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「新聞に軽減税率」推進の公明党から、新聞社系印刷会社に14億4千万円――新聞社は“公明新聞・聖教新聞の下請け印刷会社”

情報提供
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新聞業界が政治献金を贈った(上段)左から、安倍晋三、菅義偉、菅直人、(中段)小野寺五典、高市早苗、中谷元、(下段)谷垣禎一、漆原良夫、岸田文雄、の各議員。写真の出典は、「みんなの政治」
 なぜ公明党は新聞の消費税軽減税率適用を強く主張するのか――不可解に思う人もいるだろうが、新聞・TVがタブーとする裏事情がある。それは第一に、印刷委託を通じた一体化だ。公明党の政治資金収支報告書(2012年)を調査すると、毎日新聞を筆頭に18の新聞社系印刷工場で「公明新聞」が印刷され、同党から計14億4千万円にのぼる印刷費と包装費が支払われたことが分かった。創価学会の機関紙「聖教新聞」にも同じ構造があり、もはや新聞社は“公明党・創価学会の下請け印刷会社”に成り下がった。そして第二の事情が、莫大な発行部数を誇る機関紙(公明新聞、聖教新聞)に軽減税率を適用させ自身の負担を免れよう、という企み。新聞社サイドは同年、計220万円を公明党に献金し、政治家個人に対しても、安倍首相や谷垣法相など約160人の議員個人に献金。まさに新聞と政治の癒着で、新聞への軽減税率が実現しようとしている。(2012年に献金を受けた国会議員氏名と金額一覧はPDFダウンロード可)
Digest
  • 新聞18社が「公明新聞」を印刷
  • 読売、毎日、神戸などが公明党に寄付金
  • 政党機関紙も、軽減税率の対象に?
  • 谷垣法相らへ20万円の献金
  • 寄付金を受けた154人の議員リスト
  • セットで登場した秘密保護と軽減税率問題

消費税が8%から10%に増税される2015年10月に、新聞などに対して特別に税率のアップを据え置く案が浮上している。政府内でも、特に公明党がこうした特別措置の導入を強く主張している。

これは、日本新聞協会が政界工作を展開した結果ともいえる。時事通信は、日本新聞協会によるロビー活動を次のように報じている。

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「押し紙」(新聞の偽装部数)の例。偽装部数によりABC部数をかさあげして、公共広告の価格を釣り上げる。写真は兵庫県西宮市(上)と、東京・板橋区で撮影したもの(下)。

新聞業界が軽減税率を求める表向きの理由は、新聞が国民に対して情報提供の役割を果たす民主主義の必需品だから、というものだが、本当の理由はもちろん別にある。

第一に、1千万や8百万といった巨大な公称部数を偽装するために活用している「押し紙」(新聞の偽装部数)に対しても消費税がかかる問題がある。販売店が新聞本社から仕入れる価格が増税分上がるわけだが、押し紙は配達されずに廃棄されるため、増税分は単純なコスト増にしかならない。

第二に、宅配価格を増税分値上げすると、それを機会に一定数の解約者が確実に出てくる問題がある。

解約を恐れ据え置くとすると、5%から8%への増税でさえも、末端価格に転嫁できなければ、読売で年間約108億円、朝日で約90億円の負担増になる、との河内孝氏の試算(『新聞社』新潮新書)がある。河内氏は、毎日新聞社の元常務取締役で、新聞業界の内情を知り尽くしている。

8%→10%への増税では、読売72億円、朝日60億円の負担増となる計算だ。

したがって、新聞が増税の対象になると、新聞販売店が経営危機に陥り、新聞販売網の維持が危うくなり、宅配制の上で成り立つ日本の新聞経営を直撃するわけである。そこで、以下記事のようなヤラセまがいのことまでして、軽減税率を適用させよう、というわけだ。

■参考記事:消費税軽減税率、新聞への適用是非を問う世論調査の発注先会長は新聞協会重役

新聞業界が、こうした危機的な事態を回避するために政治献金を支出している事実は、ほとんど知られていない。たとえば2012年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界から、少なくとも160人の国会議員に政治献金が支払われている(献金リスト詳細は後述)。

その大半は、自民党、民主党、公明党の議員だ。額こそ少ないが、この中には安倍晋三首相や菅直人元首相に対する、“お小遣い”程度の寄付金5万円も含まれている。

実は、公明党が軽減税率の問題に熱心に取り組んでいる背景には、単に政治献金の見返りとは別の、特別事情がある。本稿では、主にこの点を明らかにする。

新聞18社が「公明新聞」を印刷

その特別事情とは、まず第一に、新聞社と公明党・創価学会の親密な取引関係だ。「親密」というよりも、新聞社の経営構造に、公明党・創価学会の事業の一部が組み込まれているという事実がある。

2012年度の政治資金収支報告書(公明党分)によると、公明党は『公明新聞』(公称80万部)の印刷を、全国18の新聞社が経営に関与する印刷工場に委託している。新聞社と取引関係にあるわけだから、新聞社の経営が悪化すると、印刷委託費を値上げされかねないため、消費増税を避けたいという思惑が働くのが自然だ。

印刷会社の社名と印刷費は、次の通りである。なかでも、毎日新聞が圧倒的に多く、もはや“公明党の印刷下請け会社”のような立場と言える。(社別、金額が多い順=単位:円)

社名 金額
東日印刷㈱(毎日)
298,929,655
㈱高速オフセット(毎日)
86,889,387
㈱東日オフセット(毎日)
40,492,206
㈱毎日新聞北海道センター
32,678,634
㈱エスティ・トーニチ(毎日)
4,410,000
㈱西日本新聞印刷
92,402,012
㈱四国新聞社
86,036,587
㈱東京読売サービス
82,253,430
中日高速オフセット印刷㈱
68,348,688
㈱道新総合印刷
66,951,563
㈱神戸新聞総合印刷
60,600,863
中国印刷㈱
27,778,688
㈱中国新聞福山制作センター
26,239,392
㈱かなしんオフセット
49,413,344
㈱福島民報社
42,606,337
㈱ショセキ(北國)
39,107,289
㈱静岡新聞社
39,074,540
㈱南日本新聞オフセット輪転
32,622,679
㈱新潟日報社
28,774,410
㈱山陰中央新報社
21,540,120
㈱岩手日日新聞社
17,718,729
㈱長崎新聞社
17,713,080
高知新聞
2,115,750

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聖教新聞の印刷委託先リスト(『別冊宝島Real-72池田大作なき後の創価学会』より)

印刷費の総計は、約12億6500万円。これ以外にも、公明党は新聞社やその系列企業に、梱包費として、約1億7800円を支出している。計14億4300万円にもなる。

さらに、まったく同じ構図が、発行部数550万部の『聖教新聞』と新聞社の間にもある。聖教新聞の印刷拠点については、ジャーナリストの寺澤有氏が2007年に独自に調査して、『別冊宝島Real-72池田大作なき後の創価学会』で公表したものがある(右記参照)。

それによれば、さらに多岐にわたって、多額のカネが流れている

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毎日新聞東京本社。毎日と公明党、創価学会は親密な関係にあり、2012年に朝比奈社長は、「聖教最高栄誉賞」を受けている。

新聞業界から多額の政治献金を受け取っていた山本一太議員は、再販制度維持のために活動していた。『日販協月報』(H12年11月1日号)の記事。

1995年の新聞大会で日本新聞協会は、「再販維持に関する特別宣言」を採択した。このころから、新聞業界は、政界との癒着を急激に深めていく。業界紙『東京情報』(H7年10月23日号)より。

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sarutoru2013/12/27 21:14

“新聞社サイドは同年、計220万円を公明党に献金し、政治家個人に対しても、安倍首相や谷垣法相など約160人の議員個人に献金。”

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2013/12/31 22:26
 2013/12/27 02:51
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