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松下電器に屈服した朝日新聞

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 いささか古い話で、企業ミシュランの「朝日新聞社」でも触れているが、武富士報道で調子の良い「週刊文春」(2005年4月21日号)が、証拠文書をもとに、「朝日新聞が松下電器に『土下座』した日」と題して、かなり具体的に経緯を書いている。

中村社長は、「AERA」(2002年10月21日号)の「松下『改革』でV字回復のウソ」(広告見出し)という9頁の特集記事に怒り、10月16日、朝日の箱島社長に抗議の内容証明を送付。

松下の広告は、当然のように、朝日新聞から引き揚げられた。これに対して、門垣取締役はお詫びの文書を中村社長に送付し、「AERA」11月25日号に松下の抗議文と朝日側の謝罪文を掲載。編集長も異動させ、まさに全面降伏だった

その後、埋め合わせとして、朝日上層部は自主的に松下の新商品記事やユニバーサルデザインへの取り組み記事を書くよう、取材現場に圧力をかける。経済部が渋るなか、学芸部にお鉢がまわり、「皆にやさしい形 ユニバーサルデザイン」(東京は12月19日朝刊)という露骨なPR記事が掲載されてしまう。読者に、この裏を読み解くリテラシーなどあるはずもない。

広告引き揚げで、推定で1億4千万円の広告収入を失った朝日は、こうしたPR記事で松下からの信用を得て、年度末までに例年並みの水準に戻したという(逆に読者の信用は失っているが読者はそれに気づくほど賢くない)。松下に買収された格好で、まさに「人の心はお金で買える」(堀江氏)の実例だ。

こうした内部文書が出てくることから分かるように、箱島社長ほか中核をなす経営陣を快く思わない人たち、権力に屈しないジャーナリズム精神を持った人たちが社内にいるということではある(たとえば日経ならそもそもいない)が、それが主流とはなれないところに、広告収入に依存した現状のビジネスモデルの限界がある。

結局、企業からカネを貰って成り立っている以上、企業のことを中立な目で見ることはできるはずがないのであって、広告を引き揚げられたら、屈服する以外に方法がないということだ。

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「文藝春秋」2005年5月号の提灯記事。これに続くソニーの新CEOの記事は、トップ交代後なので必然性があるが、松下のほうはタイアップ広告に限りなく近い内容。

広告を引き揚げられてもなお、筋を通して戦ったという話は、あればPRになる話なので必ず出てくるはずだが、未だかつて聞いたことがない。利益を追求する株式会社としてはあり得ない選択だ。

だから、ほとんどのマスコミは、こうした広告主から抗議を受けるような内容は、最初から自粛して書かない。現場記者が書いてもデスクが潰す。「AERA」は、書いただけマシともいえるのである。

 かくいう文藝春秋社も、月刊「文藝春秋」2005年5月号では、「立国の基は『ものづくり』にあり」という松下・中村社長の、えげつないほどのPR記事を載せている。松下からたくさんの広告費を貰っている点では、朝日と全く同じ構図であり、人のことをとやかく言える立場ではないのである。

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ママ2008/02/01 02:50
玄人2008/02/01 02:50
突破人2008/02/01 02:50
M12008/02/01 02:49
たけ2008/02/01 02:49
まあ2008/02/01 02:49
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