義”の範となるわけである。パナでは、少なくとも「仕事の成果」と「報酬」に正の相関はない。

2012年6月28日提出の有価証券報告書(2012年3月期)より

◇“内弁慶人間”の暴走
 12年間もあって成果を出せなかったが、米国でのマネジメント歴が長かった中村は、その強権的なリーダーシップのもと、「変革」は行った。独立性が高かった事業部制を解体、統合し、社名から「松下」の名を消し去り、伝統の社歌も新たなグループソングに差し替えるなど、2000年に社長レースを争った松下家(松下正幸副会長)では絶対にできなかったであろう聖域に斬り込み、米国流の“改革”を断行している。

 中村は、自分は聖域に斬り込む一方で、マスコミからは聖域扱いされることを望んだ。異を唱える者には、広告を引き揚げるという「禁断の果実」にあからさまに手をつけてまで服従させた。

『週刊文春』2005年4月21日号より
 朝日新聞社発行『AERA』2002年10月21日号が『松下、V字回復の嘘』との見出し記事を掲載した際には、朝日新聞社長の箱島氏に抗議の内容証明を送り付けて広告を引き揚げ、朝日は推定で1億4千万円の広告収入を失い、松下の抗議文と朝日側の謝罪文をAERA誌上に掲載させ、朝日を全面降伏させている(『週刊文春』2005年4月21日号全6ページに詳しい)。

 それを知ったマスコミ各社は震え上がり、その後一切、中村を批判できなくなったばかりか、提灯記事を積極的に書いた。トヨタと広告宣伝費トップを争うパナに広告を引き揚げられたら赤字転落しかねないのが、既存マスコミの脆弱なビジネスモデルだ。社内外からの批判を受けなくなり、日本国内で“内弁慶”の「裸の王様」となった中村は、歯止めのきかない暴走に向かい、韓国企業との競争に敗れ撃沈した。間違った行いは、最後は自分に降りかかってくるものである。

◇4代目はTOEIC550点未満で再試験
 敗戦の原因と言われるのが、中村の決定的な不作為だ。競合であるサムソン・LGが成長著しい新興国でシェアを伸ばし、規模のメリットで生産コストを低減していった一方、中村はこの成長市場を軽視し、逆にコスト高の国内工場に投資。手を打つのが遅れた。

 「日本でしか強くないのが、パナソニックなんです。米国出張でアメリカ人に聞いても、『パナソニックは二流メーカー』だと多くの人が認識している。一流は、ソニー、サムソン、LG、フィリップスあたり。だから外国人採用1千人とか言ってみたりして、焦ってるんです」(中堅営業)

 その遅すぎた対応策の1つが、2011年入社からの「グローバル採用1100人、国内採用290人」と言える。特に文系の70人は「キコクや留学ばかりで、7~8割が外国語を話せる」(若手技術者)というグローバル向け要員ばかり。入社前の2010年10月には、理系も含めた内定段階の同期290人に社内でTOEICを受験させ、550点に届かない者には再試験を課すという、熱の入れようであった。

 7~8割が外国語を話せる人材とあって、再試験になった新人は文系で一桁だけと少数派だったが、実は4代目の松下君もその再試験に引っかかった1人だった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



スポンサーの意を汲んで、パナソニックだけ海外採用分を含めて表を作る新聞。「平成25年春」というが、そもそも9月卒業の外国の大学生は「春」に卒業しない。『産経新聞』 3月27日(火)配信記事より。
パナソニックの組織(概要)
チームリーダー(TL)、グループマネージャー(GM)の位置づけ(社内資料より)

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2018年4月入社新卒採用計画  21:01 03/06 2017
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パナソニックは2017年3月6日、2018年4月に入社する新卒採用計画を発表した。前年と同じ800人の採用を予定する。内訳は、大学・大学院卒が650人、高専・高校卒が150人で、技術系の応募コースを、基礎研究と商品開発に分けた。